ダイバーシティニュース 社会(4/18)杉山文野【5/31までの限定公開】

杉山文野(すぎやま・ふみの):NPO法人「東京レインボープライド」共同代表、日本オリンピック委員会理事、株式会社ニューキャンバス代表。フェンシング元女子日本代表。トランスジェンダー。早稲田大学大学院教育学研究科修士課程終了。 日本初となる渋谷区・同性パートナーシップ条例制定に関わる。 現在は父として子育てにも奮闘中。公式サイトTwitter

杉山文野さんのニュースピックアップ

1. 国際トランスジェンダー可視化の日、当事者作品が無料配信

配信されたのは、僕を含む10人以上のトランスジェンダー当事者がそれぞれ思いなどを語った映画『I Am Here~私たちはともに生きている~』と、当事者の葛藤や家族との衝突を描いた舞台動画『イッショウガイ』の2作。セクシャリティや性のあり方は目に見えにくいこともあり、問題の可視化はまだ不十分。年に1度、皆で考える日を設けるのは大事だし、こうした日を機会にぜひ理解を深めていただけたらと思う。

2. 2022年4月からパワハラ防止法が中小企業にも適用

トランスジェンダーの方に出生時戸籍の性別らしく振る舞うことを強いたり、本人が望まぬ形で性自認を暴露したりする「SOGIハラ」への対応も含まれ、罰則はないが場合によって勧告や指導も行われる。交通ルールに例えるなら、皆が勝手に運転していたら事故はなくならない。罰するためではなく、皆にとって安全な社会にしたいから「赤信号=止まれ」というルールを設けている。LGBTQ+に関してはこれまで何のルールもなかった。ルールを恐れる必要はなく、これを機に知識を身につけてもらえればと思う。

3. 成人年齢引き下げで18歳から性別変更が可能に

性同一性障害特例法が定める戸籍変更に必要な条件のなかでは、まず18歳から性別変更が可能になる。性別適合手術を早めるよう強要してはならないが、高校卒業後の就職時など、実生活に応じたタイミングで自ら望む性別にできるのなら良いことだと思う。未成年の子どもがいたら性別変更できないというルールについても、それ自体をなくすべきだが、少なくとも成人年齢が引き下げられたのは良い話だと思う。

4. 乃木坂46メンバー、エイプリルフールの同性婚ネタで物議

エイプリルフールには「あり得ない話」をネタにして笑いにする面がある。同性カップルの当事者として笑っていられない現実もいまだ多いなか、同性愛や同性婚はあり得ないとの前提で、性的マイノリティをネタに消費行動に利用する形になってしまったのは残念だ。投稿した方はLGBTQ+にも理解があると感じている。たとえば「こういう話がエイプリルフールじゃなくなるといいですね」といった言葉を添えていたら良かったのにと思う。もったいなかった。

5. 関西初のLGBTQセンター「プライドセンター大阪」開設

2020年に誕生した「プライドハウス東京レガシー」に続いて関西にも拠点ができた。LGBTQ+に関する情報発信に加え、今後は専門の相談員を設けたり、企業研修を行えるようにしたりするそうだ。家族にも言えず、戸籍上の性別で家を出たあと自分らしい服装へ着替えているトランスジェンダーの方に配慮し、着替えられるスペースも設けたという。クラブやバー以外で平日の日中に行ける場所が増えるのは良いことだと思う。

【スペシャルトーク】東京レインボープライド2022

スペシャルトークでは、リアルでの開催は3年ぶりとなる「東京レインボープライド2022」について、共同代表である杉山文野さんに掘り下げていただいた。

前回のリアル開催は2019年だったが2日で20万人も動員した。代々木公園という公共施設での無料イベントなので、今回は混雑緩和のため人数制限を設けて密にしないような対応をしている。感染症対策を施した安心・安全なイベントの準備というのは本当に大変だ。

今年はフェスティバルが4月22日から24日まで開催され、パレードは24日に行われる。また、4月22日から5月8日まで「プライドウィーク」としてさまざまなイベントが開催されるほか、6月にはオンラインイベントも予定されている。テーマは「繋がる、見える、変わる」。オンライン開催の総視聴者数は、2020年に約45万人、2021年に約160万人となり、今までリアルでは繋がれない人も繋がれるようになった。ただ、リアルイベントがないことで孤独や孤立を募らせる人もいる。改めて皆が繋がれる場をつくり、良いことも悪いこともしっかり見える化していきたい。

10~20代の若者にフォーカスしたチーム「Youth Pride Japan」をつくり、ユースの視点でしっかり情報を発信してもらうということもはじめた。今は性のあり方をオープンにする若者が増えている。それ自体は良い傾向だが、そのぶん「社会のここを変えたい」という活動に関わる人が少なくなっているのも事実だ。法律・制度面での課題はいまだ多いからこそ、現状を変えていくための社会活動という点でも、しっかり若い世代へバトンを渡せるようにしたい。

トランスジェンダー、ゲイ、女性、男性など、最近は自らをカテゴライズすること自体に抵抗感を抱く若い世代の人々が増えてきた。良い意味で境界線が曖昧だ。「今のところ異性としか付き合っていないけど、今後は同性もあるかもしれないし、(性自認について)今決めたくないです」と。日常における当たり前の話として、「私は私」という風に語っている感覚がいいと思う。

いずれにしても、東京レインボープライドにはいろいろな方に来て欲しい。当事者へのエンパワーメントも大事だが、「LGBTQ+のことは全然知らないけど、青山テルマさんのライブが観たいから」といった理由で足を運び、結果としてLGBTQ+を身近に感じるというような形でもいいと思う。「そんなの行く必要ないでしょ」「そういう人は自分の周りにはいないし」という方にも来ていただいて、いろいろな人を巻き込む場になればと思う。

ダイバーシティニュース視聴方法

1.LuckyFM茨城放送のラジオ FM88.1/94.6MHz
2. YouTubeライブ配信(アーカイブでも視聴可能です)https://www.youtube.com/channel/UCOyTwjQoiUJXxJ8IjKNORmA
3. radikoでも聴取可能です

最新情報は、Twitterでご確認ください。

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