ダイバーシティニュース 政治(4/5)津田大介【5/31までの限定公開】

津田大介(つだ・だいすけ):ジャーナリスト/メディア・アクティビスト
メディア、ジャーナリズム、IT・ネットサービス、コンテンツビジネス、著作権問題などを専門分野に執筆活動を行う。ソーシャルメディアを利用した新しいジャーナリズムをさまざまな形で実践。オンラインメディア「ポリタス」編集長を務める。Twitter

津田大介さんのニュースピックアップ

1. ロシア軍が民間人虐殺か 岸田首相は対ロ追加制裁検討

ウクライナの首都キーウ(キエフ)北西のブチャという町で民間人の遺体が多数発見された。ロシア軍による虐殺の疑いが広がるなかで国際社会の潮目が変わり、欧米は追加制裁としてエネルギー価格が高騰しても天然ガスや原油の禁輸に踏み切る可能性が出てきた。日本企業が参画する「サハリン2」事業も今はエネルギー安全保障の観点から撤退なしとしているが、今後はそれが欧米からやり玉に挙げられかねず、難しい舵取りを迫られる。

2. 内閣支持率59% 横ばいながら発足後5割超保つ

世界的な危機が起きているときは現状維持バイアスが働いて支持率が高めになる傾向はあると思う。盤石に見えながらも後半4年はスキャンダルで防戦一方だった安倍政権に比べ、岸田政権には目立った不祥事もない。野党の批判も一定程度は受け止めており、安倍・菅政権の政治主導的なリーダーシップと比較して、今の無難さが「あまり変なこともしないのでは?」という安心感につながっていると感じる。

3. リコール不成立の徳島市長、署名不正疑いを刑事告訴

市長選で保育園整備等を掲げていた内藤佐和子氏だが、当選後に整備事業を白紙にするなどの変節があり、リコール署名では必要数となる7万筆超を集めた。重複署名等もあり結局は有効数6万数千筆でリコールは不成立となったが、有効票が必要数を大幅に下回った愛知県知事に対するケースとは実態が大きく異なる。民意を重く受け止めていただきたいが、市長は署名不正に関し刑事告発を行っており、ある種の口封じのようにも感じる。

4. AV出演の強要被害で成人年齢引き下げが悪影響か

数年前から問題になっている「アダルトビデオ(AV)出演強要」だが、実際には女優やモデルの募集に応募した方が口車に乗せられ、知らぬ間にAV出演してしまっていたケースが多い。それでも今までは18~19歳の未成年なら契約後も「未成年者取消権」を行使できたが、4月からの成人年齢引き下げで18~19歳はその権利も失う。被害を広げないために、なんらかの救済や法的対策が今国会でとられることを期待する。

5. ハンガリー議会選、親ロシアのオルバン与党が圧勝

オルバン首相が掲げるのは、人々の自由を制限する政策であっても、民主主義の手続きで決定すれば実現できるという「非自由民主主義」。第一次世界大戦で失った国土の一部が現在のウクライナ西部にあたるという歴史的経緯もあり、オルバン氏がプーチンに近いとされることも議会選でネガティブに働かなかった。農村部にお金が行き渡る政策や手厚い少子化対策への高い支持も背景にあるが、とにかく欧州も一枚岩でないと感じる。

【スペシャルトーク】ウクライナ侵攻、国際社会と停戦の行方

スペシャルトークでは、「ロシア軍撤退後のキーウで民間人遺体が多数発見。国際社会と停戦の行方は?」というテーマで、津田大介さんに掘り下げていただいた。

今回の戦争では、高性能スマートフォンで撮影された現地のさまざまな写真や映像が、スペースX提供の衛星ネット接続サービスを通じてリアルタイムにSNS上にアップされ、世界へ広がっている。たとえばハルキウのどこかで爆撃があったという映像が出てくれば、瞬時にグーグルアースと照らし合わせて、真偽が確かめられたりしているわけだ。ミサイルの使用がウクライナ軍の誤射なのか、またはロシア軍の攻撃なのかといったことも相当な精度で分析・解析されるようになってきた。

そうしたなかで今は戦争犯罪の証拠もかつてないほど集まっている。キーウ北西のブチャでロシア軍撤退後に民間人の遺体が多数発見されたことに関し、ロシア側は関与を否定している。むしろ「ロシア軍の仕業に見せかけた自作自演」と言っているわけだ。ただ、ここ2日ほどでその情報検証作業も一気に進んでおり、ロシア側の言い分が現実とかなり違うことも分かってきた。

決定的だったのは、3月19日に撮影された、最大限にズームにすると街で倒れている遺体まで分かる超高精細なブチャの衛星写真だ。その後、4月になってロシア軍の撤退後にブチャの街中で撮影された、凄惨な遺体などの様子は世界に衝撃を与えた。この2つのデータを照らし合わせると、遺体の位置がすべて一致しているという。ロシア軍撤退後の自作自演工作なら一致しないはずだ。今はそんな風にして戦争犯罪が検証され、ロシアの嘘が少しずつ明らかになっている。

今回の戦争では、ロシアによる侵攻開始、あるいはEU議会におけるゼレンスキー大統領の演説等、欧米がウクライナを支援してロシアと対峙する方向に動いた、いわば“ギアが変わる”瞬間がいくつかあった。ブチャの出来事は、その決定打になるのではないか。チェチェンやシリアで行われていた虐殺が、今回はかつてないほど多くの証拠とともに、ロシア軍によるものと確定されつつある。ここ数日で欧米のロシアに対する追加制裁はより厳しいものになるのではないかと思う。

これは今後の停戦交渉にも影響すると感じる。ロシア側はウクライナ東部2州で傀儡政権をつくり、いずれロシアへの併合を狙いつつ今回は勝利宣言しようとしているのではないか。しかし、ブチャの件が本当にロシア軍による意図的虐殺と確定されたら、停戦したところで経済制裁は当分緩まないように思う。その影響が日本を含む国際社会へ中長期的にどのような影響を及ぼすかということも注視したい。

ダイバーシティニュース視聴方法

1.LuckyFM茨城放送のラジオ FM88.1/94.6MHz
2. YouTubeライブ配信(アーカイブでも視聴可能です)https://www.youtube.com/channel/UCOyTwjQoiUJXxJ8IjKNORmA
3. radikoでも聴取可能です

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