「乙武義足プロジェクト」、LGBTQへの差別など|作家 乙武洋匡×丸山裕理【ダイバーシティニュース】

乙武洋匡さんのニュースピックアップ

1. 議員の一定枠を女性とするクオータ制実現に向け、超党派の勉強会

ほぼ男性社会である日本の政治において、一定枠を特定の属性とするクオータ制を導入することで女性議員の増加を目指すという。大事なのは多様な観点でクオータ制が検討されること。「まずは女性を」という切り口に異論はないが、その先では、障害者あるいは海外にルーツを持つ方など、他のマイノリティへの視点も持っておきたい。

2. 自民がスクールバス導入の勉強会発足 国内すべての小学校区に

これも多様性につながると話だと考えている。子どもの減少によって学校の統廃合が進むことで、学校がさらに遠くなってしまう子が出てくる。徒歩数分の子と30分の子がいる状態は本当に平等なのか。そこでスクールバスを導入し、家から遠い子でも安全に、かつ時間や労力をかけず通えるようにすることは、多様性の観点でも大切だと思う。

3. 「ノマドランド」に「ミナリ」 米アカデミー賞で目立つ多様性

現在、アカデミー賞は出演者やスタッフについても多様性の確保がノミネート要件の1つになっている。「作品の良し悪しだけで審査すべき」との異論はあるが、「真に優れた人々が非白人という理由で審査の土俵に登れない現実もあり、やはり基準を設けるべき」という意見もある。私としては前例ができるのは大きいと思うし、実績ができれば今後はフラットな視点から、純粋に作品や演技の良し悪しで決める流れになるのではないか。

4. 全盲者に点字ないワクチン接種券を送付 申し込めないまま2週間

いち障害者としてやるせない思いもあるが、人間、なんでもかんでも想像力を働かせられるものではないし、「起こりがちだな」とも思う。発送する役所の方々が普段から視覚障害と一緒に働いていたら、「あ、これは視覚障害の人が分からないね」と気付けたと思う。その意味では、政策に賛同するか否かは別として、れいわ新選組から重度障害者の方2人が国会へ送り込まれたのも大事なことだと感じる。

5. 自民会合で「LGBTは種の保存に背く」等の差別発言

差別禁止法を求める野党に対し、自民党が出しているのは「理解増進法」。私は前者がいいと思う。理解の有無に関わらず人権は守られなければいけないが、現実問題、今は同性愛者という理由で就職できなかったりする例もあるからだ。で、結局は与野党調整で「差別は許されない」との文言を入れて決着しそうになったが、自民はそれにも慎重とのこと。差別を許さないことに“慎重でありたい”って、どういう国なのか。自民会合で、LGBTは「種の保存に背く」「道徳的に認められない」といった発言が出たことにも大変驚かされた。認めるか否か以前に現実として存在する人々だ。自らの好き嫌いを道徳という言葉にすり替えて排除しようとしてはいまいか。

【スペシャルトーク】テーマ:「乙武義足プロジェクト」

作家として活躍する乙武洋匡さんに、現在取り組んでいる「乙武義足プロジェクト」についてお話を聞いた。

歩くうえで膝の役割は大変重要。意識せずとも適切な角度に曲がり、そこで“ロック”がかかったりするのは実はすごいことで、その動きを機械で代替するのは不可能とされていた。しかし遠藤謙さんという義足エンジニアの方が人間の膝の動きを代替するモータを開発。それを組み込んだロボット義足を使うと、私のように両膝がない人間も歩ける可能性が出てきた。

これ、義足業界内でこそ画期的だが社会全体へのインパクトは今ひとつ。そこで、四肢がないイメージの強い私が義足ですたすた歩けるようになれば大変なインパクトになるということで、私に白羽の矢を立った。プロジェクトのメンバーは遠藤さんのほか、義肢装具士である沖野敦郎さん、理学療法士の内田直樹さん、そして私の4人だ。

左右で計9kgの義足をつけて歩くので結構大変だし、いろいろアクシデントにも見舞われる。私は一日のほとんどの時間、体が“L字型”になっているから、歩きはじめると慣れ親しんだ「L」に戻ろうとして前屈みになり倒れてしまったり。でも、今はそこで内田さんにアドバイスをいただいたら魔法をかけられたように改善したりしている。「プロってすごいな」と思うし、人間のメカニズムはよくできているなと感じる。

これは歩くことを諦めている方々へ希望を届けるプロジェクトであり、私は被験者。ある程度歩けるようになっても私自身は今後の生活で車椅子を選ぶと思う。ただ、今は両膝を失った方に二足歩行の選択肢がない。その選択肢を手に入れたうえで、実際にはどちらを選んでもいい、と。「今日は車椅子、明日は義足」でもいい。とにかく選択肢を増やしたい。

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