ダイバーシティニュース 社会(5/16)杉山文野【6/30までの限定公開】

杉山文野(すぎやま・ふみの):NPO法人「東京レインボープライド」共同代表、日本オリンピック委員会理事、株式会社ニューキャンバス代表。フェンシング元女子日本代表。トランスジェンダー。早稲田大学大学院教育学研究科修士課程終了。 日本初となる渋谷区・同性パートナーシップ条例制定に関わる。 現在は父として子育てにも奮闘中。公式サイトTwitter

杉山文野さんのニュースピックアップ

1. ゲイ公表のK-POPアーティストが暴行被害を告白

韓国でもゲイであることを公表するケースは非常に珍しく、今回は繁華街を歩いていたところ、突然見知らぬ男に「汚いゲイ」と言われ殴られたという。典型的ヘイトクライムだ。勇気を出して声を挙げたHolland(ホランド)氏だけに問題を背負わせず、皆で応援していくことが大事だと思う。また、もちろん暴力は絶対許されないが、殴るほどに憎悪をいだいてしまう背景を理解し、社会全体で問題を解決していく必要があると改めて感じる。

2. 浜崎あゆみ、自身のファンに対する差別的発言に怒り

自身の楽曲でダンスをしていた方に対するSNS上の誹謗中傷への怒りだった。東京レインボープライド(TRP)に出演いただいたこともある浜崎さんは、自分に居場所をつくってくれていたという新宿2丁目を「地元」と表現していたこともある。LGBTQ+について自分事として捉えてくださっていると感じる。いずれにせよ、差別につながる誤った情報などが蔓延しないよう教育機会や法制度をきちんと整えることが大切なのだと思う。

3. 「LGBTQ報道ガイドライン」 注意すべきフレーズも記載

用語解説や報道のポイントなどが無料公開されているので読んでみてほしい。パートナーシップ制度のことを同性“婚”と、法律上の婚姻制度であるかのように表現したり、「ゲイ」や「トランス男性」でなく「LGBT男性」という存在しない人間のような言葉を使ったり、海外記事の翻訳でトランスジェンダーを性同一性障害と訳したり、いろいろと誤報道は多い。こうした機会に正しい言葉遣いを学ぶことが大切になると思う。

4. 米大統領報道官に初の黒人・性的マイノリティの女性

ひとつのモデルケースが出てくることで、未来を描きづらく感じているLGBTQ+当事者の子どもたちなどは特に勇気づけられると思う。もちろん報道官としての能力が評価されているわけで、マイノリティである点にばかり焦点が当たるのはよくないとは思う。ただ、今年のTRPにはラーム・エマニュエル駐日米大使がいらっしゃり、パレードにも参加してくださった。トランプ政権時代はなかったこと。バイデン政権の姿勢も影響しているのかなと感じる。

5. 同性カップルの外国籍パートナー、水際対策で入国困難に

どちらかが日本国籍の場合、外国籍パートナーには「配偶者」や「特別活動」のビザが下りず、コロナ禍で就労ビザなども発行されない状況下で、2年以上離ればなれの同性カップルがいる。社会保障のパッケージでもある婚姻が法律で認められないことの弊害は、特に現在のような有事で顕著に表れる。同性婚実現に向け動いてくださっている政治家の方々はいるが、なかなか進まない現実がある。一刻も早く制度化してほしい。

【スペシャルトーク】東京レインボープライド2022

スペシャルトークでは、3年ぶりにリアルで開催された「東京レインボープライド(TRP)2022」について、杉山文野さんに掘り下げていただいた。

3日目の最後以外は天気にも恵まれ、3日間で7万人近くの方にお集まりいただいたが、やはり感染症対策は大変だった。ゲートを設けて人数を制限し、「開催しますが、あまりたくさんは来ないでください」というオペレーションを行うわけで、これは本当に難しい。海外のイベントでは銃乱射などのテロ対策が大変重要な課題になっている。平和な日本でも絶対に起きない保証はないわけで、テロや地震に備えた安全対策を講じる必要もあったなか、無事開催できたのは本当によかったと思う。

コロナ禍でインターネットの新しいつながりができた一方、今はリアルのつながりが薄れて孤独や孤立を募らせる人が増えている現実もある。そこで今回のTRPでは、「繋がる、見える、変わる」というテーマで、いま一度リアルにつながれる場を提供しようと考えた。そのうえで、「YOUTH PRIDE JAPAN」という若い世代に特化したプロジェクトチームをつくったり、「全国プライドネットワーク」といった、日本各地のプライド団体の皆さんが集まり、互いに交流できるような場もつくったりしていった。

企業の動きも印象的だった。チェリオコーポレーションさんと日本コカ·コーラさんの代表が互いのブースを行き来したり、日本テレビさんのお天気キャラクター「にじモ」とNHKさんのキャラクター「どーもくん」が一緒にステージへ上がったり。普段はライバル関係にある企業がTRPのもとでは一緒に活動して、いろいろと業界で横のつながりができたのもよかった。

3年前までは1万人が参加していたパレードは今回、感染症対策で2,000人に絞られたが、そのぶん沿道から応援してくれた方が多かったように思う。歩くほうも応援するほうも本当に楽しそうで、「待ってました」「やっと参加できた」という感想がすごく多かった。

個人的には、ステージで司会をしていたとき、うちの子が「パパ頑張れ!」と応援してくれたということがあった。トランスジェンダーである自分がこんな風に年齢を重ねることを含め、今は当事者として想像できなかった未来が来ていると感じたし、僕自身にとっても今回の開催はとても感慨深いものになった。法制度が追いつかず、差別的言動もあったりと、LGBTQ+についてはまだまだ問題が多い。法律を変えるような社会の空気をつくっていくうえでも、今後TRPが果たす役割は大きいと思う。

ダイバーシティニュース視聴方法

1.LuckyFM茨城放送のラジオ FM88.1/94.6MHz
2. YouTubeライブ配信(アーカイブでも視聴可能です)https://www.youtube.com/channel/UCOyTwjQoiUJXxJ8IjKNORmA
3. radikoでも聴取可能です

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