ダイバーシティニュース 政治(6/29)竹中平蔵【7/31までの限定公開】

竹中平蔵さんのニュースピックアップ

竹中平蔵:慶應義塾大学名誉教授、博士(経済学)、世界経済フォーラム(ダボス会議)理事
1951年和歌山県生まれ。一橋大学経済学部卒業後、73年日本開発銀行入行、81年に退職後、ハーバード大学客員准教授、慶應義塾大学総合政策学部教授などを務める。2001年、小泉内閣の経済財政政策担当大臣就任を皮切りに金融担当大臣、郵政民営化担当大臣、総務大臣などを歴任。『ポストコロナの「日本改造計画」』(PHP研究所)、『平成の教訓 改革と愚策の30 年』(PHP 新書)など、著書多数。公式サイトTwitter

1. 4-6月期GDPの民間予想平均は0.17%増 前回調査から下振れ

4-6月は緊急事態宣言が発令されていたし、6月末現在もまん延防止がかかっている地域はあるので、たしかにほぼゼロ成長だと思う。ただ、7-9月期の予測は+5%前後と比較的高い。ワクチン接種が加速すればさらに高くなる可能性はあるし、経済全体ではそれほど悲観すべき状況でないと考えている。

2. IMFが2021年世界経済の成長率見通しを5.5%に上方修正

当初、IMFやOECDは2021年世界経済成長率を4-5%と見ていた。私はそれが楽観的過ぎると思っていたが、ワクチンが予想以上に広がり、結果的にはその数字も上方修正された形だ。多くの国で同じように見通しが引き上げられている。「うちの国はコロナ対策がうまくいっている」という国はない。どこの国も手探りで対応を進めるなか、今は世界でも日本でも少し光が見えてきつつある状況なのかなと感じる。

3. 小此木元大臣が横浜市長選に出馬意向 IR誘致には反対

大変驚いた。現職閣僚の立候補という点に加え、菅総理が前向きなIR誘致に、総理と親しいイメージのある小此木さんが反対したためだ。ただ、現政権に反対の立場をとる人たちは「反IR」を市長選のイシューにしたいと考えていて、与党はそれで負けるとIRも市長のポジションも失うことになる。それならばIRを諦めてでも市長のポジションは死守しよう、と。その結果が10月頃と言われる総選挙にもつながるからだ。ましてや横浜は総理のお膝元でもあるので。そうした背景が本当かどうかは分からないが、そういう部分も含めて注目している。

4. 読売新聞世論調査で五輪「開催」は50% 「中止」は48%に

以前から「なんとしても開催して欲しい」と主張していた。五輪は世界のイベント。「日本でやる」と言って誘致したものを日本国内の事情で止めるのは、本来あってはならないことだと考えている。また、イギリスやアメリカを見るとワクチンの効果は相当大きく、今は日本でも接種の加速によって安全な開催への条件が整いつつある。2ヶ月ほど前の世論調査では「中止すべき」が7~8割だった。私はそのときテレビで「世論はときどき間違う。というか、移ろいやすい」という趣旨の発言をしたら前者だけを切り取られていろいろ言われたが、最新の日経調査によれば反対は37%。この比率をさらに下げ、安全対策を万全にしたうえで五輪を成功させて欲しい。

5. ワクチン接種、目標の1日100万回を6月中に達成

スタートが遅かったが、その後の接種拡大スピードはすごかった。実はすべての自治体にアクセスを持つ総務省が頑張っている。当初、多くの自治体は7月までに高齢者全員への接種はできないと言っていたが、総務省はおよそ1,700の地区町村すべてに問い合わせ、状況確認や支援の申し出を行っている。そんなこともあって今は大変な勢いになった。総理が最初に「1日100万回」と言ったとき、多くの人は「できるわけがない」と言っていたが、現時点では120-130万になっているのではないか。総理の強い決意とともに、今は日本社会の力が示されているのだと思う。

【スペシャルトーク】テーマ:「デジタル庁への期待」

スペシャルトークでは、竹中平蔵さんにデジタル庁への期待を掘り下げていただいた。

菅総理が官房長官だった頃、「政治で一番やりたい仕事はなんですか?」と聞いたら、「役所の縦割り行政をなくすことだ」とおっしゃっていた。デジタル庁が目指す政策は、縦割りになっているすべての役所の仕事にデジタルという横串を通す、大変重要な一歩になる。

おそらく世界はこれからデジタル資本主義の競争になるが、そうした潮流にあっても日本は遠隔教育1つなかなか実現できない。これは、たとえば文科省が小中学校の遠隔教育による授業を単位として認めなかったから。つまり規制の問題だ。そうした社会制度の改革とIT化を同時進めないと真の意味でのデジタル化は実現できない。

それを進めるのがデジタル庁と言える。遠隔教育であれば、インフラ整備でiPadを配るだけでなく文科省に遠隔教育の授業も単位として認めてもらわないといけない。ただ、そうなると先生の仕事も変わるし、それによって教員免許の資格も変わるだろう。そうした改革では大変な抵抗が出てくる。自分の仕事が影響を受ける人にとって遠隔医療や遠隔授業といったデジタル化は、ときに心地良くないものとなるからだ。

しかし、行政のデジタル化が進めば間違いなく便利な社会になる。たとえば今は引っ越しをすると大変な目に遭う。役所に転出・転入届けを出して、新しい住民票をもらって運転免許も書き換え、銀行にも証券会社にも住所変更届けを出して…。それをデジタル管理したうえで、市役所に1回届けを出したらすべて処理できるようにすればいい。

ただしデジタル化では、お年寄りをはじめ誰1人取り残されないようにする政策も欠かせない。シンガポールはそうした課題意識から、デジタルの扱いについて困っている人を助ける「デジタルアンバサダー」という制度を設けた。そうした組織をきちんとつくる役割まで含め、とにかくデジタル庁には企画官庁でなく、具体的に「これを実現する」という事業官庁になっていただきたい。

RELATED CONTENTS