天安門事件、G7での対中政策議論など|ノンフィクション作家 河添恵子×佐藤千晶【ダイバーシティニュース】

河添恵子さんのニュースピックアップ

1. 男性の育休取得を促す改正育児法などが成立

すでに平成の時点で“猛烈サラリーマン”的な考え方から変化していた社会に対し、政治側の変化が遅すぎた。男女平等の観点というより、人生で1度や2度しかない子育てだからこそ、その歓びや困難を分かち合うということを仕事のキャリアより優先すべきとの思いがある。北欧はじめ欧州各国では当然の話として男女関係なく赤ちゃんの面倒を見る。日本でも以前から育児休業を導入していた企業はあったと思うし、私も経営者の立場なら「どうぞ休んでください」と伝える。

2.「愛される中国」に 習主席が友好国増やす外交を指示

今さらという感じだ。才能を内に秘め力を蓄えるという、かつての「韜光養晦(とうこうようかい)」の考え方から一転、習近平さんの外交では、現行世界秩序に復讐するかのような表現とともに、戦狼外交と呼ばれる好戦的スタイルをとっていた。ドイツに対しナチスの歴史を揶揄する物言いをしたり、在仏中国大使館がフランス人研究者をチンピラ呼ばわりしたり。それで今になって「愛される外交」と言っても行動が伴わなければ信用されないと思う。

3. 志位共産党委員長が中国のウイグル人権弾圧等に懸念

現在の日本共産党は過剰なほどの人権擁護派だと思うが、中国共産党と違って影響力は日本国内に限定されている。また、いわば愛国党でもある中国共産党に対し、日本共産党は日本のことを悪く言う面もあり、同じ共産党といっても似て非なるもの。人権擁護派であればジェノサイドも指摘される今の中国については口だけでなく制裁法案を出して欲しい。

4. 偏見回避へ、国名使ったコロナ変異株の表記をギリシア文字に

今になって「アルファ」や「ベータ」と言われても意味不明だし定着しないと思う。また、こうした話を報じるなら、武漢の研究所から人工ウイルスが流出した可能性があるという海外の議論について、日本の新聞も突っ込んで書いて欲しい。イギリス型やインド型と呼んでおいて最初の株だけ「従来型」と表現するのも中国への忖度だと思う。

5. 英国開催のG7で中国について集中討議の会合が予定

今はコロナの影響もあって欧州の対中政策が変わってきた。中国に対して「我々のルールに従って欲しい」と言っている状態で、中国がそれを拒否するなら投資協定も決まらないだろうし、ウイグル等の人権問題についても西側の中国評価が変わることはない。そんな状況だけに、日本も今後はユニクロさんが言うような“政治的中立”の立場を取り続けるのは難しい。自由や民主主義を謳う西側の一員として、ときには欧米とともに制裁していくぐらいの厳しい対応が求められると思う。

【スペシャルトーク】テーマ:「天安門事件」

ノンフィクション作家として活躍するコメンテーターの河添恵子さんに、先週の6月4日金曜で32年を迎えた中国の「天安門事件」についてお話を聞いた。

私は1986年から北京にいて、そのあと大連に移ったが、いつかああいうことが起きるという直感は当時から持っていた。改革解放と言われてはいたが、もともと中国は人民解放軍から生まれた国。当時の私と同世代だった中国の学生たちは、私たちと同様に普通の感覚で自由を求めていたと思う。でも、それを潰すように戦車がやってきた。

断定はできないが、おそらく現場では化学兵器も使われてたと見ている。その場にいた方に後年聞いた話では、スプレーのようなものを浴びて緑色の嘔吐物にまみれていた人もいたという。その話をしてくれた方自身も、戦車に轢かれて両足を失ったのち、パラリンピックを目指すも「海外で話題になれば足を失った理由を聞かれる」とのことで一時軟禁状態となり、最終的にはアメリカに逃れた。

しかし、天安門事件のすぐあとフランスで開催されたG7では日本だけが中国への厳しい非難声明に反対した。チャイナスクールと言われる中国シンパが当時の宇野首相周辺を固め、制裁反対を働きかけていたという。中国は党の下に軍がある先軍政治。共産党がお金持ちになれば軍拡が進むだけで、その銃口はいずれ日本にも向くと私は考えていたが、当時は誰もそれを信じなかった。中国からすれば日本をシンパにするのは簡単だったと思う。

いずれにせよ1989年には東欧革命やソ連解体もあり世界は激変していた。今はそれに近い状況だ。戦争の形が変わっただけで、「現在は第二次大戦に続く戦争のような状況」と言う方もいる。日本では戦争の“せ”の字も禁句だが、日本だけが良い子でい続けることはできない。中国と一緒にやっていくところと厳しく対応するところを、勇気を持って分けていくべきだと考えている。

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