ダイバーシティニュース 社会(12/20)杉山文野【1/31までの限定公開】

杉山文野(すぎやま・ふみの):NPO法人「東京レインボープライド」共同代表、日本オリンピック委員会理事、株式会社ニューキャンバス代表。フェンシング元女子日本代表。トランスジェンダー。早稲田大学大学院教育学研究科修士課程終了。 日本初となる渋谷区・同性パートナーシップ条例制定に関わる。 現在は父として子育てにも奮闘中。公式サイトTwitter

杉山文野さんのニュースピックアップ

1. 12月1日の世界エイズデー 各地で理解と支援促すイベント

特定の日に皆で考える機会を設けるのは大切なこと。特に今年は初めてエイズ症例が報告されてから40年の節目でもあり、世界各地で例年以上に啓発イベントが行われていた。今ではよく知られるレッドリボンのシンボルだが、使われはじめるようになった1980年代はHIV患者に対して根強い差別や偏見があったという。最近は適切な治療を受ければ発症せず感染することもないということで、時代も変わってきたと感じる。

2. 女子サッカーの横山選手が米国で結婚 トランスジェンダー公表 

今年6月にトランスジェンダーであることをカミングアウトしていた横山選手。そのときにバイデン大統領から祝福メッセージが寄せられたことにも象徴される通り、日本ではLGBTQ+の当事者であることをカミングアウトするアスリートは少ないし、まだまだ婚姻の平等が実現していない状況だ。SNSを通じた今回の結婚のご報告でも、「日本では無効ですが、少しでも発展していくことを願っています」とのコメントをなさっていた。

3. チリで同性婚の合法化法案が可決 ピニェラ大統領も支持

議会では圧勝だったという。チリでも保守層から根強い反対があってなかなか法制化は進まなかったそうだが、政治トップが支持を示したのは大きかったと思う。一方で、たとえばブラジルでは同性婚が法制化されているが、いまだ年間数百人にもおよぶトランスジェンダーの方々が偏見や差別から殺害されている現実もあり、法制化だけですべてが解決するわけではない。ただ、大きな一歩ではあると思う。

4. 不妊治療の公的医療保険適用、生殖補助医療は対象外に

第三者から精子や卵子の提供を受けて生まれた子どもについて親子関係を明確にする民法特例法は昨年成立したが、遺伝子の上の親を知る権利は曖昧なままという点が今回の方針に影響している。第三者側とすれば匿名性が保たれなければ提供しづらい現実はあるが、今は明確なルールがないためドナー提供等でトラブルも多い。子どもが出自を知る権利は保障しつつ、子どもを望む方も安心して生殖補助を受けられる法制度が必要だと思う。

5. 小池都知事、22年度内に同性パートナー制導入を目指す考え

都知事に要望書を持って行った1人としても、導入時期を含めた具体的議論が進んでいるのはすごく嬉しい。これにより都営住宅に入居できたり、都立病院での面会や手術同意に関して家族としての待遇を受けることができたりする。同性パートナーシップ制度を設けている自治体はすでに140を超えたが、東京で実現すれば人口カバー率で日本の全人口の半数を超える。そうなれば法制化にもつながりやすくなるだろう。

【スペシャルトーク】時代とともに変わるコミュニケーション

スペシャルトークでは、日本記者クラブで行われた大リーグ・エンゼルス大谷翔平選手の記者会見で結婚に関する質問が出たことに対し、SNS等で批判の声があがったという騒動について、杉山文野さんに掘り下げていただいた。

記者会見のようなオフィシャルの場で、異性愛者として結婚することが大前提であるかのような質問をしたのは良くなかった。ただ、あれほど活躍した、いろいろな意味で格好の良い方だけに、プライベートやパートナーについて気になってしまう面はあると思うし、今回のような質問をしてしまう年上世代の方々の気持ちも分からなくはない。僕もセクシャリティに関しては少数派の当事者だが、年齢的にはただのおじさん(笑)。若い方々と話すとき、「この言い方でいいんだっけ?」と考えるうち、会話しづらくなってしまうようなときはある。

昔の話だが、たとえばトランスジェンダー同士であれば、初対面でも「どこの病院で手術したの?」なんていう話が当たり前にようにされていたことがある。今ならあり得ないことだ。もちろん当時だって良くなかったと思うが、言葉遣いも含め、時代とともに変化するコミュニケーションのあり方に取り残されないようにするのは難しいことだと思う。

そんな思いもあって、たとえば若い世代とお話をするとき、僕は「なにか嫌なことを言っちゃってたら教えてね」と、最初にお願いしたりしている。「あの人、分かってないね」と、あとで言われるより、その場で「今はそういう言い方はしないんです」と指摘してもらえるほうがありがたいので。

同様に、上の世代の方々も「結婚の話もできないなら何も話せない」といった考え方をせず、常に自分自身をアップデートする意識が大事になるのではないか。年齢を重ねても素敵だと思える方というのは、いつも何かを学ぼうとしている人々。僕もそうありたいと思う。

日本のジェンダーギャップが真に解消されていけば、今回のような質問だってカジュアルにできるような社会になるかもしれない。性の多様性が当然のように尊重されているなら、「彼氏いる?」と訊かれた女性が、「彼氏じゃなくて彼女がいるんです」と、普通に答えられるようになるというか。そのためにも、今回のような騒動があったとき、腑に落ちないまま溜め込んだりせず、たとえば信頼できる身近な人たちと口に出して議論などを重ねていくような意識が大事になるのだと思う。

ダイバーシティニュース視聴方法

1.LuckyFM茨城放送のラジオ FM88.1/94.6MHz
2. YouTubeライブ配信(アーカイブでも視聴可能です)https://www.youtube.com/channel/UCOyTwjQoiUJXxJ8IjKNORmA
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