ダイバーシティニュース 社会(5/9)前田晃平【6/30までの限定公開】

前田晃平(まえだ・こうへい):NPO法人フローレンス 代表室長
1983年、東京都出身。慶應義塾大学総合政策学部中退。株式会社リクルートホールディングスの新規事業開発室でプロダクトマネージャーを経て、現在は認定NPO法人フローレンスの代表室長。政府の「こども政策の推進に係る有識者会議」委員。妻と娘と3人暮らしで毎日子育てに奮闘中。著書に『パパの家庭進出がニッポンを変えるのだ! ママの社会進出と家族の幸せのために』(光文社)。Twitter

前田晃平さんのニュースピックアップ

1. 生徒主体の校則見直しプロジェクトが進行中 教師との対話も

大人が決めたことに無批判に従うことが本当に良いのかを考えるきっかけになるし、子どもの意見表明権がきちんと守られる社会にするためにも重要だ。日本は「自分の投票で何か変わる」と思っていない若者が他国より多いというデータがあり、これは若年層の低投票率にも表れていると思う。だからこそ、おかしいと思ったルールは自分たちで変えられると子どもたちに伝えることが、よりよい社会につながると考えている。

2. 「こども家庭庁」設置法案が審議入り 縦割り打破へ官民連携

各省庁から官僚を集めただけでは新しい縦割り組織ができるだけ。子ども政策、家庭支援政策を強力に推し進める組織とするためにも民間との連携は重要だ。ただ、今は多くの官僚が『ブラック霞が関』(新潮新書)という書籍でも紹介されたほど前時代的働き方をしている。そうした環境で働きたいと思う民間人がどれほどいるか。こども家庭庁は、職員が率先して自身の子どもと家庭を大切にする組織になってほしい。

3. 出産育児一時金、40万円台半ばへの増額を自民議連が提言

こうした問題にようやく耳を傾けてくれるようになったと感じる。地域差もあり、都内の我が家の場合、42万円の一時金に加えて15万円を自ら負担する形となった。出産や子育てのお金に関する懸念が少子化にもつながっているわけで、ここは積極的に投資していただきたい。安心して産めるという最低限のクオリティを前提に、出産費用を国がすべて負担するフランスの制度をモデルにする考えもある。

4. 「こども宅食」向け政府備蓄米、無償提供の上限引き上げへ

政府が緊急事態用に備蓄する100万トンの米は、普段は一部施設等に有償で、しかも極めて少量提供される程度だった。しかし、コロナ禍で多くの貧困家庭が追い込まれるなか、「こども宅食」への需要は大きく高まっている。侃々諤々の議論を経て、去年多くの無償提供をいただけるようになったが、今は提供量のさらなる上限引き上げが要望されている状態だ。提供申請の煩雑な手続も解消し使い勝手の良い制度にしてほしい。

5. “男性の妊娠”を通し社会問題を描くドラマが配信開始

妊娠した男性主人公が、妊婦の方々であれば皆体験してきたものの、男性の立場では信じられないようなことを次々と体験する「ヒヤマケンタロウの妊娠」というドラマだ。社会派ドラマ特有のとっつきにくさはないが、職場や家庭の描写は超リアル。日本の深刻なジェンダーギャップに多くの男性が知らず知らず加担していることを、ありありと、しかしコミカルかつ軽快に描いている。多くの方に観ていただきたい。

【スペシャルトーク】教養と歴史思考

スペシャルトークでは、Podcast「歴史を面白く学ぶコテンラジオ(COTEN RADIO)」を運営する株式会社COTEN代表取締役CEOの深井龍之介さんに、歴史のとらえ方や現在取り組んでいる課題についてお話を伺った。

COTENは世界史のデータベースをつくるという変わった事業を手がけている。さまざまな物事のなかに歴史上の再現性を、歴史に詳しい人だけでなく誰もが見出せるようにしようという事業だ。その広報として「歴史を面白く学ぶコテンラジオ」というPodcastを運営しており、その延長線上で今回『世界史を俯瞰して、思い込みから自分を解放する 歴史思考』(ダイヤモンド社)という書籍も出版した。

戦後数十年を経て、人権の普及とともに我々は自由になっていったが、これは自分の人生をすべて自分で決めなければいけないという意味でもある。しかし、時代や価値観の変遷がかつてなく早い現代において、自分が生きている時代しか知らないと、相当生きづらいではないかと思っている。これからは物事を多様な観点から見たうえで自分のスタンスを選ぶ生き方が大切になるし、その観点が教養だと考えている。

そうした教養を、歴史の学びを通して身につけることを「歴史思考」と呼んでいる。それは哲学でも留学でも旅行でも獲得できるが、最も簡単に獲得できる教養が歴史であるという感覚だ。多様な視点で物事を俯瞰するために大切なのは、自分と異なる常識や社会を見ること。チンギス・ハーンと我々とでは圧倒的に感覚が違う。そうした感覚の違いが、歴史を学ぶことで理解やすくなる。

COTENは現在、個人と法人から月額で支援をいただいているが、この制度は「僕たちはなんの見返りも渡しません」というもの。これはどういうことか。現代社会の“OS”でもある資本主義は良い点も多いが、本当に必要だと考えられていることであっても、お金を儲けることができなければ、優秀な人的リソースをそこでは回せないという欠点もある。福祉分野などがそうだろう。そこで、需給メカニズムを持つ市場経済に“バグ”を起こしたいと考えて現在の支援制度を設けた。従来と異なるお金の使い方を先行して習慣にしていただくことで、これまで解決できなかった問題を市場経済上で解決していこう、と。

これは、いわば社会実験であり、結果がどうなるかは分からない。ただ、結果が予測できない前提で仮説を立てて実験することが大事だと思っている。こうしたお金の使い方が一部でスタンダードになったら、重要な領域にお金、ひいては優秀な人的リソースを回せるようになるのではないかと考えている。

深井龍之介(ふかい・りゅうのすけ):株式会社COTEN 代表取締役CEO
島根県出雲市出身。九州大学文学部を卒業後、株式会社東芝の半導体部門経営企画に配属。その後株式会社リーボに取締役として参加。事業計画立案、資金調達、採用、サービス開発などを経験する。2015年 株式会社ウェルモにCSOとして参加、2017年10月以降は社外取締役として経営に参画。2016年2月に株式会社COTENを設立。Twitter

ダイバーシティニュース視聴方法

1.LuckyFM茨城放送のラジオ FM88.1/94.6MHz
2. YouTubeライブ配信(アーカイブでも視聴可能です)https://www.youtube.com/channel/UCOyTwjQoiUJXxJ8IjKNORmA
3. radikoでも聴取可能です

最新情報は、Twitterでご確認ください。

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