ダイバーシティニュース 政治(6/22放送) 吉木誉絵 【7月31日までの限定公開】

吉木誉絵さんのニュースピックアップ

吉木誉絵(よしき・のりえ):日本文化研究科、NPO法人外交政策センター研究員
テンプル大学(ジャパンキャンパス)卒業後、慶應義塾大学大学院法学研究科専攻修士課程修了。日本の憲法について研究を行う一方、大学院修了後からコメンテーターとしてメディアにも出演。著書に『日本は本当に「和」の国か』(PHP研究所)。Twitter

1. “アマチュア”のネット調査が新型コロナの研究所流出説を再燃

メンバーには科学者やエンンジニアもいるというネット調査団が、新型コロナの原型と疑われるコウモリのウイルスを武漢研究所が採取・研究していたことを突き止めたり、同研究所によるコウモリ飼育の動画を見つけたりした。どれも中国側が否定していたこと。それだけで流出は断定できないが、今まで陰謀論で片付けられてきた話も再調査の価値はある。一方でアジア人へのさらなるヘイトが懸念されるし、このニュースをうけ日本でも中国人へのそうした嫌悪が増幅しないよう念押ししたい。

2. 半導体の世界的不足をうけ日本政府も新たな投資の動き

世界最大手の台湾TSMCによる日本国内での半導体製造技術研究に、政府が190億の支援行うとのニュースがあった。ただ、効果を疑問視する声は多いし、TSMCはアメリカに同調して中国への製品供給を一時停止した一方、中国国内の同社工場に3100億円の投資を行う発表もしている。米中間でしたたかにバランスを取る同社の戦略も踏まえつつ、あくまで半導体分野で追いつく努力をするのか、それとも別の次世代技術に投資するのか、日本も判断を迫られていると思う。

3. 改正国民投票法が成立 今後はCM規制の議論を

「主権者たる国民が直接意思表示する場を整える」という手続き法の話なので、それ自体が憲法改正に有利か不利かといった話ではないが、成立したことは重要。今後の課題は政党による広告規制。資金力があればあるほどCM等を打てるというのは問題との指摘がある。一方、「低い投票率で憲法改正していいのか」という最低投票率の議論については、国民による直接意思表明の制約につながるので個人的には否定的だ。いずれにせよ、あえて優先順位をつけるなら改憲議論の加速より広告規制が先かと思う。

4. 結束を取り戻したG7も対中圧力では温度差

米バイデン大統領が多国間強調主義を復活させ結束を取り戻した感のあるG7だが、対中姿勢については顕著な懸念を示す米英日と、中国の刺激を避けたい仏独伊加との温度差が感じられた。ただ、新疆ウイグルの人権問題では見解が一致している。この点、G7で唯一対中制裁を課していない日本に比べるとEUは是々非々で考えているし、そこは見習って欲しい。

5. 土地利用規制法案が可決 対象拡大に懸念の声も

安全保障上重要な施設周辺の土地利用に関して調査や規制を行う法律だが、重要施設の対象拡大に国会チェックが及ばないのではないかとの懸念が出ている。一方で、北海道や沖縄では空港等から数kmしか離れていない土地を中国資本が購入するケースも実際にあったし、それを止める法律はなかった。「安全保障上重要な土地」というのは制限するに妥当な理由だと思うので、外国人による土地取得を規制できないというWTO協定の解釈変更も必要だと考えている。

【スペシャルトーク】テーマ:「男性の育児進出に欠かせない教育とは?」

日本文化研究家でNPO法人外交政策センター研究員として活躍する吉木誉絵さんに、男性の育児「進出」のために欠かせないという教育についてお話を聞いた。

今回のテーマにしたきっかけは、子ども3人いる女性が一番不幸「産むほど幸福度が下がる」育児のリアルというPRESIDENT Onlineの記事を読んだこと。子どもが3人いる身としても気になったので読んでみたが、記事タイトルは(編集側の)ミスリーディングのように感じた。子どもが3人いれば本当に大変なことは私自身も実感しているが。

記事がベースにしている論文を読んでみると、子どもがいることによって生じる夫婦関係の悪化が生活満足度低下の大きな要因になることが明らかになったとの分析がある。そして、「その背景には子どもが生まれることによる夫婦関係の変化がある」と。ただ、記事タイトルから連想するような、子どもの存在自体が生活満足度を低下させるといった話では決してないと主張しておきたい。

そのうえで、やはり重要なのは男性が家事や育児に「進出」し、妊娠や出産も含めて夫婦で支え合うことだと感じる。女性による社会進出のためにも、男性は育児に「参加」というレベルでなく「進出」すること。そのためにも、日本は男性の育児に対する意識を高めるべく、高校または中学から育児に関する教育を必須にすべきではないかと思う。

米国に留学していた高校時代、私は‘Child Development’というクラスを履修したことがある。子どもの発達について学ぶだけでなく、赤ちゃんのお世話を、たとえばおむつの時間になると音(声)が出る人形で疑似体験したりするクラスだ。その人形を持って他の授業を受けたりしなければならず、そこで人形が声を出したりして「育児って、ここまで大変なのか」と。私はそこで学んだ知識が今でも役立っている。18歳から結婚できるのなら、その前に学ぶことが大切になるのではないかと感じる。

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