コロナ禍の東京オリンピック、米でユニクロ輸入一部差し止めなど|日本文化研究家 吉木誉絵×佐藤千晶【ダイバーシティニュース】

吉木誉絵さんのニュースピックアップ

1. ワクチン接種架空予約への抗議に対し、朝日と毎日が見解

今回はメディアの言う「公益性の高さによる報道の必要性云々」という話より架空番号で予約という取材手法のほうが問題だと感じる。行政法における適正手続の原則は、公権力を手続き的に拘束するという意味で人権保障と結びついている。メディアは公権力ではないが権力は持っているし、朝日も毎日も人権尊重を強く謳うメディアの筈だ。

2. 東京都による百貨店の高級ブランド休業要請に強い不満

人の流れ抑制が主な目的なら百貨店はデパ地下の密を抑制すべきではないか。都の政策は科学的根拠でなく空気で決められているように思う。都知事は築地のときも土壌汚染対策について科学的に大丈夫とされていることをひっくり返した。政策で最も大事なのはあらゆる状況に即応したライン設定のはずだが、それがなされていないと感じる。

3. イスラエルとパレスチナの停戦合意が21日に発効

停戦は一時的であるように思う。ガザ地区への空爆では子どもを含む一般人に多大な犠牲が出てしまった一方、ハマスは軍事施設を一般人の居住地区につくったりもしていて、とにかく複雑な要因が絡み合う問題だ。そこで日本は基本的にどちら側にも立っていない。そんななか、中山防衛副大臣が「私達はイスラエルとともにある」と、“私達”という言葉で片方に寄った発言をしたのは大変まずかったと思う。

4. ビットコインが急落 中国とイーロン・マスクの規制の影響

2018年の誕生以来ビットコインは30%以上の下落を数十回起こしているし、中長期的には今回の件も世界的需要を覆すものではないと見ている。一説によると、なんらかの形でビットコインを保有する人は世界人口の1.3~1.7%。それほど多くの人が保有しているなら、それより人口が少ない国の発行通貨と比べても価値はあるのではないか。急落は一時的だと思う。

5. アメリカがユニクロ製品の輸入を一部差し止め 強制労働の疑いが背景か

米税関当局は強制労働により製造された綿がユニクロ製品で使われた疑いがあるとしているが、中国に配慮してか、ユニクロは今回の件について「新疆ウイグルの綿は使用していない」との明言をしなかった。先般はアリババ子会社の上場に当局がストップをかけたが、これはジャック・マーの当局批判が原因とされる。そうした中国の政治リスクをユニクロも見ているはずだし、彼らが世界一を目指すなら中国は絶対外せない。工場も6割が中国にあり、簡単に他国へ拠点を移すこともできないと思う。その一方で、日本の消費者にはしっかり説明すべきであると思う。

【スペシャルトーク】テーマ:「教育現場のプロと語る、コロナ禍の東京オリンピック」

海外留学指導の専門校「アゴス・ジャパン」の代表取締役の横山匡(よこやま・ただし)さんに、コロナ禍の東京オリンピックについてお話を聞いた。

いただいたテーマはリーダーシップと政治の話になると思う。コロナとときを同じくすることで叩きやすいトピックになってしまったが、旅行業も飲食業も工夫や我慢を強いられる一方、場合によっては政府から支援を受けている。それに対し、スポーツ産業、またはキャリアで積み上げてきたアスリートという職業人が活躍の場を奪われることは、妥当なのか、公平なのか。

アスリートも皆「何がなんでもやりたいとは思っていない」と言う。ただ、(発言を)切り取られるので。旅行業界に対し「なぜGoToトラベルを止めるよう自分たちから言わないのか」と言う人はいないが、オリンピックについては根拠のないまま、なんとなく、夏の感染拡大の最大要因であるような空気がつくりあげられている。

周囲のおかげで自分たちキャリアが成り立っているとの思いを、アスリートは一般の社会人よりよほど強く抱いていると思う。オリンピックをやるべきか否かは彼ら彼女らが向き合う課題ではない。政治トップが覚悟を持って、思惑や優先順位が異なる人々を納得できる落としどころに導くという仕事をしなければいけない。その落としどころがこの1年でつくられなかった結果として、批判の矛先がアスリートに向かないことを願う。子どもの頃から夢見た舞台に「出たいですか?」と訊かれて「いや、そうでもないです」と答えるアスリートはいないが、「何がなんでも」と言うほど世間知らずな人たちでもない。

今はオリンピックが分断の軸になりつつある。分断を乗り越えるためのDEI(Diversity, Equity and Inclusion)という概念、なかでもEquityについて考えてみると、これは平等というより公平さ。何が公平かと言えば、そのときどきで最適解を導くことだと考えている。皆、スタートラインが違うためだ。

ではオリンピックはどうか。もともと8年前に国際社会へ約束したところがスタートラインであり、招致を決めたのも政治的判断だった。それを覆すなら、意思決定者らが優先順位を整理して納得を導く必要がある。今はそれが弱いのだと思う。最終的に中止はあり得るが、思いとしては、アスリートのキャリアを根こそぎ奪うだけの根拠がない限り、できる範囲で実現を目指すことが8年前の約束実現だと考えている。

横山匡さんご経歴:1958年東京都荒川区生まれ。中学校時代をイタリア、高校、大学時代をアメリカで過ごす。UCLA言語学卒。UCLA在学中には全米優勝回数最多を誇るバスケットボールチームで日本人初のヘッドマネージャーとしてNCAA大会など各地に遠征。1983年卒業後帰国。1986年に大手留学支援エージェントに入社。大学進学プログラムサービスを開発し進学指導プログラムの責任者として12年間勤務。1998年より現職のアゴスジャパンにて出願指導部門の責任者から社長、会長を担い、現在はアゴス・ジャパン代表取締役。社外活動では一般社団法人HLAB共同創立者兼ヘッドコーチ、株式会社ワーク・ライフバランス社アドバイザー、株式会社 ICHI Commons アドバイザー、JAOS海外留学協議会評議員などを務めるほか、アスリートへのコーチングやメンタリングでも活躍。

RELATED CONTENTS