家計管理の一歩、「ペアる」で文化をつくる――スマートバンク堀井氏インタビュー(前編)

キャッシュレスが今以上に普及した先に、必要になるものとは

――:深川さんはスマートバンクのメンバーの方々も認めるB/43のヘビーユーザーだと聞きました。いちユーザーとしても何か思われる部分はありますか。

深川:家族と共同の支出管理ツールとして便利に使っているのはもちろんですが、ほかにもひとつ面白い副産物に気づきました。それは「ペアる」が習慣化されると、消費がトランザクションを使った家族とのコミュニケーションツールのような側面を持ってくるということ。というのも、カードを使うと即時に通知が届くので、お互いの行動をなんとなく把握できます。駅前で買い物をしているからもうそろそろ帰ってくるな、と思ったり、今日どこで食事をしていたのかが分かって会話の中で感想を聞いてみたり。クローズドSNS的な感覚がありますね。将来的には子供や、高齢になった親と利用するなどの使い道もありそうだなと感じています。

――:仲のよい人とはゆるやかに常時つながり続けるような、新しい世代の価値観やライフスタイルに馴染んでいる感がありますね。それだけ支出管理・家計管理とは生活に深く関わるものだと思いますが、堀井さんはなぜこの領域に注目されるようになったのでしょうか。

堀井:原点になる体験はいくつかありますが、少し昔にさかのぼります。もともとフリマアプリのフリル(現在は楽天ラクマに統合)という事業で創業し、7年ほど経営していました。
実は、フリマアプリというのは稼いだお金をサービス上で預かり管理するサービスでもあります。フリマアプリでモノを売ったお金で生活されている方も、一定数いらっしゃるんです。彼らに聞くと、使いすぎで今週のクレカの引き落としを乗り切れないから、モノを売ったお金でなんとかまかなう、といった話が出てきます。ではなぜ使いすぎてしまうのか聞いてみると、根本には支出の管理ができてないことがあるようでした。
消費者金融で借りるレベルでもないけど、ただ管理がうまくできず一時的にお金に困ることがある方がいる。そんなレベル感の課題が社会にあるんだな、と注目していたんです。

B/43のアプリ画面。支出がリアルタイムに反映され蓄積されていくほか、毎月レポートが作成されるなど、ユーザーの支出管理をサポートする様々な機能が搭載されている

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