ダイバーシティニュース 政治(10/25)朝比奈一郎【11/30までの限定公開】

朝比奈一郎(あさひな・いちろう):青山社中株式会社 筆頭代表CEO
1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、通商産業省(現経済産業省)入省。ハーバード大行政大学院修了(修士)。経済産業省ではエネルギー政策、インフラ輸出政策、経済協力政策、特殊法人・独立行政法人改革などに携わる。経産省退職後、2010年に青山社中株式会社を設立。政策支援・シンクタンク、コンサルティング業務、教育・リーダー育成を行う。著書に『やり過ぎる力 (ディスカヴァー・レボリューションズ) 』など。Twitter

朝比奈一郎さんのニュースピックアップ

1. 旧統一教会問題で山際経済再生担当大臣が辞任へ

国会でも激しく追及されていたし、事実上の更迭だろう。支持率がだいぶ下がってきたなかで不祥事による閣僚辞任となると、政権としては厳しい。山際氏は経済再生およびスタートアップの担当大臣として、今後経済政策の中核を担う重要な政治家という期待が高かった。それだけに、こういう形の辞任は残念だ。経済財政の手腕は未知数だが、後任に後藤茂之前厚労相が就任したのは安定重視だと思う。

2. 「聞く力」発揮できたか 岸田政権が発足から1年経過

国葬への批判や旧統一教会問題が支持率低下の背景と言われるが、実際には国民が飽きてきたのだと思う。一国を率いる船頭が「人の話を聞きます」だけでは難しい。本日の野田元首相による安倍元首相追悼演説で感じられた「語る力」を学んで欲しい。また、「作る力」も大切だ。成長戦略が重要となる今の日本だけに、起死回生の一手として、担当大臣であった山際氏に自らスタートアップをやらせてみてはどうだろうか。

3. 習政権が3期目入り 首相候補に上海トップで側近の李強氏

今までは各派閥の人材をバランスよく入れていたが、今回は政治局常務委員が7人とも習近平派。胡錦濤の退場は見せしめに近いと感じるし、大エースの胡春華氏を降格させる一方、ゼロコロナで経済を傷つけたと言われる李強氏をNo.2にするなど、もう必死だと感じる。台湾情勢で軍事に走る可能性もある。ただ、混乱を極めるなか、今回排除されたと言われる中国共産主義青年団の出身者らが今後復活する可能性はあると思う。

4. イタリア初の女性首相誕生 極右のジョルジャ・メローニ氏

欧州の対ロ包囲網に楔が打ち込まれるリスクが生まれたと感じる。連立政権を組むのは、プーチン大統領とも親しいとされるベルルスコーニ元首相率いる中道右派。もともと極右勢力というのはプーチン的手法と親和性が高いし、ベルルスコーニ氏らは「対ロで連帯し過ぎるとエネルギー危機等で生活が困るのでは?」というスタンスだった。メローニ首相も今はロシアに厳しいスタンスだが、今後はどうなるか分からない。

5. 英新首相、初のアジア系で20世紀以降最年少のスナク氏が就任

日本も見習わないといけない。退任したトラス前首相の大衆迎合的な経済政策で英国の金利は急上昇し、国債は暴落。国家がマーケットにやられてしまった。マーケットが大きくなれば相対的に国家の規模は小さくなるわけで、日本も一歩間違えると危ない。その点、スナク氏は投資銀行出身でマーケットも分かっている。42歳と若いが、デーヴィッド・キャメロン氏もトニー・ブレア氏も40代で首相になった。その意味では期待している。

【スペシャルトーク】日本の円安をどう考えるか

スペシャルトークでは、「日本の円安・貿易赤字拡大をどう考えるか」と題して、朝比奈一郎さんに掘り下げていただいた。

円安については受け止め方を変えて、あまりひどい状態だと考えないほうがいいと思っている。マクロ経済において、通貨安政策は、基本的には国家を潤すもの。「Beggar thy Neighbor Policy(近隣窮乏化政策)」であり輸出競争力も高まる。1980年代の日本は「近隣窮乏化政策だ」と叩かれ、結果的に円高へ進んでしまったが、今は日本だけ円安にも関わらず、どこも文句を言ってこない。短期的には貿易赤字が拡大し輸入物価も上がって大変だが、見方次第ではチャンスと言える。

縦軸に貿易収支をとれば、円安によって収益は一瞬悪化するが、円安条件でさまざまなビジネスが進むことにより輸出ドライブがかかり、いわゆる「Jカーブ効果」が表れる。問題は今からきちんと上昇すること。各国の利上げで景気が冷え込んでいるし、ウクライナ侵攻等の地政学リスクからパンデミックまで、いろいろとリスクはあるが、やり方によっては結構いけると思う。

まずは円安メリットを活かすべく、素材や工作機械といった日本が強い輸出産業でてこ入れを行ってはどうか。今はインバウンドが増えてモノやサービスを買ってくれるし、越境ECも伸びるだろう。また、中長期的には日本国内に投資を戻すことも重要だ。今までは円高で中国やベトナムに工場を展開していたが、円安で国内に投資が戻れば地域も潤う。

最も重要なのは新たな成長セクターへの投資と言える。この20年、誰もが分かっていたことが、たとえばクールジャパン機構のような「何かやる人がいたらお金を出します」といった“応援団”はいても、自ら実行する人間が少なかった。そこで、先ほどの山際氏の話になる。極端な話、10人でも100人でも、官僚や政治家を辞めてグローバル競争のプレイヤーになってみてはどうか。そこで、スタートアップ担当大臣として経験も人脈もある山際氏が、先頭に立って自ら「行きます」と言えばいい。

日本が成長しないのは自分ではじめるリーダーがいないから。私は‘Leader’の日本語訳を変えたらいいと思う。指で導く「指導者」でなく、自分で始めて動く「始動者」。桃太郎が鬼退治をすると言ったとき、村人は皆反対したが、それでも一人歩いてたらキジや猿が入ってきた。そういう人がたくさん出ないと勝てない。岸田政権としても、生活者の困窮に対して「聞く力」で措置を講じるだけではじり貧だろうから、「語る力」と「つくる力」で円安のチャンスを活かして欲しい。

ダイバーシティニュース視聴方法

1.LuckyFM茨城放送のラジオ FM88.1/94.6MHz
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