ダイバーシティニュース 社会(1/10)駒崎弘樹【2/28までの限定公開】

駒崎弘樹(こまざき・ひろき):認定NPO法人フローレンス 代表理事
1979年生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業。2004年にNPO法人フローレンスを設立し、日本初となる「共済型・訪問型」の病児保育サービスを開始。2010年より内閣府政策調査員などを歴任。 現在、厚生労働省「イクメンプロジェクト」推進委員会座長、内閣府「子ども・子育て会議」委員。『政策起業家 ――「普通のあなた」が社会のルールを変える方法』(ちくま新書)、『「社会を変える」を仕事にする 社会起業家という生き方』(英治出版)など、著書多数。公式サイトTwitter

駒崎弘樹さんのニュースピックアップ

1. 自公「子ども基本法案」取りまとめへ、協議開始

「子どもが自分で意思決定できる」など、子どもの権利を定めた「子どもの権利条約」という国際的条約を日本は批准しているが、今まではそれに対応する国内法がなかった。法的に権利が定められていないからこそ、たとえば学校が下着の色が決めたりする“ブラック校則”も生まれていたわけだ。これに対し、校則1つとっても子どもの権利より上にはないと法的に位置づける「子ども基本法」をつくる動きに、ようやくなってきた。

2. 体罰や虐待の正当化を危惧 親の「懲戒権」見直しへ

「懲らしめて、戒める」という「懲戒権」を親が持つと定めたのは明治時代。殴って言うことを聞かせるという今ではアウトな考え方が民法第822条にいまだ残っていることは、しつけと称して虐待を正当化することにもつながっていたし、その先に2019年の栗原心愛(みあ)さん虐待死があった。今回の議論はそうした懲戒権の改正で体罰禁止を明記するもの。時代遅れの規定が改正される流れになったのは良かったと思う。

3. 18歳以下への10万円給付、養育実態ない元配偶者から回収も

今回の給付では、たとえば離婚直後で口座変更が間に合わないことなどから、子どもと暮らしていない元配偶者にも給付されてしまうケースがある。そこで兵庫県明石市は、実際に子育てを行う親には立て替えを行う一方、育てていないにも関わらず給付を受けた元配偶者には回収を行うという。弱い立場にいる人々に寄り添った政策だ。徳島市も同様の独自政策を進めている。他の自治体も見習って欲しい。

4. 役割を増すスクールソーシャルワーカー(SSW)の待遇改善を

貧困や障害など、教育現場で対応が必要となる福祉の課題は年々多様化している。そこで、基本的には勉強を見る立場の教師に代わり、子どもや親と行政サービスをつなぐ役割を果たすのがSSWだ。ただ、SSWは基本的に非正規。1人10校を受け持つ場合もある。教育や福祉の専門職を低賃金でこき使うのは日本の悪い点だ。きちんと予算をつけ待遇を改善し、人を増やす一方でデジタルも活用して業務を改善する必要がある。

5. 母子の命を救うため 熊本の慈恵病院が国内初の「内密出産」

誰にも認められない妊娠で自分の名も明かせないことが、危険な自宅出産、さらには出産後の遺棄につながってしまうケースがある。それなら仮名でいいから病院で産んでもらおうというのが今回の「内密出産」だ。これに対して国と市は「法に触れる可能性がある」と言うが、赤ちゃんが2週間に1人遺棄死している日本の現況は国の硬直的な制度や行政の不作為が背景にあるのだから、病院の決断を応援すべきではないか。

【スペシャルトーク】「こども家庭庁」創設と子ども政策

スペシャルトークでは、「こども家庭庁」創設に向けた最新動向や子ども政策について、現政権の内閣府大臣政務官として同庁創設などの政策を担当する自民党衆議院議員の宮路拓馬氏にお話を聞いた。

従来の子ども政策は学校や保育園側の視点でつくられていたが、こども家庭庁の考え方は「こどもまんなか」。子どもの視点で行政のあり方を変えていく。今後は1月17日からの通常国会で同庁設置の法案を提出するとともに、個別の政策を具体的に詰めていく流れとなる。岸田政権における目玉政策と考えており、スピード感を持って進めたい。

実は、庁創設の議論が自民若手議員の勉強会ではじまった当初は「こども家庭庁」としていた。その後、たとえば虐待を受ける子どもにとって家庭は恐怖の対象であるような例もあり、「“こどもまんなか”なら“家庭”は外して良いのでは?」と考えて「こども庁」としていたのだが、ここはいろいろな考え方があった。家庭の貧困が虐待につながるケースもあるわけで、むしろ子どもを育てる家庭を支援する意図もあることなどから、最終的には当初の「こども家庭庁」に戻った。いずれにしても「こどもまんなか」。子どもでも読めるよう庁名はひらがなにするなどのこだわりもある。

多くの人が同じベクトルを向いた状態で社会が運営されていた昭和モデルから、子ども政策も令和モデルに転換する必要がある。家族のあり方は多様化し、両親と子ども2人という昭和の一般的モデルも今はむしろ珍しくなった。教育も同様だ。皆が同じ教室で同じ教科を学ぶ画一的教育が本当に良いのか、と。国の制度も社会の変化に追いつかないといけない。

しかし、これまでは省庁間の縦割りでそうした課題にうまく対応できていなかった面がある。国と県と市、学校と教育委員会、さらには学校と福祉行政等、横割りの弊害もあった。これに対して「こどもまんなか」のワンストップで、かつそれぞれの子どもが置かれた状況や個性に応じた保育や教育をつくりあげることがこども家庭庁の役割となる。

性犯罪履歴がある人々を教育現場に入れない日本版DBS(Disclosure and Barring Service)の議論も重要だ。日本はいまだ性被害を受ける側に何か問題があるかのような話になってしまうこともあるが、悪いのは加害者。逆に言えば、性犯罪を繰り返してしまう小児性愛の人々には「加害者にさせないため教育現場に入れない」というケアも大事だ。その意味でもDBSは待ったなし。必ず実現しなければいけないと考えている。

宮路拓馬(みやじ・たくま):衆議院議員
1979年(昭和54年)生まれ。東京大学法学部を卒業後、総務省自治行政局・消防庁、内閣官房副長官補(安全保障・危機管理担当)付参事官補佐などを経て、2014年衆議院議員総選挙で自民党全国最年少初当選。20年9月の菅内閣発足に伴い総務大臣政務官に就任。21年11月、第2次岸田内閣において内閣府大臣政務官。現在3期目。公式HPTwitter

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1.LuckyFM茨城放送のラジオ FM88.1/94.6MHz
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