ダイバーシティニュース経済(8/17)湯浅エムレ秀和【9月30日まで限定公開】

湯浅エムレ秀和(ゆあさ・えむれ・ひでかず):グロービス・キャピタル・パートナーズ ディレクター
グロービス・キャピタル・パートナーズで主にフィンテック(金融×IT)、人工知能、ブロックチェーン、ドローン、インターネットメディアの投資案件を担当。オハイオ州立大学ビジネス学部卒(優秀賞)、ハーバード大学経営大学院MBA修了。Twitter note

湯浅エムレ秀和さんのニュースピックアップ

1.ニュースソースはInstagram、10代に最も人気 英機関調査

イギリスの調査で、10代の若者に最も人気のニュースソースはInstagramという結果が出た。海外ではニュースメディアがSNSに進出している傾向が強いことも一因だと考えられる。面白いのが、SNSでニュースを見ているものの、従来型のメディアに比べてSNSで見たニュースへの信用度は低いということ。自分達の目に触れるニュースが必ずしも正しいとは限らないと判断するリテラシーはあると言える。

2.週4日勤務の実験が進む 英国企業70社・3300人以上対象

2022年6月よりイギリスで70社3300人以上の労働者を対象に、過去最大規模の実験が行われている。インフラなど業種によって週4日勤務は難しいと思われるが、週休3日の生産性が高かった場合、オフィスワーカーなどの働き方が変化する可能性もある。日本マイクロソフトが2019年に週休3日制を試し、生産性が40%上がったという結果も出ている。

3.超高速旅客機「オーバーチュア」 2025年にプロトタイプ完成へ

米ブーム・スーパーソニックが、音速を超える速度で飛ぶ旅客機の実物大プロトタイプを2025年に完成させると発表した。2029年までの実用化を目指している。完成した場合、現在7時間かかるニューヨークからロンドンまでの移動が3.5時間に短縮できる。航空会社2社が既に発注しており、そのうちの1社がJAL(日本航空)だ。

4.ガソリンスタンドの国内店舗数 ピーク時の半分に減少

1994年のピーク時は6万店近くあったが、この30年程度で半減した。後継者不足や需要減少、地下のガソリンタンクに対する危険物流出防止措置の義務化が要因だ。ハイブリッド車や電気自動車の台頭、そもそものクルマ離れ、日常的に灯油を使わなくなったことなど、ライフスタイルの変化が一番の原因だろう。代わりに電気自動車の充電ステーションが増加していくと考えられる。

5.「ミッキーマウス」が2024年に著作権フリーに 誕生95年で

ただし、商標権はディズニーが持っており、ディズニーを連想させてはいけないという。「くまのプーさん」は既にパブリックドメインとなり、ホラー映画も撮られた。著作権・商標はキャラクタービジネスにおける生命線であり、95年間の著作権保護は一部で「ディズニー法」とも呼ばれている。一方、規制を緩めることでより広く愛される場合もある。例えば、サンリオの「ハローキティ」は新たなライセンスビジネスとして注目を集めている。

<スペシャルトーク>人類を変えたイノベーション・シリーズ第1弾 「貨物コンテナ」

スペシャルトークでは、「人類を変えたイノベーション・シリーズ」の第1弾として、貨物コンテナについてお話を頂いた。

貨物コンテナは船などに積んである巨大な鉄の箱のこと。陸地ではトラックに載せて使用する見慣れたアイテムといえる。本格的に使用が始まったのは1950年代からと、意外と歴史が短い。貨物コンテナが登場する前は、「バラ荷」と呼ばれる重さ・大きさの様々な荷物を、主に人力で積み下ろししていた。荷物の増加に伴い、時間やコスト、安全面の問題が大きくなってきたことに目をつけたのが米国人のマルコム・マクレーンという起業家だ。1930年代、22歳でトラック会社を立ち上げ、創業から15年で600台ほどのトラックを持つ大企業に育てた実力の持ち主でもある。

当時、第二次世界大戦が終わってアメリカでも自動車が増えて道が混雑するようになった。それによりトラックでの運搬が困難になったことで、マルコムは海に注目する。大戦で使われた船が安く民間に払い下げられていたこともあり、「トラックを船に乗せたら渋滞もない。しかも船は余っている」と考えた彼は、大きな船にトラックごと乗せて運搬し始めた。そのうちに、荷物だけを船に載せたらいいと考えるようになった。その際、従来のように荷物を一つずつ運ぶのではなく一つの巨大な箱に入れ、箱ごと船に積み込み、そのまま次のトラックに載せることを思いついた。そこでマルコムは所有していたトラック600台を全て売り、全財産をコンテナ産業に注ぎ込んだ。

従来の港・船の設備や税関がバラ荷に最適化されていたため、最初はなかなかスムーズに進まなかったという。コンテナは人力で運べず特別な機材が必要になるほか、船もコンテナに合わせなければならない。コンテナの中身の確認、関税のあり方といった面でも変化が求められる。マルコム一人の力では限界があったことから、彼は従来のシステムでメリットを享受できていない港の協力を得て、対応を進めていった。コンテナはバラ荷と比較してコストが1/40になるという圧倒的な利点によって顧客が集まり、多くの港でコンテナ対応が進むようになった。

マルコム・マクレーンは20世紀を代表する起業家と言える。世の中のインフラを変え、自分の会社の枠をはるかに越えた範囲に影響を与えていったのは驚くべきことだ。貿易に使用されることもあって、コンテナの国際規格も生まれた。彼のイノベーションがアメリカだけでなく世界中に広がり、世界情勢にも影響を与えた。その一つは、国際物流の増加だ。これまでコストの問題で自国で作っていた製品を安く作れる国に任せられるようになったことで、やがて中国が世界の工場として伸びていった。発展途上国が安い労働力を活かして生産拠点となり、徐々に経済を発展させていくという恩恵をもたらしている。

二つ目は長距離輸送が可能になったことで内陸部の発展が容易になったことである。内陸部への物流はコストが非常に大きいことから、人類の文明は多くが水辺で発展していた。ところがコンテナの登場によって内陸部への物流コストが大きく低下し、発展が平準化されるようになったと言える。

現代のスタートアップにおいて新たなテクノロジーやプロダクトを普及させようとした時、マルコムが行ったように既得権益の少ない人間を仲間にする、国際規格を作るといった部分は大いに参考になるだろう。既存の仕組みを作り替えようとする点において、電気自動車を手掛けるテスラ社のイーロン・マスク氏は似た部分がある。ともに安全面やコスト面の改善、環境問題など、共感を得られるビジョンを掲げているのが大きな特徴だ。社会に関わるものを変えていく上では、独りよがりではなく賛同を得られる世界観が必要だと言えるだろう。

ダイバーシティニュース視聴方法

1.LuckyFM茨城放送のラジオ FM88.1/94.6MHz
2. YouTubeライブ配信(アーカイブでも視聴可能です)https://www.youtube.com/channel/UCOyTwjQoiUJXxJ8IjKNORmA
3. radikoでも聴取可能です

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