ダイバーシティニュース 社会(5/23)為末大【6/30までの限定公開】

為末大(ためすえ・だい):株式会社Deportare Partners代表
1978年広島県生まれ。スプリント種目の世界大会で日本人初のメダルを獲得。3度のオリンピックに出場。男子400メートルハードルの日本記録保持者(2021年4月現在)。現在は、Sports×Technologyに関するプロジェクトを手がける株式会社Deportare Partnersの代表、アスリートの社会貢献を目指す一般社団法人アスリートソサエティの代表理事、新豊洲Brilliaランニングスタジアムの館長も務める。著書に『走る哲学』(扶桑社、2012年)、『諦める力』(プレジデント社、2013年)など。Twitter公式サイト

為末大さんのニュースピックアップ

1. ホンダが国内で原則出社の方針に切り替え 対面重視 

僕にとってはリモートが超快適だ。産業や企業文化にもよるが、「リアルへの切り替えが正しかった」となる可能性はあるだろう。それまで聞こえていなかった同じ空間の会話でも、「為末が」という言葉が入った途端、耳に入ってくる「カクテルパーティー効果」がリアルの世界にはある。そうした情報の“ざわざわ”としたところが、オンラインでは遮断されてしまう。もちろんリアルでの業務には非効率な面もあるので、働き方が選べるようになればと思う。

2. AV出演強要の被害防止・救済目指す新法の素案まとまる

「イエス」という言葉が、本当にその人の一貫した自由意思を表しているのかという問題がある。投身自殺が多いとされる東尋坊には「明日にしよう」と書かれた立て看板がある。気の迷いなどで一時的に自殺という手段がひらめいた人も、一度時間をおいて冷静になると思いとどまることがあるという。アダルトビデオ(AV)出演も、時間をおいて継続的に意思を確認することが今後は必要かもしれない。

3. 外出時の脱マスクに69%賛成 政府も条件付きで不要の見解

毎日新聞と社会調査研究センターが5月21日に実施した全国世論調査によると、外出時のマスク着用について「人の少ない屋外では外してもよい」との回答が69%に達した。僕も今は駅までの自転車移動でマスクを外している。付けるときも外すときも法律でなく政府の推奨で動くというのが日本のユニークな点だが、どこかのタイミングで外さないといつまでも付け続けることになる。ある書籍で「日本の意思決定は空気によって行われる。それを変えるには“水を差す”しかない」という話があった。今回は(水を差されなくとも)自ら空気を変えていけるようにする練習になると思う。

4. 細田衆院議長、「文春砲」のセクハラ報道を否定

政治家の方に張り付いて情報を引き出す番記者は、相手に心を開いてもらう必要がある。ただ、記者なのか政治家の味方なのか、立ち位置が難しいし、今後はそうした取材手法自体が問われるようになると思う。あと、僕も歳をとって感じるが、どんな発言が不適切か分からなくなってくる面はある。それを正すためにも、心理的安全性が確保された状態で意識をアップデートできるような場所が必要ではないかと思う。

5. 文化庁が京都移転、2度の延期を経て23年3月に業務開始

僕もスポーツ庁の方にヒアリングを受けることはあるが、ご自身でスポーツに触れるほうが実態も分かるのではないかなと思うことはある。その意味では、文化庁職員の方が京都という場所で、その文化に触れながら仕事をするインパクトは大きいのではないか。京都の企業の方とお話をしていると、たとえば100年の歴史ある企業も「若造」なんて言われたりするなど、世界でも希な都市だと思う。文化庁職員の方が羨ましい。

【スペシャルトーク】為末氏が開発した新作遊具とは

スペシャルトークでは、為末大さんがプロデュースした子ども用の新作遊具「ケプラー」と「ケプラータワー」についてお話しいただいた。

スポーツでは決められた動きすることが鍛錬になると思いがちだが、その瞬間ごとの自由なひらめきがないと高いパフォーマンスにはつながりにくい。そうした力を育むためにも、子どもの頃は決められた動きを繰り返すより、遊んだほうがいいと考えている。ただ、自由な遊びと「こういう動きをしたほうがいいよ」と伝えることのバランスが大事で、それを両立できるのが遊具ではないかと思っていた。

対角3メートル前後の十角形をした遊具「Kepler」は、内側がすり鉢のような形状になっている。内側を勢いよく走ると遠心力で体が傾いてバンクを走るように感じになり、そのなかでも真っ直ぐ走ろうとすることで体幹ことができる。スプリントでは体を真っ直ぐにすることが大事。日常生活は掴みづらいその感覚を、遊びのなかで体験してもらいたい。

一方、高さ5m超の「Kepler Tower」は、1階が「Kepler」、2階がロープをくぐりながら進む網目の空間になっている。こちらは体を捻ったりねじったりしないとくぐれない。また、全身を使ってジャンプできる構造物も加えている。走るというのはジャンプの連続であり、全身を連動させる動きだ。たとえば投球が得意な子どもは全身を使って投げるが、それができない子は「手投げ」になる。全身を使うという運動も早くから覚えてもらいたかった。

まっすぐ走ること、体を捻ったりすること、そして全身を使って弾むこと。僕自身がスポーツをやってきたなかで、小さいうちから感覚を覚えておいたほうがいいなと感じていたそれらの要素をつなげて、遊具に詰め込んだ。6才ぐらいまでに経験して欲しいと思っている。

遊びは本当に深いと思う。主体的でない遊びというものはないし、計画的な遊びというものもない。少し進んでみて、そこで見えた風景に応じて、「じゃあ、こうしよう」とか、その場で思いつくのが遊びだ。その意味では「Kepler」も「Kepler Tower」も現代に合っていると思う。言われた通りではだめで、自分で考えつつ間違えたら再チャレンジしたりと、常に固まらず、実験し続けるような体験の源泉に遊びがあるのだと思う。混沌として未来が見えない現代、子どものクリエイティビティを高めるには、全身を使って遊んでもらうのがいいと思っている。

ダイバーシティニュース視聴方法

1.LuckyFM茨城放送のラジオ FM88.1/94.6MHz
2. YouTubeライブ配信(アーカイブでも視聴可能です)https://www.youtube.com/channel/UCOyTwjQoiUJXxJ8IjKNORmA
3. radikoでも聴取可能です

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