ダイバーシティニュース 政治(12/21)津田大介【1/31までの限定公開】

津田大介(つだ・だいすけ):ジャーナリスト/メディア・アクティビスト 
メディア、ジャーナリズム、IT・ネットサービス、コンテンツビジネス、著作権問題などを専門分野に執筆活動を行う。ソーシャルメディアを利用した新しいジャーナリズムをさまざまな形で実践。オンラインメディア「ポリタス」編集長を務める。Twitter

津田大介さんのニュースピックアップ

1. 公明・遠山清彦元議員が違法融資仲介の容疑で在宅起訴

元財務副大臣の遠山氏は2020年3月以降、秘書を通じ、日本政策金融公庫に対して約100業者への融資働きかけを行っていたという。コロナで多くの企業が壊滅的な売上減に陥っていた時期だ。議員として困っている人々のために法の範囲内で仲介をすることはあり得るかもしれないが、謝礼として計1,000万円超を懐に入れていたということで大変悪質な行為であり、私利私欲のために権力で制度を歪めたと言われても仕方がない。

2. オミクロン株の感染も 米軍キャンプ・ハンセンでクラスター

基地近くの繁華街に繰り出して、マスクをせず飲食店等で騒いでいる米軍兵士たちもいるという。玉城知事は米本国からの軍人・軍属の異動を一時停止する等の項目を米軍に対して要求しているが、受け入れられるかどうかは分からない。日米地位協定もあり地域の声が聞き入れられないことは、沖縄と日本政府との対立を引き起こしている背景でもあるが、その構図がコロナ禍で一層明確に浮かび上がっていると感じる。

3. 熊本市長、内密出産受け入れの法整備で「議員立法も検討を」

孤立出産によって母子の命が危険にさらされることを防ぐため、妊娠をした女性が病院にだけ身元を明かして出産する内密出産の受け入れを、2019年に熊本市の慈恵病院が発表していた。ただ、それで出生届けを出しても母親の名前を書かなければ受理は厳しく、自治体としても難しい立場にある。今回の市長発言は、そうした匿名・内密出産受け入れの法的整備を国会で議論して欲しいとの旨であり、良い対応だと思う。今回の報道を通し、この問題にもっと光が当たればと感じる。

4. 国交省が基幹統計を改ざん 年間およそ1万件を書き換え

2018年の厚労省による改ざんと同じだ。当時はアベノミクスが順調と見せかけるために数字を嵩上げしたのではないかと言われていたが、今回は国交省の「建設工事受注動態統計」が二重統計によって8年前から過大になっていた。官僚の忖度だったのか、単なるミスなのか、まだ分からない。ただ、3年前と違って第三者委員会で検証がなされることになったのは良かった。厳格に検証して事実関係を明らかにして欲しい。

5. 公文書改ざん指示による赤木さん自死 国の責任認め謝罪

真実を明らかにすることが裁判の目的だった筈だが、これ以上後ろ暗いことが明らかにならないよう、「1億700万円なら賠償を認めたうえで早く裁判を終わらせよう」という政府の意図を感じる。本件の賠償に税金を使わないで欲しいが、そうした対応を政府にさせないほどの高額訴訟が可能かというと、現在の制度では印紙代等の裁判費用が高額になってしまう。今回のような政府の動きがパターン化してしまうことを懸念している。

【スペシャルトーク】ドキュメンタリー映画『香川1区』

スペシャルトークでは、今月24日から都内で先行公開されるドキュメンタリー映画『香川1区』について、津田大介さんに掘り下げていただいた。

『香川1区』の主役は、現在立憲民主党の政調会長を務める小川淳也氏。政治家となって苦しみながらも理想を追いかけていく小川氏の姿を、初出馬の頃から20年近く追い続けたうえで映像化し、昨年ドキュメンタリー映画として異例のヒットを記録した『なぜ君は総理大臣になれないのか』(以下、なぜ君)の続編と言える。

近年の香川一区は、前デジタル大臣であり盤石な地盤を持つ自民の平井卓也氏が強かった選挙区だ。しかし、2018年に厚労省の不正統計を追及して知名度を高めた小川氏には、『なぜ君』の公開を経て、「こんな議員がいたのか」と、多くのファンがつくようになっていた。そうして今秋の衆院選では小川氏と平井氏の一騎打ちとなり、そこに維新の候補も割って入ってきたという流れが映画では描かれている。

衆院選までの4~5ヶ月間、主に小川氏に密着した本作は2時間半ほどの長編だが、大変面白かった。監督の大島新氏は小川氏に好意的な眼差しを向けるが、「なぜこれほど不器用なのか」と、ある意味では突き放すような一面も感じる。一方、組織力のある平井陣営に関しては、小川氏の知名度向上もあって選挙戦が進むにつれて余裕を失っていき、やがては…、という変化まで描かれていた。選挙の戦い方を含め、小川・平井両陣営のコントラストが詳細に描かれていた点も面白い。

8割は小川氏を追った本作ではあるが、彼を通して我々有権者が主役の映画になっていたように思う。「これほどレベルの低い政治をいつまで許しているのですか?」と。「どうすれば社会が良くなるか」ではなく、特に地方になればなるほど、経済または社会的なしがらみで投票をしているという日本の現実を、本作は我々に突きつけている。

また、今回の衆院選では小川氏が選挙区で勝利したわけだから、既得権に打ち勝つ形もあるのだなと思う一方で、小川氏の選挙戦自体は大変なドブ板だった。家族との時間も犠牲にして、自転車で走り回り、ひたすら挨拶に挨拶を重ねていかないと勝てないような選挙の仕組み自体、政治への参入障壁を引き上げているし、女性議員が増えない背景の1つでもあると感じる。小川氏を通して、日本の議会制民主主義が古いままであるのは何故かということが垣間見れる映画でもあると思う。

ダイバーシティニュース視聴方法

1.LuckyFM茨城放送のラジオ FM88.1/94.6MHz
2. YouTubeライブ配信(アーカイブでも視聴可能です)https://www.youtube.com/channel/UCOyTwjQoiUJXxJ8IjKNORmA
3. radikoでも聴取可能です

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