ダイバーシティニュース 政治(10/4)津田大介【11/30までの限定公開】

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津田大介(つだ・だいすけ):ジャーナリスト/メディア・アクティビスト
メディア、ジャーナリズム、IT・ネットサービス、コンテンツビジネス、著作権問題などを専門分野に執筆活動を行う。ソーシャルメディアを利用した新しいジャーナリズムをさまざまな形で実践。オンラインメディア「ポリタス」編集長を務める。Twitter

津田大介さんのニュースピックアップ

1. 国家安全保障戦略などの改訂に向け有識者会議が初会合

ロシアによるウクライナ侵攻をはじめ今は国際情勢が大きく変化している。EU諸国はGDP比で国防費を2%に高めることなどを目標としており、その意味で防衛力強化は国際潮流に合う動きだ。ただ、具体的にどれほど、どのような形で増額するのか。2021年防衛費は6兆9300億円。GDP比2%なら14兆円におよぶ。財源は国債でいいのか。防衛力強化だけでなく安定的な財源確保とセットでなければならない。国民的議論が必要だ。

2. 三菱重工と日立GE、次世代型原子炉開発を相次いで発表

安全性を高めた次世代原発で脱炭素を進めるという岸田政権の政策転換が背景にあるのだろう。一方で、実際にはウクライナ侵攻でも原発が攻撃を受けているわけで、安全保障上のリスクは置き去りにできない。また、2030年代に実用化したとして、そこから原発新設でさらに10年。完成が2040年代なら政府が目標とする2050年の脱炭素にも寄与できない可能性がある。それなら再生可能エネルギーに投資してはどうかという議論もある。

3. 防衛省が日常的なセクハラ認め謝罪 告発以外にも複数被害

セクハラを訴える空気もなく、勇気を出して告発した元自衛官女性は関係者から中傷を受けていたという。また、性暴力に対する刑事告発は「目撃者がいない」とのことで、一度は不起訴処分になった。性犯罪は密室で起きるのだから目撃者がいないのは当然だろう。本件は検察審査会が不起訴不当として捜査やり直しとなった。今回の謝罪を受けて捜査の結果も変わるのではないか。再発防止を含む根本的対応策が問われる。

4. 男性育休で変わるか 15年前と同じ家事育児負担の夫婦格差 

日本の女性が家事育児に割く時間は男性の5倍。OECD平均の2倍以下をはるかに上回り、男女賃金格差の大きさとともに、出生率が6年連続低下している理由の1つと言える。男性の「育休義務化」は大きいが、制度だけでなく意識も変わらないと女性が出産を選べる社会にならないだろう。増額が議論される防衛費7兆円の半分でも子育て政策に振り分けてはどうか。国を維持する瀬戸際の深刻な問題と捉えていただきたい。

5. プーチン大統領がウクライナ4州のロシア編入を宣言

「独立を承認する」というそもそもの侵攻理由となった東部2州に加え、ロシアは南部2州も併合を宣言した。戦争のレベルが悪い方向に一段階上がると感じる。クリミアと4州におけるウクライナの反転攻勢は「国境を越えたロシア領への攻撃」と解釈され、場合によっては戦術核の使用を招く可能性も出てきた。それだけロシアも追い詰められているのだろうが、犠牲者の数は今後桁が変わると予想され、出口がない印象だ。

【スペシャルトーク】都立高校入試の英語スピーキングテスト

スペシャルトークでは、来春の都立高校入試で導入されることが決まった英語のスピーキングテストについて、その問題点を津田大介さんに掘り下げていただいた。

2021年9月、東京都教育委員会が都立高校の入試に活用することを決めた英語のスピーキングテストだが、これは試験日本番には行われない。今年は11月27日に実施され、来年1月中旬に出るというその結果が、入試本番の得点に最大20点加算されるという仕組みだ。

本件は、最終的には導入が撤回された2年前の記述式および民間試験の構造と似ている。そもそも結果が出る翌年1月中旬というのは志望校もだいたい決まっている時期のはずだが、最大20点の加算ならスピーキングの結果次第で合否が変わるかもしれないわけで、志望校選びにも影響するだろう。それが翌年1月中旬では遅すぎる。生徒にとっても保護者にとってもメンタル的に大変な負担だ。都立高の願書提出は、その2週間後。こんなスケジュールはありえない。

また、塾等でスピーキングテストに慣れている生徒と異なり、学校の授業だけでやってきた生徒は対策もなかなかできず、経済格差が教育格差になる可能性もある。さらに言えば、本テストは「ESAT-J」というシステムを使うが、これはベネッセの「GTEC」という既存の技能テストと非常に似ている。すでに「GTEC」を導入している学校とそうでない学校でも対策に差が出るだろう。私立ならともかく公教育の都立校でそれやっていいのかという議論がある。

最大の問題とされるのが不受験者の扱いだ。11月27日に試験を受けられない生徒の加算点は、「筆記やリスニングで、同じまたは前後の点数を取った受験生の点数から算出される」という。そんなやり方は聞いたことがない。これではスピーキングが苦手なら受験しないほうが有利になることすらある。「人生を左右しかねないテストを“ガチャ”にするようなやり方だ」と言う保護者もいる。

このテストを運営するのは、2年前に記述式および民間試験の導入を断念したベネッセだ。過去に大規模な個人情報流出事件を起こしたこともある企業の運営で、個人情報を登録することに二の足を踏む人もいるだろう。今回は住所や顔写真も登録するというが、何に利用するのか。「読む」「書く」に加えて「話す」力を鍛えたいという趣旨自体は分かるが、それが入試で行われるのはなぜなのか。今回の決定に至る過程は不透明だし、やはり拙速だったと思う。今後もまだまだ紛糾すると思うので、日本全体における公教育の問題として皆さんにも関心を持って欲しい。

ダイバーシティニュース視聴方法

1.LuckyFM茨城放送のラジオ FM88.1/94.6MHz
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