差別投稿への賠償判決、入管法改正案の廃案など|メディアアクティビスト 津田大介×佐藤千晶【ダイバーシティニュース】

津田大介さんのニュースピックアップ

1. 防衛省のコロナワクチンセンターで予約トラブル多発

突貫工事でつくったためか、システム不具合が多発している。対象外の65歳未満の方が予約できたり、あるいは1人で何回でも予約できたりしているという。この問題を懸念し検証するメディアに対し岸防衛大臣が抗議したという対応も良くない。システムづくりを急かせ過ぎた結果ではないか。担当の方々は懸命に修正していると思うが、今回の進め方については後日の検証も必要かと思う。

2. 下地前宮古島市長が自衛隊駐屯地の用地取得に関し収賄の疑いで逮捕

ゴルフ場だった当該用地は下地前市長が自衛隊に何度も推していたという。結局そこに決まったが、実は売却を望むゴルフ場側から市長が700万円弱の賄賂を受け取っていた。ストレートな収賄案件であり、売却額も高額で森友問題とも構図が似ていると感じる。安全保障という大きな話が市長一個人に歪められた。来年の県知事選や名護市長選にも影響すると思う。

3. イスラエル軍がパレスチナのガザ地区を空爆

ネタニヤフ首相の支持率が下がり、かつパレスチナ問題でイスラエル市民にも犠牲者が出ていることなどが重なって、今回は大変な強硬姿勢だ。報道機関が入居するビルも空爆された。そこにはインターネット事業の施設も入っていたという。ネットで現地から世界に向けて簡単に情報が伝えられる時代だからこそ、その統制を狙っているのではという見方もある。

4. 米で美容整形が増加 スマホの“ビューティーフィルター”が影響か

コロナの影響で自分の顔を見ながらビデオチャットをする機会が増えた。お肌の映りをきれいに加工したりするフィルターを経て画面に映るのは美女美男ばかり。その姿と現実の差に耐えられず、リアルでも“フィルター”をかける美容整形が増えているという。日本でも美容整形は増えていると聞く。なりたい自分がスマホ等で具体的に提示しやすくなったのも影響しているかもしれない。まったくのネガティブな話でもないと思うが。

5. 入管法改正が廃案に

スリランカ人女性のウィシュマ・サンダマリさんが入管で死亡した件では医師の入院提言も無視されている。隠蔽が疑われ抗議が広がり、著名人や学者の方々による反対の声も審議に影響した。検察庁法改正案のときと同じだ。それで廃案になったが死因は究明しなければいけないし、今回の背景には難民等の人権軽視がある。入管の体質や仕組みを変えたうえで、日本が世界でも類を見ないほど難民を認定しない点を変える議論も必要だ。

【スペシャルトーク】テーマ:「ネット上のコリアンヘイトに賠償命令」

メディアアクティビストとして活躍するコメンテーターの津田大介さんに、ネット上のヘイトに高額な賠償命令が下されたニュースについてお話を聞いた。

在日コリアンの母親を持つ中学生に対し差別的なブログ投稿がなされたことに関する裁判で、今回の高裁判決では「悪質な差別である」として、ブログ投稿者に130万円の賠償が命じられた。

日本には「差別が違法になる」としっかり定めた法律がない。在日コリアン問題に限らず、女性差別、同和問題、アイヌや障害者への差別についても同じ。包括的な差別禁止法がないから侮辱罪や名誉毀損といった他の法律で戦うしかなかった。これに対し今回の判決が画期的だったのは差別であることを現行法の枠組みで認めた点。1回の書き込みで賠償が認められたことも含め、今後に向けて大きな判例になると思う。

一方で、最近はDHCという企業の会長が自社サイトで在日コリアンへのヘイトスピーチを行っていることもニュースとなっている。ただ、こちらは属性に対する差別であり、特定個人の人格権を傷つけたことによる前述のような賠償にはならないという。

日本でもヘイトスピーチ解消法という法律はできたが、これは理念法であり刑罰がない。今回の判決をきっかけに、刑罰を含む包括的な差別禁止法をつくる議論を進めて欲しい。また、属性に対するヘイトスピーチを社会で広めないために何ができるか。表現の自由に配慮しながら、現実に行われている差別やヘイトスピーチを減らすための議論も続ける必要がある。

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