落としどころが見出せない交渉は「争点の数を増やす」ことを意識せよ/みんなの相談室Premium
日常にある身近な疑問を、ビジネス知識を使って解決する「みんなの相談室Premium」。
今回のお悩み:郊外でも広い部屋がいい私と、狭くても都心がいいという夫の妥協点は?
今回寄せられたのは、「新婚です。自分は郊外でもいいので広い部屋がいいのですが、夫は狭くても都心にこだわります。どうやって妥協点を見つけたらいいでしょうか?」というお悩み。
解決策:争点を増やして、win-winを考える
日常だけでなくビジネスの現場でも頻繁に直面する交渉において、妥結点を探るために必要な「争点(=議論するポイント)の数を増やす」という手法について、グロービス経営大学院教員・嶋田毅が解説します。
争点というのは、交渉術の用語です。争点の数が増えるほど、win-winの妥結点に近づく可能性が高まるといわれています。ビジネスでも、例えば、価格と数量だけでは折り合えなくても、納期やサポート体制なども含めて交渉すると妥結するといったことがあります。
今回のお悩みでいえば、場所と広さ以外にも、例えば、家事の分担や飲みにいく回数なども争点にしていくと、妥結点が見つかるかもしれません。
また、「狭くても都心がいい」というのはどういうことかブレイクダウンしていくと、違う争点が出てくるかもしれません。例えば、都心に住みたいというのは、「通勤を楽にしたい」ということかもしれません。それなら、少し郊外でも「始発駅」を選ぶなどの解決法が見出せます。また、質問者さんのいう「広さ」も何を求めているかを紐解いてみましょう。「人を呼んでパーティをしたい」のか、「物をたくさん置きたい」のか。後者であれば、コンパクトな家具を買うなどの解決法も考えられるかもしれません。
自分にとっては重要ではないが相手にとっては重要なことと、自分にとって重要だが相手にとっては重要ではないこと、を交換していくことでwin-winの状態をつくっていくことができます。
交渉の基本は、勝ち負けではありません。お互いがハッピーになるのがいい交渉です。そのためには、広い視野で争点を増やすことで解決策を考えていくことができます。
(肩書きは2021年12月20日撮影当時のもの)
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※この動画は、茨城放送で制作・放送しているラジオ番組「グロービス みんなの相談室」の動画版として再編集したものです。