ダイバーシティニュース 経済(6/23放送)瀬尾傑 【7/31までの限定公開】

瀬尾傑さんのニュースピックアップ

1. トップジャーナリスト・立花隆さんが、知の巨人と呼ばれていた理由

『文藝春秋』の「田中角栄研究〜その金脈と人脈」などで知られた、立花隆氏が死去。調査報道の金字塔を打ち立てた一方で、宇宙飛行士の思考の変化を書いた『宇宙からの帰還』、猿についての学問を研究した『サル学の現在』など、幅広い分野を執筆してきた。さらに雑誌をよく読んでいたり、趣味が高じてフランス・ボルドーに住んだりと、良い意味での“俗物”。故に好奇心が強く、広いジャンルをカバーされていた。亡くなったことは非常に残念。

2. スパイ活動で70歳の日本人男性逮捕、映画の世界のスパイはほぼ存在しない

日本でスパイ活動に最も詳しい人の一人は元外務省の主任分析官、現作家の佐藤優氏。佐藤氏曰く「スパイ活動の99.9%が公開情報を分析すること」。今回30年に渡ってスパイ活動をして逮捕された70歳の日本人男性も、データベース上にあった論文を分析して秘密を暴いている。映画『007』や『ミッション:インポッシブル』のようなスパイはほとんどいない。

3. コロナ・ワクチンの職域接種スタートで一般への接種率も高まるか

政府が職域接種に踏み切ったことが素晴らしい。職場という慣れた環境でワクチンが打てることで、接種が進んでいく。それに伴って大規模接種会場にも空きが出、結果一般の方の接種率も高まっていく。1日100万人接種の達成にも近づくのでは。

4. これまで好戦的な発言が多かった中国が路線変更?

中国の外交方針の転換と報道がされるが、おそらく広報方針の転換。中国は台湾の統一にかなり野心を示しているものの台湾は抵抗を示し、サポートをするアメリカなどとも武力衝突も起こり得る。だが、中国はアメリカと正面衝突したいわけではない。今後、南シナ海や尖閣諸島などの領土問題において恣意的な活動を止めるかどうかが、本当に外交方針の転換を図っているかの判断ポイント。

5. 「ディス・インフォメーション」は政府が判断するのではなく、民間が判断を

昨今日本でも「ディス・インフォメーション(意図的な嘘の情報)」に基づく人権侵害が社会問題になっている。総務省でも対策を考えているが、言論の自由の侵害に繋がりかねないため官庁が取り締まるべきではない。「ディス・インフォメーション・フォーラム」で対策として挙がったのが、ファクト・チェックをする第三者機関を作る、情報の真偽を判断するためのリテラシー教育をするという2点。民間が行なうことが重要になる。

【スペシャルトーク】ゲスト:藤岡雅さん(フリー記者、ライター)

センセーショナルなタイトル『保身~積水ハウス、クーデターの深層』の著者で、経済分野でも活動されているフリー記者、ライターの藤岡雅さんに「経営者の不祥事は、なぜ繰り返されるのか」をテーマにお話をお伺いした。

積水ハウスのクーデターとは、「不正を正そうとした会長が不正の責任を問われた社長に解任されてしまった」という2018年1月に起こった事件。その前段には、他人の土地の地主になりすまして、勝手に土地を売ってしまう「地面師事件」がある。不動産バブルの80年代に多かった地面師事件だが、アベノミックスで地価が高騰して現代に蘇り、積水ハウスも約55億円を騙し取られてしまった。責任の所在は社長にあるという調査報告書に基づき、人事諮問報酬委員会で社長の退任が決定されたが、多数決により否決。逆に追求した側が解任されてしまった。

日本ではコーポレートガバナンスがしっかり根付いていない。積水ハウスのクーデターもそれが要因になっている部分が大きい。社長は調査報告書を隠蔽し、会長解任は地面師事件と無関係と虚偽の報告をし、ガバナンスが崩壊してしまった。

この事件を取材する上で大変だったのは、オープンソースを集め、証言を突き合わせていく作業。積水ハウスはインタビューを受け付けてくれず、メディア露出を減らすことですべてを穏便に済ませていこうとしていた。こういった不祥事を防ぐためには、株主提案は社外取締役を過半数以上にすることが必要。本来株主資本主義は株主が会社の所有者であるのに、なかなか浸透していない。

藤岡雅さんご経歴:1975年福岡県出身。編集プロダクションを経て、2005年12月より講談社『週刊現代』の記者として活動。現在では経済分野にも活動の幅を広げている。最新著書は『保身〜積水ハウス、クーデターの深層』。

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