静かなる革命が日本で進行中 

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今年、ダボスで開催された世界経済フォーラムでは、日本がかつてないほど注目を集めた。開会式では安倍晋三総理大臣が基調講演を行い、会議を締めくくるグローバル・エコノミック・アウトルック(世界経済の見通し)のセッションでは黒田東彦日本銀行総裁が参加した。

このように日本が突如として世界の舞台の中心に躍り出たことから、新鋭派はこう思ったかもしれない。日本で革命のようなものが起こっているのではないか、と…。

学校で習ったあらゆる革命を思い出してほしい。どの革命にも共通点が2つあることに気付くはずだ。1つ目は、「大きな推進力となる思想」が常に存在するという点だ。例えば、1789年のフランス革命の背景にはルソーの哲学が、1917年のロシア革命の背景にはマルクス・レーニン主義が、1868年の日本の明治維新の背景には水戸藩校の思想があった。2つ目は、劇的かつ急激な変化をもたらすためには武力を行使することも厭わない、扇動的なリーダー集団が存在するという点だ。

アラブの春で起こったデモや暴動、暴力沙汰から分かるように、独裁国家における革命は今なお多かれ少なかれこのような形で行われている。しかし、日本のような成熟した民主国家では、変化をもたらすために武力を行使することは許されない。社会的・政治的な変化は、暴力ではなく投票箱を通じて実現されなければならないのだ。

したがって、日本を変えるために僕たちが必要としているのは、コミュニケーション能力に優れ、自分の考えを相手に理解させることができ、全体の過半数の人を説得して変化を受け入れさせ、変革に票を投じさせることのできるリーダーである。これが、僕が「静かなる革命」と呼んでいるものの真意だ。

日本は、過去20年にわたり抜け出せずにいる経済の行き詰まりから脱却するために、そのような静かなる革命をぜひとも必要としている。

ビジネスの世界ではよく、混乱した会社を立て直すための最善の方法は、10項目からなる単純な行動計画を立てて実行することだと言われる。同様のアプローチが国にも通用すると僕は考えている。日本の政治家が実行に移すべきビジョン、または行動計画を誰かが考え出す必要がある。

僕が「100の行動:CREATING A VISION OF JAPAN」というウェブサイトを立ち上げた背景には、そのような考えがあった。このウェブサイトで僕たちは、日本を「立て直す」ために100項目からなる行動計画の策定を進めている。これまでのところ、52の具体的な政策目標を提案し、行政にその実施を働きかけている。

しかし、行動計画そのものだけでは、日本を立て直すには不十分である。「三本の矢」(金融緩和、財政刺激、構造改革)からなる安倍首相の改革政策「アベノミクス」と同様に、日本を復活させることを目指した僕たちの運動を実行可能なものとするためには、もう2つの要素が必要だ。その2つの要素とは、強力なリーダーと変化に対する国民の支持である

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次世代の強力なリーダーを育成するための一助として、僕は2009年、政治、ビジネス、学問の世界のさまざまなステークホルダーが一堂に会する年1回のG1サミットを発足させた。同サミットにはこれまで、現在の総理大臣である安倍晋三氏や、その構造改革プログラムを支えるブレーンである竹中平蔵氏のほか、多数の市長・知事、何人かの億万長者起業家、第一線の学者などが参加している(左:櫻井よしこ氏、右:安倍晋三氏、G1サミット2011にて)。

そして、僕たちの変革のアジェンダに対して必要な幅広い国民の支持を生み出すために、Twitter、フェイスブック、ブログ、オンライン動画、BS放送を積極的に利用している。

最近、欧米のニュースメディアは安倍首相について、やや懐疑的な見方に傾きつつある。彼らは疑い始めているのだ。安倍首相は第三の構造改革の矢をいつまで経っても放つことができないのではないか、と。

僕の答えはこうだ。あなたたちは間違っている。日本では既に革命が進行中だ。

武力を通じた革命は即座に結果が出て、非常にわかりやすいかもしれない。しかし、民主的な革命は一見しただけではわかりにくく、徐々に展開する。世代交代やコンセンサスの形成、新しいリーダーの育成といった、時間のかかるプロセスを伴うのだ。

そして、日本ではそのような変化が確かに起こっている。以下の点に注目してほしい。

1.ソーシャルメディアを通じて体制の変化を支持する日本人がどんどん増えている。
2.実業家、学者、地域指導者が以前よりも政治に関わるようになってきている。さまざまなグループ間での協働も増えている。
3..政治指導者が以前よりも若くなり、有権者と触れ合うようになってきている。
4.そして最後に、リーダーシップのスタイルが変わり、果断さ、明瞭さ、十分なコミュニケーションが新たに重視されるようになった。ダボス会議での安倍首相のスピーチと、2020年オリンピックの開催都市を決める投票を前に国際オリンピック委員会に対して日本が行った最終プレゼンテーションは、この新たなスタイルの実践例だ。

前回のLinkedInの記事では、自分の志について語った。僕は、家庭、個人、ビジネスの面では、自分のやりたいことはやり尽くしたと感じている。

だから僕は、ビジネス上の利益を後回しにするようになった。僕が今やりたいことは、国という、より大きなコミュニティに協力し、日本の再活性化に貢献することだ。だから僕は、この記事で取り上げたさまざまなイニシアチブを立ち上げた。

もちろん、「静かなる革命」は一夜にして状況を変えられるわけではない。僕たちが発する変革のメッセージに対して無関心な人もいれば、受け身で歓迎する人や、積極的にそのメッセージを広めて変化を起こそうとする人もいる。

だが僕たちは、ゆっくりではあるが着実に、必要なクリティカルマスを構築しつつある。静かな革命を実現させるためには、全体の過半数の人々に変革を支持してもらう必要がある。

そして、僕たちにはそれができると僕は確信している。

あなたはどうだろうか。「静かなる革命」は自分の国のためになると思うだろうか。変革を目指して、幅広い支持を得た理念主導の運動は、いま存在しているのだろうか。

ぜひ意見を聞かせてほしい。

静かなる革命家からの連絡はいつでも大歓迎だ。
(Photo: phloxii / Shutterstock)

この記事は、2014年3月3日にLinkedInに寄稿した英文を翻訳したものです。

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