ダイバーシティニュース 政治(12/7)津田大介【1/31までの限定公開】

津田大介(つだ・だいすけ):ジャーナリスト/メディア・アクティビスト 
メディア、ジャーナリズム、IT・ネットサービス、コンテンツビジネス、著作権問題などを専門分野に執筆活動を行う。ソーシャルメディアを利用した新しいジャーナリズムをさまざまな形で実践。オンラインメディア「ポリタス」編集長を務める。Twitter

津田大介さんのニュースピックアップ

1. 執行役員12人の半数が女性 立憲が両院総会でリスタート

思い切った人事だと思う。衆議院選挙の立憲民主党の公約でもあったが、実行するのは大変だったのではないか。組織におけるマイノリティが3割を超えてくると組織全体の文化が変化していくという。それが5割となるわけで、重要な変化をもたらし得るのではないか。短期間でマイノリティ側を一気に増やすと、いろいろハレーションが起きることはあるが、それでも今回のような方針を翻さず、組織内で調整していくことが鍵になると思う。

2. 岸田首相の所信表明演説、「新しい資本主義」も前面に

盛りあがりに欠ける演説だったと感じる。自由民主党総裁選挙出馬を表明していた頃と比べると、実際に首相となり、そして国会が開かれていくなかで主張がどんどん丸くなって、「結局、何をやりたいのかな」と。「デジタル田園都市国家構想」等、意外と期待できる話もあるが。いずれにせよ「新しい資本主義」を含めて有識者会議で具体的政策を示しつつ、今後の国会論戦を経て、あるいは参議院選挙の結果次第でアクセルを踏むのかなと思う。

3. 京都ウトロ地区で放火容疑の男 韓国民団への放火疑いも

深刻に受け止めている。ヘイト暴力には段階があり、「偏見による態度」「誹謗中傷等の行為」「住居・教育・教育の差別」と激しくなっていった先、今回のような直接的暴力やテロがある。SNS、政治家、そして企業すら行うヘイトスピーチを社会が放置してきた結果ではないか。政治家が理性的対応を呼びかけていかないと、今後も同様のことが起き続けると思う。

4. 安定的な皇位継承のあり方は 有識者会議が最終報告

「女性皇族が結婚後も皇室に残る」「旧宮家の男子が養子として皇籍復帰する」という2案がまとめられた一方、女性天皇・女系天皇の選択肢があえて排除されたと感じる。しかし、皇籍を離脱した方が天皇に復帰したのは平安時代の2例だけ。むしろ伝統にそぐわないと感じるし、そもそも70年前に一般人となった旧宮家の方がいきなり皇位継承権を持てば国民はどう思うか。なかなか出口が見えない議論になっていると感じる。

5. 「送還拒否のうち1/3に前科」 入管法改正案を再提出か

今年の国会で入国管理及び難民認定法(入管法)改正が見送られたのは、内容が滅茶苦茶で世論の反発も大きかったから。それを再提出するとの報道だが、おそらく内容は今年の案と同じだ。だからこそ外国人に犯罪者が多い印象を与えようとしているのだろう。しかし、前科といっても在留資格喪失による行政処分も多い。外国人は怖いとの印象を植え付ける一方で、特定技能の在留資格は無期限にしたりと、外国人在留に関する政府の方針には矛盾を感じる。

【スペシャルトーク】ジャーナリスト伊藤詩織氏への中傷ツイートとその訴訟

スペシャルトークでは、ジャーナリストの伊藤詩織さんが漫画家の「はすみとしこ」さんら3人に対し、中傷ツイートの損害賠償などを求めた訴訟について、津田大介さんに掘り下げていただいた。

訴えられた3人の中心は「はすみとしこ」のペンネームで活動する漫画家の蓮見都志子氏。かつて伊藤氏は、元TBS記者の山口敬之氏に性暴力を受けたとして刑事告訴をしている。その結果、準強姦罪容疑については不起訴となったが、民事では不法行為が認められて伊藤氏が勝訴。現在は山口氏が控訴して高裁で争っている状態だ。

問題は、蓮見氏がこの件に関連して、明らかに伊藤氏と分かるような表現で“枕営業を行う女性”を漫画に描き、ツイッターに投稿した点となる。もう2人の被告は、蓮見氏の当該ツイートをリツイートしたことで訴えられていた。その結果、11月30日に下された判決では、名誉毀損で蓮見氏に88万円、リツイートした2人にそれぞれ11万円の賠償が命じられている。

名誉毀損には「違法性阻却事由」というものがあり、公共性、公益目的、そして「真実であると信じるに足る証拠があること」の3つが満たされると罰せられない。しかし、今回は山口氏すら言っていない“枕営業”という投稿内容について不法行為が成立し、賠償が認められた。ただ、伊藤氏が損害賠償とともに求めていた謝罪広告の掲載要求は認められなかった。「原告が被った社会的評価の低下という損害は、賠償によって相当程度回復する」との理由だが、これについては納得がいかない面もある。

一方、もう2人の被告は「リツイートは賛同の意味でなかった」と主張していたが、今回の裁判では彼らの前後ツイートも判断材料となった。そのなかで蓮見氏を応援するような、またはその主張に同意するような投稿をしており、「それなら本件のリツイートも賛同だろう」と。ただ、この辺については専門家でも判断が分かれている。こうした判決になるなら、リツイートでさんざん拡散しても、あとで「自分はそう思わないけど」と投稿しておけば罪に問われない可能性もあるからだ。

また、こうした民事訴訟では賠償命令が出たにも関わらず支払いが行われない例も多い。蓮見さんの支払い能力はまだ分からないが、弁護士費用をはじめ、お金も時間も精神的コストもかけて勝訴したと思ったら、実際には賠償が行われないことがあるわけだ。この点については国が肩代わりをするような形も含め、さらなる議論が必要になると思う。

ダイバーシティニュース視聴方法

1.LuckyFM茨城放送のラジオ FM88.1/94.6MHz
2. YouTubeライブ配信(アーカイブでも視聴可能です)https://www.youtube.com/channel/UCOyTwjQoiUJXxJ8IjKNORmA
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