ダイバーシティニュース 社会(11/22)杉山文野【12/31までの限定公開】

杉山文野(すぎやま・ふみの):NPO法人「東京レインボープライド」共同代表、日本オリンピック委員会理事、株式会社ニューキャンバス代表。フェンシング元女子日本代表。トランスジェンダー。早稲田大学大学院教育学研究科修士課程終了。 日本初となる渋谷区・同性パートナーシップ条例制定に関わる。 現在は父として子育てにも奮闘中。公式サイトTwitter

杉山文野さんのニュースピックアップ

1. 「いいふうふ=1122」の日に結婚の平等を考える多様な催し

今までは「いい夫婦の日」と漢字で書かれ異性愛を前提にしていたが、近年はひらがなで書かれ、同性婚を含むパートナーシップの多様化が表されるようになってきた。こうした日に性別のあり方を越えてパートナーとの関係性を改めて考えるのは良いことだと思う。今回は同性婚の実現を求めて訴訟を起こしているMarriage For All Japanも、多様なふうふの日常をテーマにしたイラスト展を都内で開催している。ぜひ足を運んでみて欲しい。

2. IOCがトランスジェンダー選手に関し新しい指針を発表

人権尊重と競技の公平性でどこに折り合いを付けるかが議論になっていた。今回の指針では、「性自認や性表現によるいかなる差別も許されない」等、IOCが定めた10の原則に従って、出場基準自体は各競技で独自に設ける形となった。東京大会では重量挙げが議論となったが、たとえば乗馬のように男女の区別がない競技もあるためだ。競技ごとに大きく異なる特性を踏まえ、各団体がどのように公平性を確保してくかに注目したい。

3. 英政府がアフガンで死の危険に晒されるLGBTQ+を救出

アフガンは、イスラム法に基づく憲法で同性間の性行為に死刑が適用される国の1つ。LGBTQ+の人々は今までも差別や暴力に直面しており、親族に殺害される「名誉殺人」すら起きていた同国で、8月のタリバン全土掌握によりさらなる迫害が懸念されていた。たとえば日本人であるという生まれつきの属性だけで殺されてしまう国や地域が今もある状態を想像してみて欲しい。本件には国際社会が適切に介入していくことも大事だと思う。

4. 2025年に台湾で「ワールドプライド」が開催 東アジアで初

LGBTQ+のイベント「プライドパレード」はこれまで何度か紹介しているが、「ワールドプライド」はその世界大会とも言うべきもの。2019年のニューヨーク開催ではおよそ400万人が参加しており、経済効果も大きく国を挙げて招致活動が行われることも多い。主催団体の総会に一国の首相がメッセージを寄せることもある熾烈な招致合戦のなか、2025年は台湾が欧米の強豪を退けて東アジア初の開催地となった。4年後が非常に楽しみだ。

5. 11月20日にトランスジェンダーの人権を訴えるマーチが開催

LGBTQ+のなかでも特に差別や迫害を受けやすいトランスジェンダーや、男女二元論に当てはまらない性のあり方、いわゆるノンバイナリーの人々に特化したパレードで、日本では初開催となる。400人もの人々が集まって新宿を1時間練り歩いた。大きな話題になりにくいが、何故トランスジェンダーやノンバイナリーの人々が差別され、ときには自死に至るケースも多いのかを考えるきっかけになれば思う。

【スペシャルトーク】PRIDE指標2021

スペシャルトークでは、LGBTQ+に関する企業の取り組みを測る「PRIDE指標2021」の発表を受け、最近の企業における「ダイバーシティ&インクルージョン」の取り組みと傾向について、杉山文野さんに掘り下げていただいた。

LGBTQ+に関する取り組みとして「各企業が社内でどんな制度をつくっているか」「どのような啓発活動を行っているか」といった視点で評価するのが「PRIDE指標」だ。一定の基準にて点数化したうえで「ゴールド」「シルバー」「ブロンズ」を認定している。今年は300社の応募があり、そのなかで237社が「ゴールド」認定された。2017年の応募が100社前後なので、3~4年で3倍になった計算だ。今は厚生労働省、日本経済団体連合会(経団連)、新経済連盟(新経連)、東京都等も後援団体となっていて、企業に欠かせない活動という認識で皆さんに応援していただいている。

昔は「仕事と何の関係があるのか」という感じだったが、企業が取り組む理由は大きく2つある。1つは、社内に必ずいるであろうLGBTQ+の当事者にとって働きやすい環境を整えること。もう1つは、顧客のなかにも必ずいるであろうLGBTQ+のために、商品やサービスの質を高めるということになる。

「PRIDE指標」では他の企業にも真似して欲しい取り組みとして「ベストプラクティス賞」も毎年発表しており、今年はスターバックスやファミリーマートが受賞した。スターバックスはLGBTQ+の子どもたちに対するサポートを行ったり、全国に店舗を持つファミリーマートは各地で自治体の取り組みを応援したりと、最近は社内だけでなく社会的に広くインパクトを与えるような取り組みが評価される傾向にある。

また、今年からは業界や社会へのコミットメントに対する評価として「レインボー」認定も新設され、10社が受賞した。1つの組織だけでは解決できない課題に対して、企業や行政やNPO等、複数組織でゴールを共有していくという「コレクティブ・インパクト型」の取り組みを推進していく。

「PRIDE指標2021」を発表した今年のカンファレンスでテーマとなったのは‘Equity’と‘Well-being’の2つだ。「皆等しく」という平等に対して、前者の‘Equity(公平)’は「偏りなく皆が等しく」という考え方。これまでと同じことをやっていても変わらない。だからこそ、より多くの時間やお金を弱い立場の人々にかけることで偏りをなくしていくという観点になる。企業としても、より弱い立場の人に寄り添っていくことが、格差や分断の是正につながるのだと考えている。

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