ダイバーシティニュース 政治(5/3)津田大介【6/30までの限定公開】

津田大介(つだ・だいすけ):ジャーナリスト/メディア・アクティビスト
メディア、ジャーナリズム、IT・ネットサービス、コンテンツビジネス、著作権問題などを専門分野に執筆活動を行う。ソーシャルメディアを利用した新しいジャーナリズムをさまざまな形で実践。オンラインメディア「ポリタス」編集長を務める。Twitter

津田大介さんのニュースピックアップ

1. ウクライナ・マリウポリ製鉄所で民間人が避難

製鉄所に立てこもり抵抗を続けるウクライナ軍だが、地下には民間人も多いとされていた。人道回廊設置のプロセスに国連も関与することで、ようやく避難がはじまった。ウクライナ軍の隙を突くためにロシア側がポーズとして人道回廊を設置したという見方もある。とにかく民間人の安全な避難を実現させなければならない。

2. 韓国大統領就任式に林外相を派遣 岸田首相出席は見送り

米韓同盟を基軸とした外交を掲げる韓国新政権で、冷え込んだ日韓関係の改善が期待されている。日韓米の連携を緊密にしたいアメリカからのプレッシャーがあるし、日本に関してもハト派の岸田首相が電撃的に訪韓する可能性はあった。ただ元徴用工訴訟を巡り、日本企業の韓国内の資産が現金化されることへの警戒もある。日本側の一方的な譲歩は参院選に響くかもしれないと判断したのだろう。参院選後の動きに注目したい。

3. コロナ予備費の9割が使途を特定できず 透明性に課題

12兆円の9割以上という信じられない規模で憤りを感じる。東日本大震災の復興予算が利権化した当時の日本と基本的に変わっていない。政治と近い業界がおいしい思いをするのは、一言で表現するなら腐敗だ。危機対応で予備費を積み上げること自体は否定しないが、だからこそ使途について透明性を高めなければならない。この負担を背負うのは将来世代なわけで、情報公開を義務づけるなどして予算執行の妥当性を問わないといけない。

4. 知床半島沖の事故を受け観光船事業の罰則強化など検討

観光船運行会社の社長や行方不明の船長をバッシングして終わりにせず、国土交通省の安全管理態勢が甘かった点も問うべきだと思う。本件では船長の携帯電話が、航行中に一部通話エリア外となっていたという。通話エリアの厳格なチェックがあれば、これまで確認された犠牲者のなかでも救助できた人がいたかもしれない。安全管理、ひいては人の命より利益を優先する社会の風潮も相まって今回の悲劇が起きてしまったと感じる。

5. 「日本の名前ない」 ウクライナの動画に自民議員が抗議

まず、ロシアとの戦いを呼びかけた動画に、ヒットラー、ムッソリーニに並んで昭和天皇の顔が映っていた件だが、諸外国からは当時の日本を率いていたのが天皇だったと思われていたという話で、抗議することでもないと思う。また、各国の支援に感謝を表明するウクライナの動画に日本の名前がないことにも抗議したというが、侵攻を受けている最中の国に、日本の内向きな論理で「感謝しろ」だなんて、恥も外聞もないのかと思う。

【スペシャルトーク】イーロン・マスク氏のTwitter社買収

スペシャルトークでは、イーロン・マスク氏が仕掛けたTwitter社買収について、津田大介さんに掘り下げていただいた。

電気自動車のテスラや宇宙事業のスペースXで成長し、今や世界一の富豪となったイーロン・マスク氏が、今度は5.6兆円でTwitter社を買収するという。10年ほど前にもAmazon創業者のジェフ・ベゾス氏が米大手新聞社のワシントン・ポストを買収している。こちらは基本的には篤志家的な買収の面があったが、Amazonのエンジニアが入ってデジタル化を進め、経営的にも改善したという事例でもある。今回のTwitterの買収もそうなる可能性はゼロでないと、最初は思っていた。

しかし、マスク氏は今回の買収理由の1つとして、「Twitterは民主主義の基盤を担保する重要なプラットフォームであり、表現の自由を守るため」といった話をしている。良いことのように聞こえるが、ヘイトスピーチや差別的投稿もすべて表現の自由で守られるべきと思っているふしがある。

2017年、米バージニア州で起きた白人至上主義者たちと差別に反対する人々との衝突で、差別反対の抗議をしていた女性が殺される事件があった。この事件がIT業界に与えたインパクトは大きく、以降、TwitterやFacebookは運用ルールを自ら厳格化している。現実社会でのヘイトクライムにつながるような言論、あるいは差別主義者や陰謀論者のアカウントは、今は次々と凍結するようになった。

こうした状況にマスク氏は不満を持っているとのことで、表現の自由を間違って解釈しているのではないか。多くの国で憲法に定められている表現の自由は、政府など権力との関係において重要というのが一般的な解釈だが、その理解が浅いと見る専門家は多い。ある報道では、LGBTQ+への嫌がらせでアカウントを凍結された右翼グループにマスク氏が直接連絡して「凍結はおかしい。自分がTwitterを買収すればアカウントは復活する」と話していたという。マスク氏の買収で差別的な投稿を行うユーザーがすべて復活する可能性もある。

ただ欧州では差別的な投稿に対する法規制もあるし、なんでもありのプラットフォームになってしまえば広告事業も成り立たなくなる可能性がある。ツイッターが利益を出せなくなれば、テスラの経営にも悪影響があるだろう。マスク氏は「今後有料プランでクローズドなサービスを導入する」などの発言もしている。そうなれば、いわば“承認欲求争い”がヘイトスピーチ等を加速している面もある現在のTwitterも、多少空気が変わり、言論空間として改善する可能性もゼロではないのかもしれない。従って、今回の買収については基本的にネガティブだが、どこまで変わるかは現時点で分からない面もある。今後の動きを注視したい。

ダイバーシティニュース視聴方法

1.LuckyFM茨城放送のラジオ FM88.1/94.6MHz
2. YouTubeライブ配信(アーカイブでも視聴可能です)https://www.youtube.com/channel/UCOyTwjQoiUJXxJ8IjKNORmA
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