ダイバーシティニュース 政治(7/6)津田大介【8/31までの限定公開】

津田大介さんのニュースピックアップ

津田大介:ジャーナリスト/メディア・アクティビスト 
メディア、ジャーナリズム、IT・ネットサービス、コンテンツビジネス、著作権問題などを専門分野に執筆活動を行う。ソーシャルメディアを利用した新しいジャーナリズムをさまざまな形で実践。オンラインメディア「ポリタス」編集長を務める。Twitter

1. 熱海の土石流、原因については冷静な議論を

土石流発生現場の近くにあったメガソーラーが原因であるとほのめかすようなSNS投稿が、災害発生直後から広がっている。確定的なことは言えないものの現時点ではメガソーラーとの関連は薄いようだ。しかし、その話はネットで大きく拡散しており、それを設置していたのが韓国企業との情報まで流れている。実際には日本企業の所有であり、メガソーラー原因説も韓国企業運営説も誤情報のようだ。大規模災害時は衝撃的な情報に飛びつきがちだが、こういうときこそ一歩引いて専門家の見方等を判断材料にしなければいけないと感じる。

2. 三菱電機が鉄道用空調で30年以上にわたり不正検査

「またか」という印象だ。今回は80年代から検査結果を偽装するプログラムまで走らせていたという。組織的不正であり経営の問題と言える。社長の引責辞任にとどまらず、企業として抜本的な出直しが必要ではないか。「我々ぐらいの大企業なら(問題があっても)大丈夫だろう」との過信が不正の温床になっていたと感じる。また、今回の話から過去の“答え合わせ”をしてみると、大きく見れば、こうした過信は日本全体のものづくり低迷にもつながっていた面があるように思う。

3. OECDが多国籍ネット企業へのデジタル課税で大枠合意

2012年から議論されていた話だが、当時と比べても米IT企業はさらに大きくなった。彼らはネットでグローバルにサービスを提供するが、たとえば日本市場における売上もアメリカに計上され、売上に見合った法人税が日本に支払われていない。今回はそうした点も踏まえてデジタル課税の枠組みがようやくまとまったわけだが、これはバイデン政権誕生も影響していると思う。また、コロナで各国の経済や財政が悪影響を受けているなか、ステイホームでGAFA等ビッグテックだけがさらに成長を加速させている点も、「IT企業は課税から不当に逃れているのでは?」との声を後押ししていると感じる。

4. コロナ感染者数が再び増加傾向で第5波の兆しも

現在の感染者数は多くの専門家が言った通りに推移している。しかし、それでも五輪開催が前提となっているがゆえに、今は人流に十分な歯止めを利かせることもできず、当初の想定よりリバウンドが早くなっている状況ではないか。現状では無観客開催も濃厚になってきた。政府の対策に場当たり的な側面はなかったかと思うし、今後の感染防止対策が五輪によってどう変わるのかを含めて注視していきたい。

5. ワクチン不足で職域接種が受付中止 自治体も予約停止相次ぐ

職域接種(モデルナ)のほうは政府が必要数を確保できたから民間に任せるということで、うまく行き過ぎたゆえに足りなくなっているのだと思う。一方、自治体での接種(ファイザー)は高齢者を優先せざるを得ない面もあるが、優先順位に関してはいろいろ議論があるし、確固たる正解はないのだろう。ただ、だからこそ「こういう方針で優先順位を決めている」といった説明が必要だと考えている。

また、現在は自治体でもワクチンが不足しているとの話だが、ファイザーについては政府調達が間に合っていないとの報道もなく不足の理由が分からない。こちらも説明が欲しい。そんななか、本日の報道では6月末までのモデルナ調達数が、実は当初発表の4,000万回でなく1,370万回だったとの話が出てきた。GW前に分かっていたそうだ。なぜ7月になって発表するのか。ワクチン接種による五輪開催への世論をつくりたかったのかもしれない。いずれにせよ、政府にはしっかり説明して欲しい。

【スペシャルトーク】テーマ:「東京都議選、自公で過半数に届かず」

スペシャルトークでは、津田大介さんに今回の東京都議会選挙結果を掘り下げていただいた。

結果に驚いている。事前の世論調査を含めて自民有利の予測が多かったし、実際に自民は第1党を奪還したが、大方の予想であった自公過半数には至らなかった。しかも、今回のように投票日が雨になると5~10%ほど投票率は下がると言われている。そうなると創価学会のような支持母体を持つ公明や自治会を抑えている自民、あるいは共産が有利という見方が、今までは一般的だったわけだ。

ところが、史上2番目の低投票率となったにも関わらず自公過半数に至らなかった。さまざまな要素が絡み合った結果だと思うが、自民に否定的な声は多かったし、その背景にコロナ対策への不満があったのは事実だと思う。また、一時は7~8割が中止を望んでいたとの世論調査結果もあり、五輪開催に不満を持つ人が一定数いることも影響していると思う。さらに小池人気も根強く、最新調査では4年にわたる小池都政の評価は50~60%に達していた。

他方で野党は伸び悩んだが、選挙区ごとに状況を詳しく見てみると、立憲と共産で候補者調整ができていたところはだいたい勝っている。投票率がもう少し高ければさらに議席を増やしていたかもしれない。この結果は何を示しているか。今回の都議選は10~12月と言われる衆院選の予行演習という面もあった。その意味では、基本的には一人区の小選挙区制となる衆院選で、立憲と共産で候補者を一本化できればリベラル側は十分戦えるという話でもあると思う。

また、今回は女性議員の数が過去最高の3割強に達した点が良かった。この比率は国会より高く、3割を超えてくると女性の声が政策に反映されやすくなる。まさにダイバーシティの拡大だ。古い体質でやっていくことにNOの声が挙がった潮目でもあったのではないか。自民はそこを読み間違えると衆院選も厳しい結果になると思うし、次は選択的夫婦別姓も争点になる可能性が出てきたと感じる。

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