都心でも実践できる生命エネルギーの高め方―食・武道・禅の「瞑想」
食物の命をいただいた後は、中尾先生が注いでくださった香湯(香木を浄水で煮出した清浄な湯)を使い、刷で食器を洗う。そして、その香湯を一口だけいただき、香湯を折水としてお返しする。この丁寧な食事の作法を通じて、私は宇宙を感じ、生きることとは多くの生物の命をいただいて命の交換をしていること、自身も生命界での一部であることを、刷へ残す七粒のお米や折水の工夫より認識した。
動く「瞑想」―身体を通じて宇宙とつながる
続いて、動く瞑想(合気道)だが、ここは私が担当した。合気道の始まりは、会津藩の重臣の技である合気柔術である。お殿様の前では刀を抜くことや立ち上がることが許されていなかった合気柔術の名残で、合気道には座り技がある。つまり、刀を持つ敵に素手で座ったまま応戦するのだ。そこまで不利な状況で応戦するには、宇宙と一体となる必要がある。合気道の稽古とは、宇宙と一体になることを目指していることを参加者に説明する。
そのあとは、合気道の実践を行った。合気道の実演では、中尾先生の講義と食事で広がった宇宙のイメージをそのまま使わせていただき、技の実践の中で、重力と友達になり、円運動を行い、合気道でも宇宙と一体となれることを実演する。
宇宙には、重力があり、星は円運動を行っていることから、合気道では、これらの動きを取り込み、相手を投げたり、捕えたりする。また、中尾先生の仏教における心の次元の通り、相手を投げようという自我(五識)が稽古相手への感謝に変わった際に技にどのような変化が生じるかを掴んで貰う意味で、相手と手を合わせ、或いは相手を愛した時に、稽古相手がどれほど軽く感じるかを参加者にも体感いただく。
その後は、MITのSenge教授やScharmer教授がSoL(Society for Organizational Learning)にて実施しているSocial Presencingと呼ばれる身体劇をグループで行う。これは、“出現したがっている未来”を表出させる身体劇だ。