ダイバーシティニュース 経済(10/26)瀬尾傑【11月30日までの限定公開】

瀬尾傑(せお・まさる):スマートニュースメディア研究所 所長
1965年、兵庫県生まれ。同志社大学卒業。日経マグロウヒル社(現日経BP社)に入社。経営企画室、日経ビジネス記者などを経て、講談社に転職。2019年2月、調査報道支援のための子会社、スローニュースを設立し、代表に就任。新しい時代のジャーナリズムの育成と支援に取り組んでいる。Twitter

瀬尾傑さんのニュースピックアップ

1.習近平国家主席が異例の3期目に就任

権力が長く続くと様々な問題が出てくることから、中国の国家主席は2期というルールがあったが、習近平が自らこのルールを変更した。胡錦濤派閥は全て排除された形となる。中国共産党の一強支配となったが、これで安泰かというとむしろ逆だ。ゼロコロナ政策によって上海や北京がロックダウンされたこと、アメリカとの対立により経済状況は悪化している。この状態が続くと中国の成長が滞る可能性もある。

2.フランス料理のクオリティ低下において日本が力を発揮?

コペンハーゲン在住のイギリス人ジャーナリスト、マイケル・ブースによる「フランス料理の味も落ちたという」コラムが話題になっている。フランス料理のクオリティ低下の理由の一つに、フランス人が修行を嫌がるということがある。そんな中、日本から勉強しに行くシェフは料理を学び自分なりにアレンジを加えて新たな料理を生み出している。彼らがフランスの料理人に刺激を与える可能性があるとして記されている。

3.岸田首相がマイナカードを持たない人向けの制度作成を表明

紙の保険証を廃止するにあたり、マイナンバーカードを持っていない方も保険診療が受けられるような制度を作るという考えを明らかにした。だが、元々はマイナンバーカードを普及させるために保険証や免許証との一体化を行う政策だったため、迷走していると言わざるを得ない。これでは本来の目的が達成できず、新たな仕組みを作る手間も増える。本当に必要なのはマイナンバーカードのセキュリティ強化ではないだろうか。

4.SNSでの名誉毀損で自民党杉田議員が敗訴

杉田水脈議員がジャーナリストの伊藤詩織氏から名誉毀損で訴えられていた裁判で、一審の判決が棄却され名誉毀損が認められた。過去に伊藤氏を攻撃する発言をしていたこと、20以上の攻撃的なツイートにいいねをしているという状況を踏まえて判断された。杉田氏はフォロワー数が多く、いいねをすると拡散されてしまう点も焦点になった。

5.ネットの情報を精査する「日本ファクトチェックセンター」設立

GoogleとYahoo!の出資により、SNSで配信されている情報をチェックする「日本ファクトチェックセンター」が設立された。報道機関は対象外であることへの批判もあるが、元々SNSにおけるフェイクニュースをどうするかという議論から立ち上げられた民間の組織である。この組織が唯一ではないため、今後様々なファクトチェック団体ができていくことが期待される。

【スペシャルトーク】地方における書店経営や出版業界を取り巻く現状について

スペシャルトークでは、株式会社カニジルの社長でありノンフィクション作家、編集者でもある田崎健太さんに、書店経営や今後の展望についてお話を頂いた。

鳥取大学医学部附属病院の広報誌を依頼され、鳥取といえば蟹ということから「カニジル」という名前をつけたのが社名の由来。病院長から「地域から発信したい」と言われており、本屋や出版ができたらいいと考えていた。2021年に会社を立ち上げ、「カニジル・ブックストア」を開店。編集者や作家がどれだけ頑張っていても、この20年で書店の数は体感で1/3以下に減っている。特に地方の本屋が弱っているという実感があった。

どういう本を置くかがメッセージになる。売れる本であればヘイトなどを並べることも多いが、それをやめようと考えた。「カニジル・ブックストア」は「QOL」「医療」「ノンフィクション」の3つをテーマに本を選んでいる。「QOL」は大きな括りで考え、上質な小説や絵本、エンターテインメントも含んでいる。コロナ禍もあってお客様は通院される方がほとんどだが、地元では大きく取り上げられており、近隣からわざわざ来店してくださる方もいる。

ノンフィクション作家が書店の開設をするのは大変だった。市場規模が縮小しているのに参入が難しい不思議な業界である。出版社と書店の間に取次があり、取次に認められないと商品が入らないのがその理由だ。ただ、取次が悪いかというとそうではなく、取次がいないと本が回らないのは事実である。今回は病院に書店を作るという取り組みがパイロット盤になるのではないかと前向きに組んでもらうことができた。

「カニジル・ブックストア」では様々な方に選書してもらっている。自身も本は読むが抜けはある。それを補ってくれるのは本を読んでいる人。SNS時代で、いい本を読んでいる人に多く出会えるようになった。編集者や作家、医師など多くの方に頼み、多彩なジャンルの良書を選んだ。

書店を運営していて気付いたのは、都市と地方で売れる本が違うこと。日本の出版業界は東京を基準に考えられているが、それが本当に全国の人に求められているかというとそうではない。地方で売れるのはほっこりして尖っていない本。食や住まい、緩和ケアといったものの方が売れている。

メディア事業においては、大阪の千船病院でも「虹くじら」という広報誌をスタートした。地方は病院を中心にしたコミュニティがまちづくりの要になってくると考える。都市以外の地域で最も人が集まる「病院」の価値を再定義する時期に来ているのではないか。今後、会社としては出版社になりたいと考えている。日本は地方出版という豊かな文化があるが、第一世代の引退などにより勢いがなくなっている。地方から発信することで都市部から人が来ている実例もあり、楽しいことをしているという雰囲気づくりが地域活性化につながると思われる。

田崎健太さんご経歴:「地域活力創造チーム」による株式会社カニジル代表取締役。編集者、ノンフィクション作家。twitter

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