ダイバーシティニュース 政治(5/17)津田大介【6/30までの限定公開】

津田大介(つだ・だいすけ):ジャーナリスト/メディア・アクティビスト
メディア、ジャーナリズム、IT・ネットサービス、コンテンツビジネス、著作権問題などを専門分野に執筆活動を行う。ソーシャルメディアを利用した新しいジャーナリズムをさまざまな形で実践。オンラインメディア「ポリタス」編集長を務める。Twitter

津田大介さんのニュースピックアップ

1. 日本のコロナ累計死者数3万人超 今年だけで1万人以上に

初の死者が出た2020年2月13日から約1年2カ月後に1万人となった累計死者数は、そこから10カ月後の22年2月に2万人となったのち、わずか3カ月で3万人に達した。第6波の死者は80代以上が7,000人、70代が2,000人、40代以下は100人前後。そうしたデータも見ながら医療リソースの配分を含め、今後はある程度ウィズコロナとしていくのか否か、国民的な合意を探る必要があるし、政治側は明確なメッセージを出してほしい。

2. 内閣支持率が上昇 ウクライナとコロナの対応で評価

早くからロシア制裁に踏み切るなどウクライナ対応は早かったが、コロナ対応はほとんど何もしていないと感じるので、少し不思議だ。ただ、参院選まであまり大きな法律を通さないと見られていた岸田政権が、今は住宅断熱化の基準達成を義務づける法案やアダルトビデオ(AV)出演強要被害の救済法案の成立に向け急ピッチで動いている。予算審議が早く進んでいることもあり、このまま大きなスキャンダルもなければ、政権にとってはいい状態で参院選に突入できると思う。

3. 岸田首相、独首相にベルリン市内の慰安婦像撤去を要請

もともとは韓国系市民団体の働きかけによって1年限定で設置されていたものだったが、日本の保守系団体などが罵倒するような形で抗議をした結果、ベルリン市の区長がかえって事態に驚き、「むしろ設置に意味があるのでは?」と、設置期間を延長した経緯がある。その期限も8月に切れるということで今回は岸田首相が要請したようだが、ドイツ首相に撤去の権限はない。むしろ総理の要請が逆効果になって恒久設置の流れになりかねないと感じる。

4. 福島県葛尾村の帰還困難区域指定が6月12日に一部解除

除染が進み放射線量もだいぶ減ったということで今回の措置となったが、将来にわたり帰還困難とされていた区域の方々は、すでに避難先で新たな生活を送っていることも多い。帰還可能な時期が早まったこと自体は望ましいと言えるが、準備宿泊への応募も4人と少なく、もどかしい気持ちだ。帰還困難区域を減らすより、今住める区域のインフラ整備を進めるなど、新しい町づくりに力を入れるほうがよいのではないか。

5. 沖縄の本土復帰50年、続く苦悩に「祝う気半々」の声も

琉球新報は5月15日付朝刊の特別号1面トップの見出しを、50年前と同じ「変わらぬ基地 続く苦悩」にしたうえで、サブタイトルを50年前の「いま 祖国に帰る」から「いま 日本に問う」へ変えた。安全保障で必要以上の犠牲を支払わされてきた状況での50周年式典は空しく感じるし、自己決定権が狭められた状態での本土復帰に疑問を持つ若い人々もいる。沖縄の負担軽減という難題を突きつけられているのは本土側と言える。

【スペシャルトーク】AV出演強要被害の救済法案

スペシャルトークでは、「AV出演強要の被害を防止する救済法案の行方は?」というテーマで、津田大介さんに掘り下げていただいた。

本件については、AV出演後であっても契約を取り消し、市場から商品を回収できるという「未成年者取消権」を、成人年齢引き下げによって18~19歳が失ってしまう問題があった。実際、明確な脅迫ではなくとも、口車に乗せられてAVへ出演する羽目になってしまうなど、AV業界ではさまざまな手で意に反する出演を強要されてしまうケースがある。そこで、未成年者取消権に代わる救済措置を、出演強要被害にあった女性らの支援団体などが要望していた経緯がある。

この要望をうけ、取消権の復活は見送る一方、18~19歳以外、つまり20歳でも30歳でも出演後1年間はクーリングオフのように契約を解除できるという案が今国会で与党のプロジェクトチームから出され、与野党の大枠合意も得られた。

新法のポイントをおさらいすると、出演者に性行為を強制してはならないというルールのもと、まずAV出演の契約を行う段階で、事業者から詳細な説明と契約書交付の義務が課せられる。口約束はだめ。また、その契約後に撮影をするまで、1カ月の猶予を設けることも定められる。「その1カ月のあいだによく考えましょう」ということで、「やっぱり嫌です」となれば契約を解除できるというわけだ。

さらに、実際に撮影が行われたあとは出演者に撮影映像確認の機会を与えなければならず、そこで望んでいなかった映像の使われ方だと感じた場合も出演者は契約を解除できる。しかも撮影後、商品が世に出るまでは4カ月の猶予が設けられるとともに、先ほど触れたように、発売後1年間も契約解除ができるという立て付けだ。それら一連のプロセスにおいては、出演者側に違約金は発生せず、何かあった場合はAV事業者のコストとなる。被害救済という意味では、かなり画期的だと感じる。

ただ、この法案にも反対意見は出ている。そもそも新法によって性売買が合法化されるという懸念があり、「商品化そのものを禁止すべきである」という意見がある。現場での被害防止および被害者救済とは別に「AVの社会的有害性」という視点があり、今回の対策を政治側に求めていた人々とは見ているポイントが違う。女性を守りたいとの想いは賛成派も反対派も同じだが、現場での被害救済というメリットと、中長期的なデメリットのせめぎ合いがあるわけだ。難しい議論だが、今国会では6月の会期終了ぎりぎりまで議論が続くと思う。ぜひ多くの方に関心を持ってほしい。

ダイバーシティニュース視聴方法

1.LuckyFM茨城放送のラジオ FM88.1/94.6MHz
2. YouTubeライブ配信(アーカイブでも視聴可能です)https://www.youtube.com/channel/UCOyTwjQoiUJXxJ8IjKNORmA
3. radikoでも聴取可能です

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