ダイバーシティニュース テクノロジー(5/13)中村友哉【6/30までの限定公開】

中村友哉(なかむら・ゆうや):株式会社アクセルスペースCEO

東京大学大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻博士課程修了。在学中より、超小型人工衛星の開発に携わる。2008年に株式会社アクセルスペースを設立。超小型人工衛星を活用した宇宙ビジネスを展開している。

中村友哉さんのニュースピックアップ

1.宇宙ステーションへの民間旅行開始 1人分の旅費は71億円

アメリカの宇宙企業アクシオム・スペース主催の国際宇宙ステーションへの民間宇宙旅行が始まった。1人当たりの旅費は5500万ドル(約71億円)とされている。このニュースのポイントは完全に民間主導であること。いままで民間人の宇宙飛行は、NASA(米航空宇宙局)やJAXA(宇宙航空研究開発機構)などの宇宙機関が主導していた。アクシオム・スペースは独自の民間宇宙ステーションの建設を目指す企業。本格的に宇宙活動を始める第一歩という位置づけだろう。

2.米ハリス副大統領、衛星攻撃兵器の実験禁止を呼びかけ

持続可能な宇宙環境のためにアメリカのハリス副大統領が、衛星攻撃兵器(ASAT)の発射実験を今後実施しないことを確約すると表明した。ASATとは、地球軌道上の人工衛星を攻撃する兵器。人工衛星が破壊されると何万という破片が宇宙空間上に飛び散る。それにより宇宙ステーションにいるクルーが危険にさらされる可能性もある。今後このような判断をする国が増えることを願っている。

3.ロケットも再利用の時代に ロケットラボが挑んだ回収法

アメリカの小型衛星打ち上げ企業ロケットラボは、パラシュートで降下する途中のブースターをヘリコプターで空中キャッチすることに成功した。足元ではロケットの再利用への開発がブームになっている。打ち上げ費用の高い大型ロケットにはコスト面でのメリットが期待できるが、小型ロケットの場合、回収にコストをかけるのではなく使い捨てにし、可能な限り安く打ち上げられるようにするという考え方もある。

4.急成長する宇宙ビジネス 日本企業の事業環境は?

IHIエアロスペースが、宇宙スタートアップのQPS研究所から小型衛星の打ち上げを受注した。日本の基幹ロケットを製造する企業はIHIと三菱重工業の2社しかない。これまでIHIは大規模プロジェクトをメインとしており、商業衛星の打ち上げを受注したことは初めてのこと。これで終わるのではなく、今後も国内外の企業から商業衛星の打ち上げを受注していくことを期待している。

5.アクセルスペース、小型人工衛星の量産化へ新たな挑戦

人工衛星の開発を手掛けるアクセルスペースが、小型衛星の開発や打ち上げをワンストップで提供する新サービスを開始すると発表した。衛星を打ち上げるためには、ロケット事業者との交渉、周波数の使用申請、総務省への認可申請など、複雑な手続きが非常に多い。技術だけでなく、サービス領域も支援することで、衛星の活用をより身近なものにしていきたい。

【スペシャルトーク】由紀ホールディングスの宇宙ビジネス

スペシャルトークでは、モノづくり企業連合である由紀ホールディングスの宇宙事業について、代表取締役社長の大坪正人さんにお話を頂いた。

由紀ホールディングスは精密加工を手掛ける企業、ワイヤーハーネス(組み電線)を製造する企業など、色々な要素技術を持ったモノづくり企業で構成されている。中核企業の由紀精密は、アクセルスペースが最初の衛星を打ち上げた際、部品加工や機械設計などで協力した経緯がある。祖父が創業者で、特殊ネジの切削加工からスタートした。高い精度が求められる電子機器向けの部品加工を続けるなかで技術力を高めていった。

グループとして規模を大きくするというよりも、高い技術力はあるのに成長に苦戦している企業に当社の知見を提供し、成長につなげられるようにしたいと考えている。例えば、技術を応用した「分かりやすい」製品を作ることで、その企業に関心が集まることがある。由紀精密であれば、軸やシャフト等の回転体を作る旋盤加工技術が高い。そこで過去に3分間回り続ける直径1センチ程度のコマを製造した。結果、様々なメディアで取り上げられ、由紀精密が注目されるようになった。

ホールディングス傘下の企業はそれぞれ歴史も長く、企業文化も異なる。各社の文化や技術を尊重しつつ、足りないところをサポートするようなマネジメントを心掛けている。

航空宇宙分野でも、当社グループがサポートできるところはある。現在、小型人工衛星はフルカスタムで製造しているが、それだとスケール面で限界がきてしまう。工程のなかで使い回せるところは極力標準化しながら、顧客ごとにカスタマイズする手法をとれば規模の拡大は可能となる。われわれには顧客の個別の要望に応えながら量産を可能にする「マス・カスタマイゼーション」の実績がある。これを航空宇宙分野にも横展開していくことができるはずだ。

航空宇宙分野は多くのプロフェッショナルが集まっている。自分たちの成長にもつながっていくので、いつもワクワクさせてもらっている。どんな難易度の高い要求にも応えてきたいと思っている。

大坪正人(おおつぼ・まさと)さん略歴:東京大学大学院工学系研究科修了後、3Dプリンタメーカーに入社し、高速金型部門に所属。2006年 当時経営危機に瀕していた由紀精密に入社、2013年に代表取締役社長。

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