ダイバーシティニュース 政治(4/19)津田大介【5/31までの限定公開】

津田大介(つだ・だいすけ):ジャーナリスト/メディア・アクティビスト
メディア、ジャーナリズム、IT・ネットサービス、コンテンツビジネス、著作権問題などを専門分野に執筆活動を行う。ソーシャルメディアを利用した新しいジャーナリズムをさまざまな形で実践。オンラインメディア「ポリタス」編集長を務める。Twitter

津田大介さんのニュースピックアップ

1. 仏大統領選が決戦投票へ マクロン氏 vs ルペン氏

1回目の投票で、マクロン氏とルペン氏に続いて得票率で22%を獲得した急進左派メランション氏の票が、決戦でどちらに流れるか。極右とされるルペン氏だが、今回は中道寄りに政策を転換している一方、マクロン政権に対しては「金持ち優遇」との反発もある。順当にいけばマクロン氏が優勢だが、ヒラリー氏に敗れたサンダース氏の票の一部がトランプ氏に流れた2016年の米大統領選と同じことが起きるかもしれない。

2. 立憲民主と国民民主、ともに略称「民主党」で参院選

立憲民主党も国民民主党もいまだ存在感を示すことができていないなか、今は「我々こそ本家民主党だ」と言っているような状態だ。前回の衆院選比例では存在しないはずの「民主党」と書かれた票が362万票にものぼった。「民主党=野党」だと思っている有権者が多いため、その略称とともに票を失うぐらいなら、得票数に応じた案分にしようと考えたのだろう。「また選挙前に野党が揉めている」とのイメージが広がるのはマイナス材料であり残念だ。

3. 新聞社編集委員、安倍氏への取材記事で週刊誌に圧力か

今回は『週刊ダイヤモンド』による安倍元首相への取材に関し、まったく関係ない朝日新聞の峯村健司編集委員が「記事がOKか否か安倍氏に代わり自分が判断する」と、記事を見せるよう要求したという。単なる編集権の侵害だし、政治と記者の不適切な関係性が表に出てしまったことは、朝日新聞にとって大きな痛手になる。

4. 社会人向け講座で不適切発言の吉野家常務が解任

女性差別、地方差別、薬物中毒で苦しむ人々への差別に加え、自社の顧客すら馬鹿にしている。元P&Gの方だというが、こういう人が多くの企業を渡り歩いて出世していく点は、日本がジェンダーギャップ指数で世界に遅れていることとも無関係でないと感じる。

5. ウクライナ侵攻は第2段階へ ロシア軍が大規模攻撃開始か

東部2州を支配下に置き、2014年に実質併合したクリミア半島とつなげることで、ウクライナを“海なし国”にする狙いがあるのだろう。2週間前は停戦の気配も多少漂っていたが、キーウ周辺の民間人大量虐殺疑いで国際社会の見方が変わり、ウクライナ世論も硬化した。今はゼレンスキー大統領も「領土は一切妥協しない」と言っている。今後数年単位で戦争が続く気配になってきて、さらなる被害拡大が予想される。

【スペシャルトーク】ヘイトスピーチとプラットフォーム事業者の責任

スペシャルトークでは、「ヘイトスピーチとプラットフォーム事業者の責任」と題して、津田大介さんに掘り下げていただいた。

在日コリアンが多く住む京都府宇治市ウトロ地区における2021年8月の放火容疑で逮捕された有本匠吾被告は、愛知や奈良でも在日大韓民国民団(韓国民団)施設への放火等を行ったとされる。韓国人への偏見や憎悪に基づくヘイトクライムだ。共同通信の本人取材では、「最低限の保証である生活保護すら受けられない日本人がいるなか、外国人が不当に優遇されている」ことが放火の動機でもあったと答えている。

ネットで拡散している古典的デマを通して韓国人コミュニティに執拗な恨みを抱くようになったようだ。ウトロ地区についても「韓国人が不法に占有している土地。日本人の大半が迷惑している」と話しているそうだが、今はそんな事実もない。仮に事実だとしても放火して良いわけはない。

また、バズフィードジャパンの本人取材では、「ニュースに対する“偏りのない日本人の反応”を知ることができる場」として、Yahoo!ニュースのコメント欄を参考にしていたと話している。実際にはバッシングの酷さでコメント欄が閉鎖される記事もあるほど偏ったプラットフォームだが、ニュースより正しいと思っていたわけだ。そのうえで、「ヤフコメ民をヒートアップさせることで問題を浮き彫りにさせたかった」と。コメント欄のヘイトスピーチで憎悪が助長され、ついに犯罪におよぶ人間が出てきた。

ここまで来れば、Yahoo!ニュースを運営するヤフー、またはその親会社であるZホールディングスは、なんらかの声明発表と対応が求められるのではないか。アメリカではトランプ政権誕生後、白人至上主義者の団体と、差別に反対する団体との衝突で死者が出た事件を経て、FacebookやTwitterの対応が一気に変わった。それまでは「表現の自由が大事」と言っていたが、各社とも死者が出たことで対応を変え、以降は「Qアノン」のような陰謀論者や差別的アカウントがすぐさま停止されたりするようになった。

日本はどうか。言語の障壁から文脈的な判断がつかないなどの事情もあり、日本語の分かるスタッフが少ないFacebookやTwitterではなかなか対応が進まない。ヤフーにいたっては日本人スタッフで対応できるはずなのに放置している状態だ。人が亡くなってからでは遅い。このままネット上のヘイトを放置して殺人が起きる前に社会的責任を果たして欲しいと、ヤフーには強く訴えたい。各種メディアから検証記事が出てきた今、プラットフォームの健全化議論も盛りあがってほしい。

ダイバーシティニュース視聴方法

1.LuckyFM茨城放送のラジオ FM88.1/94.6MHz
2. YouTubeライブ配信(アーカイブでも視聴可能です)https://www.youtube.com/channel/UCOyTwjQoiUJXxJ8IjKNORmA
3. radikoでも聴取可能です

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