ダイバーシティニュース 社会(11/15)乙武洋匡【12/31までの限定公開】

 

乙武洋匡(おとたけ・ひろただ):作家
1976年生まれ。大学在学中に出版した『五体不満足』(講談社)がベストセラーに。卒業後はスポーツライターとして活躍したのち、新宿区教育委員会非常勤職員「子どもの生き方パートナー」、杉並区立杉並第四小学校教諭を経て、2013年には東京都教育委員に就任。『だから、僕は学校へ行く!』(講談社)、『オトことば。』(文藝春秋)、『オトタケ先生の3つの授業』(講談社)など著書多数。Twitter 公式サイト

乙武洋匡さんのニュースピックアップ

1. 障害者への待機料金請求で米司法省がUberを提訴

ドライバーが指定場所に到着してから出発までに一定時間が経つと待機料金を支払わなければならないというシステムが、搭乗に時間が必要なこともある障害者に対し「障害を持つアメリカ人法(ADA)」の観点で差別にあたるというものだ。これに対しUberは“驚きと失望”を表明したが、このメッセージは障害者差別をする企業と受け取られかねない訴訟への反発であり、当該システム自体はすぐ是正していることは押さえておきたい。

2. 車椅子入店拒否のスポーツジムに33万円の慰謝料判決

以前は車椅子のまま受付近くまで入ることができていたジムで、経営者が変わってから車椅子での入店が禁じられたことなどに対する訴訟だ。判決は運営会社の過失となったが、「差別にあたるとまでは言えない」との判決内容。「では、なぜ33万円?」と思う。いずれにせよ先ほどの米国ニュースと対照的で、日本におけるネット等の反応はジムに同情的な声も多い。同様の問題に対する人々の考えに日米で隔たりがあると感じた。

3. 夫婦同姓「合憲」判断の裁判官、国民審査で罷免率高まる

特定の裁判官だけにバツをつけることが少ないであろう最高裁裁判官の国民審査で、夫婦同姓が強制される現状を合憲とした裁判官の罷免を求める比率が他の裁判官より1ポイントほど高くなったという。私自身は選択的夫婦別姓を導入すべきだと考えている。ただ、合憲か違憲かの判断が法理でなく国民の声に影響されるものなのか。仮に影響を受けるとして、それは正しいことなのか。判断の難しいニュースでもあると感じる。

4. 武蔵野市が外国人に要件なしで住民投票権付与の条例案提出

実現すれば全国で3例目とのことだが、それなら「1、2例目で何か問題が起きたのか否か」「問題があったのならどのように解決を図ったのか」等の情報がないと住民も判断しづらいと思う。少なくとも「住民投票は政治・行政が意思決定する際の判断材料であり法的拘束力も発生しない。参政権とは異なる」と市長は明言している。メディアは懸念を煽るだけでなく過去事例の取材・報道も細かく行うべきではないか。

5. 立憲代表選で西村智奈美氏が女性初の立候補を検討

世代交代やジェンダー平等が進んでいないといった自民への批判は多いが、小沢一郎さんらが比例復活した立憲に対し、自民は定年制によって最終的に落選した高齢の方もいるし、総裁選でも候補の半分が女性だった。それなのに衆院選でジェンダー平等を大きな争点にした立憲の代表選候補が全員男性ではシャレにならないと思っていたので、西村氏が出るのは良いと思う。性別に関わらず若手の発掘・育成も進めて欲しい。

【スペシャルトーク】エコーチェンバーとフィルターバブル

スペシャルトークでは、「エコーチェンバー」と「フィルターバブル」の危険性などについて、乙武洋匡さんに掘り下げていただいた。

立憲民主党が今回の衆院選で争点に掲げた「ジェンダー平等」や「気候変動」の問題は、有権者全体では大きな関心事にならなかったようだ。もし「そんなはずはない。ネットでも大きな話題になっていた」と感じるなら、それはエコーチェンバーやフィルターバブルの影響を受けている可能性がある。

SNSでは、自分の意見に同調する人とコミュニケーションを取りやすいため、自分が多数派であると勘違いしてしまうエコーチェンバーの状態に陥りやすい。SNSで触れる情報は閲覧履歴等を考慮するアルゴリズムによって偏るため、社会・政治の問題に関し自分に近いスタンスの声ばかりが集まってしまうフィルターバブルの問題もある。

10年ほど前の都知事選期間中、私のツイッターのタイムラインでは石原慎太郎氏に批判的な声ばかりだったが結果的には氏の圧勝だった。あるいは、投票を促す発信がバズった年も投票率は大変低いままだったり。落胆するとともに現実を思い知らされた。

こうしたエコーチェンバーやフィルターバブルの弊害を克服するためには、自分と反対の意見を探しにいくことが必要なのだと思う。不快な思いをすることもあるが、反対の考えを持つ人々のロジックを知ると、「なるほど」と思うこともときどきある。

『五体不満足』がベストセラーになった20数年前、学生だった私は、あえて「2ちゃんねる」で自分への批判を読んでいたこともある。9割以上は当時よく言われていた“便所の落書き”的悪口だったが、なかには的を射たコメントがあったからだ。悔しいし、傷つくが、文章力に関する厳しい指摘等に「その通り」と自戒させられる機会もあった。今は、SNS等のアルゴリズム進化もあって、そうした声がますます見えづらくなっているだけに、反対側の声を見にいくことも大事になるのではないかと感じている。

ダイバーシティニュース視聴方法

1.LuckyFM茨城放送のラジオ FM88.1/94.6MHz
2. YouTubeライブ配信(アーカイブでも視聴可能です)https://www.youtube.com/channel/UCOyTwjQoiUJXxJ8IjKNORmA
3. radikoでも聴取可能です

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