ダイバーシティニュース テクノロジー(5/20)宋美玄【6/30までの限定公開】

宋美玄(ソン・ミヒョン):産婦人科医・医学博士・性科学者・丸の内の森レディースクリニック院長
大阪大学医学部卒業後、川崎医科大学講師、ロンドン大学病院留学を経て、国内で産婦人科医として勤務。日本新生児周産期学会会員、日本性科学会会員、日本産婦人科学会専門医。“カリスマ産婦人科医”として様々な女性の悩み、セックスや女性の性、妊娠などについて女性の立場からの積極的な啓蒙活動を行っている。Twitter

宋美玄さんのニュースピックアップ

1.日本消滅か!? イーロン・マスク氏の衝撃的な警鐘

電気自動車大手テスラの最高経営責任者のイーロン・マスク氏が、日本の出生率の低下について「いずれ日本は消滅するだろう」とツイート。日本の人口減に警鐘を鳴らした。昨年10月1日時点で10年連続で減少幅が拡大しているが、個人的には「人口減少」そのものを悪とは思っていない。各世代の比率、つまり「高齢化」のほうが大きな問題だと捉えている。今回のツイートによって注目が集まったことは確かだから、深く掘り下げていくきっかけになると良いと思う。

2.「分娩医」育成が急務に 医学部入試に初の「産科枠」

和歌山県立医科大学は、来年度から医学部の入学試験に全国初の「産科枠」を設けることになったと発表。背景には、産婦人科の医師の中でも不足が深刻化する「分娩医」の育成がある。卒業して産科医になると、9年間、和歌山県内の病院に勤務してもらうとの話だが、これを聞いて「囲い込み」のようにも感じてしまった。それよりも、働き方や待遇の改善などによって「分娩医を目指したい」状況を考えていくことも大事だと感じている。

3.進まない処方薬の市販 医療界の「慎重姿勢」が壁

医療用で使われていた医薬品を一般の市販薬として販売することを認める規制改革の動きが停滞している。アフターピル(緊急避妊薬)や新型コロナウイルスの抗原検査キットなど、要望の多い医薬品も解禁されず、国の審議が滞っている場合が多い。特にアフターピルについては、手軽な入手によって悪用や乱用が増えるとの声もあった。もちろんそういった側面もあるが、同時に「女性のニーズに応じたアクセスの良さ」も考えていかなければならない。

4.日本の「マスク生活」いつまで? 夏を前に賛否両論

新型コロナウイルスの感染者が減少傾向にあるなか、「脱マスク論争」が急浮上している。日本ではいつまでマスク生活が続くのかと、さまざまな意見が飛び交っている。政府は、現時点で「屋外で他の人と十分な距離をとれる場合は必ずしもマスクをつける必要はない」としているが、この議論はもっと後に行うのでもよいのでは、というのが私の意見だ。マスクを着用しながらの旅行やイベントなど、行動が解禁されていった後での議論で良いのではないかと思う。

5.出産育児一時金引き上げ提案にあわせ「出産費用」の議論を

出産にあたり健康保険などから42万円が支給される「出産育児一時金」の引き上げが検討されている。高額な出産費用の負担を減らすことが背景にはあり、42万円以下で出産できたのは全体の7%という調査結果もある。しかし、その方法については丁寧な議論が必要だと考えている。たとえば、都心と地方ではかかる固定費も大きな違いがあるし、引き上げに伴って医療費も上がってしまっては意味がない。自治体を軸に施策を考えていくことにヒントがあると思う。

【スペシャルトーク】アフターピルの市販化

スペシャルトークでは、日本の若者の「性」に関する社会課題に取り組んでいるNPO法人ピルコン理事長、染矢明日香さんに「アフターピル(緊急避妊薬)のOTC(一般医薬品)化」についてお話を頂いた。

NPO法人ピルコンは、科学的に正確な性の知識と人権尊重に基づく情報を発信している。中高生向け、保護者向けの性教育講演・性教育教材の製作など性の健康に関する啓発や、政策提言の活動を行っている。

アフターピルは、避妊の失敗や性暴力など望まない妊娠を防ぐために使われる薬。72時間以内に服用することで高い効果を発揮する薬なのだが、日本では医師の診療がなければ入手できない。世界では約90カ国で処方箋なしでの薬局販売が行なわれているのに対し、日本では「アクセスの悪さ」が課題となっている。このような状況を受け、ピルコンも日本でも望まない妊娠をした人が、いつでも確実に入手できる環境を整備する必要があると考え、OTC化を求める活動を行ってきた。

OTC化がなかなか進まない理由の一つは、誤用や過剰服用のおそれに加え、「容易に緊急避妊薬にアクセスできるようになることは、不適切な性活動を奨励していることになる」などの批判があることだ。もちろん悪用・乱用の問題は無視はできないが、それ以上に、受診のハードルが高く「アフターピルを服用できない女性を救う環境」を作るべきだと思う。性暴力によって「妊娠したかもしれない…」と不安に思う女性を多く見てきただけに、強く願うところだ。

また日本の性教育の遅れを理由にする声もあるが、「性教育」が充実してから「アフターピルのOTC化」とするのではなく、両輪で考えていくことが重要だと思う。

染矢明日香(そめや・あすか)さん経歴:NPO法人「ピルコン」理事長
自身の経験から日本における思いがけない妊娠・中絶の多さに問題意識を持ち、慶応義塾大学在学中に学生団体ピルコンを立ち上げ、性の健康の啓発活動を始める。民間企業勤務を経て、2013年にNPO法人ピルコンを設立。保護者や教育関係者向けの性教育講座について、自治体からも多く要請を受けている。Twitter

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