ダイバーシティニュース経済(9/21)湯浅エムレ秀和【10月31日までの限定公開】

湯浅エムレ秀和(ゆあさ・えむれ・ひでかず):グロービス・キャピタル・パートナーズ ディレクター
グロービス・キャピタル・パートナーズで主にフィンテック(金融×IT)、人工知能、ブロックチェーン、ドローン、インターネットメディアの投資案件を担当。オハイオ州立大学ビジネス学部卒(優秀賞)、ハーバード大学経営大学院MBA修了。Twitter note

湯浅エムレ秀和さんのニュースピックアップ

1.AdobeがFigmaを相場の50倍相当で買収

ソフトウェア会社(SaaS)のAdobeは200億ドル(約2兆8700億円)でFigmaを買収した。同社は約10年前にAdobeのPhotoShopを打倒しようと創業者が当時19歳で設立。6年前に製品を発売し4年前から課金を開始。今年の売上は4億ドルと短期間で急成長した。SaaSの時価総額は売上の10倍が妥当だが、Figmaの買収額は売上の50倍に当たることから、市場では高すぎるとの評価。Figmaはシンプルで安価な点と多彩なコラボレーションが魅力だった。

2.パタゴニア創業者が全株を寄付、収益を気候変動対策に還元

アウトドアブランドのパタゴニアの創業者であるイボン・シュイナード氏は、保有する全株を新設した基金と環境保護団体に譲渡した。今後パタゴニアの収益は、すべてこの基金と団体に寄付される。同氏はロッククライマーとして活動するうちに必要なアイテムの製造販売を始めパタゴニアを創業。もともと環境やサステナビリティへの意識が高い。名実ともに気候変動対策が実現されるモデルであり、新たな資本主義と言えるかもしれない。

3.サウジアラビアで進む圧倒的規模感の高層ビル計画THE LINEに注目!

サウジアラビアに建設される巨大高層ビルプロジェクトTHE LINEの概要が注目を集めている。同国は世界最大の産油国だが、石油枯渇への国家的危機感から、様々なプロジェクトが進む。その一つがテクノロジーを軸にした、政府主導の巨大都市計画NEOMだ。NEOMの中に位置するTHE LINEは高さ500m、幅200m、長さは170kmにわたる居住建築物。その距離は、東京から水戸市をさらに超えた先に相当する。居住者数は同国人口の4分の1に当たる900万人を想定。すごい規模感だ。

4.アイリスオーヤマが収納家具50品目の生産を中国から国内へ

アイリスオーヤマが収納ボックス50品目の生産を中国から国内に切り替える。中が空洞でかさばる収納ボックスの輸送費を抑えることが目的だとされているが、急激な円安も影響しているだろう。円安が続けば、海外よりも国内生産の方が安いケースが続き、この流れはさらに加速するだろう。ただし、国内の人口減少がどう影響するか。日本が世界の工場といわれた時代に戻るのか、良し悪しを見極める必要がある。

5.海外では減速気味のユニコーン企業、日本では根強い伸びに期待

未上場で時価総額1千億円以上のユニコーン企業は10年前に米国で生まれ、テクノロジーブームで黄金時代が続いた。だが昨年末の米国の金利上昇がテック株に影響し、2度目の資金調達での評価は1千億円割れする企業も。日本初のユニコーン企業はメルカリで、2018年の上場直前に1千億円を超えた。日本のユニコーン企業の歴史はまだ浅く、米国の500~600社に対し10~20社と限られる。今後の伸びに期待がかかる。

<スペシャルトーク>人類を変えたイノベーション・シリーズ「化学肥料」

スペシャルトークでは、「人類を変えたイノベーション・シリーズ」の第2弾として、化学肥料についてお話を頂いた。

現在の世界人口はおよそ80億人。1900年頃は、食料が足りなくなるので15億人が天井だと言われていたが、ここまで増えた要因の一つとして「化学肥料」の存在が挙げられる。

農業が始まった1万年ほど前から、人間は「同じ土地からいかに食料をたくさん収穫するか」という課題について試行錯誤してきた。18世紀頃には化学が進歩し、植物の成長には「窒素、リン酸、カリウム」の3要素が必要だと特定されたが、当時の人々はこの3要素が含まれるものを求めて世界中を探しまわる。結果、リン酸やカリウムが豊富に含まれる、「グアノ」という海鳥のふんなどが堆積し化石化したものをペルー沖にあるチンチャ諸島で見つけるが、20年もたつと取りつくされ枯渇してしまった。

その後、いずれは枯渇してしまう天然資源に頼らず人工的に肥料をつくる方法が世界中の科学者によって研究され始めた。そうしたなか、ドイツのフリッツ・ハーバーが、空気中の窒素をアンモニアに変え固形化する技術を確立した。このハーバーの基礎研究をもとに、いかに大量生産させるかを考えたのがカール・ボッシュだ。ドイツのBASFという化学メーカーの工場で生産が進み、1910年頃から徐々にこのハーバー・ボッシュ法により化学肥料がつくられるようになった。

だが、1914年に第一次世界大戦が勃発、アンモニアは火薬の原料にもなるため、肥料工場は火薬工場に切り替えられた。敗戦後、ヒトラー政権が誕生すると、ドイツはハーバー・ボッシュ法を用いガソリンを内製するようなり、国力をつけ始める。食糧問題解決のために確立されたハーバー・ボッシュ法だったが、ヒトラー政権を巨大化させる結果となった。なお、ユダヤ人だったハーバーはドイツから迫害されてしまう。

化学肥料の発展にはいろいろな歴史があるが、ハーバー・ボッシュ法のおかげで農産物の収穫量は飛躍的に伸び、結果として世界の80億人もの人口を支えている。まさに人類を変えたイノベーションであり、世紀の発明だったといえる。

ダイバーシティニュース視聴方法

1.LuckyFM茨城放送のラジオ FM88.1/94.6MHz
2. YouTubeライブ配信(アーカイブでも視聴可能です)https://www.youtube.com/channel/UCOyTwjQoiUJXxJ8IjKNORmA
3. radikoでも聴取可能です

最新情報は、Twitterでご確認ください。

※当コンテンツは作成時点までの信頼できると思われる情報に基づき作成しており、正確性、相当性、完成性などのほか、当情報で被ったとされる利用者の不利益に対しグロービス知見録編集部は責任を負いません。

RELATED CONTENTS

RELATED CONTENTS