ダイバーシティニュース 経済(12/22) 瀬尾傑 【1/31までの限定公開】

瀬尾傑(せお・まさる):スマートニュースメディア研究所 所長

1965年、兵庫県生まれ。同志社大学卒業。日経マグロウヒル社(現日経BP社)に入社。経営企画室、日経ビジネス記者などを経て、講談社に転職。19年2月、調査報道支援のための子会社、スローニュースを設立し、代表に就任。新しい時代のジャーナリズムの育成と支援に取り組んでいる。Twitter

瀬尾傑さんのニュースピックアップ

1.日本のGDP成長の鍵は、デジタル庁による改革

GDP(国内総生産)は豊かさを表す指標だ。2020年時点では韓国に対して25%、台湾に対しては42%上回っているが、2027年には1人あたりのGDPが日韓逆転、台湾をも下回るという事実は改めて突きつけられるとショックな出来事。逆転されてしまう理由は、日本のGDPの成長が低いから。成長鈍化の大きな要因はDX(デジタルトランスフォーメーション)の遅れだ。キーとなるのはデジタル庁。新しくできた省庁なので、できるだけ早く改革させるかが重要だ。

2.『ラクレコ』は新旧技術を組み合わせた新たなサービス

音楽CDのデータをスマホに直接送れる『ラクレコ』はBUFFALOが発売したもので、当初予測した倍の売れ行きになっている。CD世代にはハマる商品だし、かつ音楽サブスクに楽曲がアップされていないグループを推している若い世代にとっても便利だ。古いメカニズムと組み合わせることで必要とされるサービスを生み出すことができる。『ラクレコ』は面白いところに目を付けた。

3.いいね数非公開アプリ『Tagg』 SNS疲れ解消?

ソーシャルブランディングアプリ『Tagg』はSNSのようなサービスで、ソーシャルブランディング=自分をどう見せたいかを実現できるツール。FacebookやTwitterの幹部が出資しているが、その理由はSNSに対する不信感だ。現状のSNSは「いいね」数が見えることで競争心や依存性を高める仕様になっているが、『Tagg』は「いいね」数は非公開。問題点を改善するようなSNSが出てきたことに注目。

4.国交省の基幹統計書き換えで募る国への不信感

国交省が経済の基本となるデータを書き換えていた、というニュースは最近よく取り上げられている。会計検査院が問題を指摘したにもかかわらず、その後も書き換えが続いていたこともわかった。経済政策はデータを基に行なっているため、正しいデータでなければ正しい政策ができないことになる。また不祥事を隠すと政府が信用できないと、国民が個人情報を提供しなくなる。日本の生産性を挙げるためにも、政府の透明性を高めるべき。

5.「伸びる時代に伸びる場所にいる」職業感が重要に

これまで7社(ユニコーン企業3社含む)を経験し、自分なりの職業観を持っている森山大朗氏に注目が集まっている。新卒の就活時は「潰しがきく仕事を選ぼう」と言われているが、森山氏は「時代の変化の最先端で働くべき」と唱えている。ベンチャー企業にも言えることだが、伸びる時代に伸びる場所にいることが大切。“伸びる場所”について10年後はわからないが、3年、5年後は予測、判断できる。見極めて行動することが必要。

【スペシャルトーク】「チャイルドデス・レビュー」の必要性

スペシャルトークでは、取材記者グループ「フロントライン・プレス」の高田昌幸さんに、子どもの死を調査する「チャイルドデス・レビュー」をテーマにお話をいただいた。

「チャイルドデス・レビュー」とは、子どもの死がなぜ繰り返し起きてしまうのか死亡の実例を様々な行政機関や人が集まって検証し、共通事項を見つけ、対策を講じるという動きで、防げる死を防ぐための取り組み。警察、児童相談所、学校など日本は子どもの死に関する役所がバラバラ。どの行政機関が子どもの死を検証するのかがまとまっていない。

以前、髪の毛がジェットバスの給水溝に巻き込まれてしまい、子どもが浴槽で溺死した事件があった。経済産業省には同じような事件が23件報告されていたが、経済産業省内に留まっているだけで情報の共有がされていなかった。そういった情報をトータルで見るために誕生したのが、「チャイルドデス・レビュー」。発祥はアメリカ・カルフォルニアで、1970年代にスタートした。それを機に1974年に児童虐待防止法ができ、子どもの事故死が76%減少。さらに子どもの死を防ぐために警察に情報提供する法律があるが、縦割り行政の日本ではそれができない状態だ。

「こども庁」ができれば一気通貫で「チャイルドデス・レビュー」を実行できるようになるかもしれない。子どもをなくした母親に取材した際、「結局子どもが死なないと行政は動かないんですね」という言葉が出たこともある。

「フロントライン・プレス」は一つのテーマをじっくり追いかけていくこと、マスメディアでは取り組みづらいマイナスをプラスに変えていくことを目指している。「誰も知らない世界を、誰もが知る世界に」をキャッチフレーズに掲げているのもそのため。さらに仲間を増やし、「調査報道」、「スローニュース」という言葉を広めていきたい。「チャイルドデス・レビュー」以外にも、貧困の最前線で何が起きているのかをルポした「ハザードランプを探して」や、2008年に起きた千葉県の転覆事故を取材したスローニュースなど、他にも注目したいただきたいニュースはたくさんある。調査報道といえば「フロントライン・プレス」と言われるようになりたい。

高田昌幸(かだ・まさゆき):1960年高知県生まれ。法政大学法学部卒業後、一般企業を経て1986年に北海道新聞に入社。2011年6月に退社してフリーへ。2012年に高知新聞に入社、2017年3月に退社した後東京都市大学教授に就任。2019年、取材記者グループ「フロントライン・プレス」を設立。Twitter

ダイバーシティニュース視聴方法

1.LuckyFM茨城放送のラジオ FM88.1/94.6MHz
2. YouTubeライブ配信(アーカイブでも視聴可能です)https://www.youtube.com/channel/UCOyTwjQoiUJXxJ8IjKNORmA
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