子ども性犯罪被害の現状、男性版産休の新設など|NPO法人フローレンス代表 駒崎弘樹×丸山裕理【ダイバーシティニュース】

駒崎弘樹さんのニュースピックアップ

1. LGBT理解増進法提出が見送り 次の国会でこそ成立を

なぜ理解しようという法案が見送りになるのか。今回の法案審査過程では自民党議員から「種の保存に背く」等のトンデモ発言も出た。本番組コメンテーターでもある杉山文野氏の言葉を借りると、「この法律で多くの命が救われるが、本法案に反対する人の命が失われるわけではない」。次の国会でこそ成立させるべく声を挙げ続けたい。

2. 都バスで2人乗りベビーカーを折りたたまず乗車可能に

今までは折りたたまなければ乗車できず、それで双子の子育てをする友人が大変な苦労をしていると知った当法人の社員が「なんとかしなければ」との思いで2年前に社会運動をはじめた。そうして小池都知事に要望を提出したり、各方面に働きかけを行っていった末に今回の結果となった。声を挙げれば変えられると勇気づけられたし、10年後は「昔は2人乗りベビーカーってそのままバスに乗れなかったの?」と驚かれる時代になると思う。

3. 医療的ケア児支援法が可決 支援は努力義務から責務へ

人工呼吸や胃ろう等の日常的ケアが必要な「医療ケア児」は、医療の進歩で生き続けることができるようになった反面、その“新しい障害児”に法律が追いつかず、今まで障害児としてケアできていなかった。そこで、医療・保育・福祉等の縦割り行政に横串を通して支援するというのが今回の法律だ。これで各自治体には彼らを支援する責務ができ、支援センターをつくって相談に乗ることなどが決められ、その予算もつくようになった。

4. 児童相談所の職員が一時保護の少女2人にわいせつ行為

虐待等から少年少女を保護する場所で性加害という卑劣な行為が行われた。現在の法律では、性犯罪を起こしたのちに社会へ戻ってきた人々が、保育士や塾の講師といった子どもと関わる仕事に復職できる。これは許されない。性犯罪履歴がある場合は子どもに関わる仕事に就けないようにする「日本版DBS」を一刻も早く実現しなければと、本件を見ても思う。

5. 男性版産休の新設含む「育児・介護休業法」の改正法が成立

国会傍聴席で可決の瞬間にガッツポーズをした。本改正法の目玉は、パートナーが出産した男性社員に対し、育休取得の意思確認を行うよう企業側に義務を課した点だ。日本で育休取得率が低い最大の原因は職場が歓迎してくれないから。それなら歓迎しようがしまいが伝えなければいけないようにしよう、と。また、出産日から8週間のあいだで4週間の産休を取得できる男性版産休も新設された。私も子ども2人で2ヶ月の育休を2回取ったが、かけがえのない時間だった。男性は自分のお腹に子どもができるわけではないから自然には父親になれない。だからこそ、育休を通し生まれたときから子育てを行うことで自ら父親になるべきなのだと思う。

【スペシャルトーク】テーマ:「子どもを性犯罪から守るために何ができるか」

執筆活動や講演活動でも活躍する精神保健福祉士・社会福祉士の斉藤章佳(さいとう・あきよし)さんに、子どもの性犯罪被害に関する現状や「日本版DBS」についてお話を聞いた。

子どもに対する性犯罪の加害者に特化した再犯防止プログラムにたずさわっているが、小児性愛障害と言われる疾患を持つ人々は、他の性犯罪加害者に比べても反復性や衝動性という点で別格である。また、彼らの社会的孤立が再犯の引き金になっている現実もある。

小児性愛障害における「愛」とは加害者側の捉え方であり被害者からすれば紛れもない性暴力。私自身は小児性“愛”でなく、小児性犯罪または小児性暴力と呼んでいる。多くの加害者にヒアリングすると、非常に卑劣で、メディアでは言語化しづらい話も聞く。子どもが騒いだらどうするつもりだったのか訊くと、「そのときは殺せばいいと思っていた」と。相手の生殺与奪を自分が握っているという支配欲を背景とした認知の歪みだ。

こうした犯罪をどう防ぐべきか。現実には一生刑務所に閉じ込めることもできず、いずれ出所した彼らと社会で共存しなければいけない。それを前提にすると彼らの孤立化は最大の再犯トリガー。社会のなかで彼らがつながることができ、かつ秘密を分かち合える、もしくはエビデンスに基づいた再犯防止プログラムを提供できる場所があって、初めて「再犯しない自分」に変わるきっかけを得ることができる。

ただ、アルコール依存症の方が最初の1杯を避けるのと同じで、彼らが犯罪の引き金になる子どもと接することを避けるのは基本中の基本。そのためにも性犯罪履歴のある教員や保育士を再び教壇等に立たせない日本版DBSはぜひ実現して欲しい。

また、今の日本には「子どもを性の対象として消費していい」と受け取れるようなメディアおよび教育コンテンツもいまだ多いと感じる。そうしたコンテンツによる刷り込みをなくしていくことも重要だと思う。

斉藤章佳さんご経歴: 大船榎本クリニックにて、精神保健福祉士・社会福祉士としてアルコール依存症を中心に様々な依存症治療にたずさわる。専門は加害者臨床で現在までに2000名を超える性犯罪者の治療に関わっている。著書には、『男が痴漢になる理由』(イースト・プレス)『万引き依存症』(イースト・プレス)、『しくじらない飲み方 酒に逃げずに生きるには』(集英社)、『小児性愛」という病 ―それは愛ではない』(ブックマン社)、『セックス依存症』(幻冬舎)など多数。

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