ダイバーシティニュース 社会(11/8)駒崎弘樹【12/31までの限定公開】

駒崎弘樹(こまざき・ひろき):認定NPO法人フローレンス 代表理事
1979年生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業。2004年にNPO法人フローレンスを設立し、日本初となる「共済型・訪問型」の病児保育サービスを開始。2010年より内閣府政策調査員などを歴任。 現在、厚生労働省「イクメンプロジェクト」推進委員会座長、内閣府「子ども・子育て会議」委員。『「社会を変える」を仕事にする 社会起業家という生き方』(英治出版)など、著書多数。公式サイトTwitter

駒崎弘樹さんのニュースピックアップ

1. 今回の衆院選、投票率は55.93%と低水準

特に深刻なのは、ただでさえ少子高齢化で減っている若者の投票率まで低いため未来世代の声が政治に反映しにくくなっている点だ。SNS等の投票キャンペーンはエコーチェンバー的な面があり、政治参加に消極的な非大卒層に届いていないとのデータもある。義務教育での主権者教育に加え、欧州のように街中で“選挙小屋”を設置可能にする等、今は公職選挙法で厳しく制限されている選挙運動をもっと自由にする必要があると思う。

2. 厚労省が特別養子縁組の当事者による交流拡大を支援

特別養子縁組制度によって、たとえば予期せぬ妊娠で悩む方が、不妊等で子どもを授かることのできない方々に、生まれた子を託すこともできる。私は米国留学中、養子として育ったという親友の家を訪れたとき、親友とご両親の顔立ちや肌の色が違うことに驚いたら「何を驚いているの?」と、逆に驚かれたことがある。日本でももっと広がるべき制度だ。望まない妊娠等でも決して絶望せず、我々のようなNPOや児童相談所に相談して欲しい。

3. 夫婦別姓に合憲判断の裁判官、国民審査で罷免要求突出

最高裁裁判官の国民審査は形骸化した制度だと思っていたし、今回も罷免はできなかったが、民意を浮き彫りにしたという意味で機能するのだなと感じた。選択的であり誰の人権も侵害せず、ある意味では女性が虐げられているという見方すらできる状態が合憲というのは、個人的にはあり得ないと考えている。今回のような意思を今後も国民が示し続けることで、現行法が時代遅れになっていること知らしめる必要があると思う。

4. 岸田総理、こども庁創設へ 来年通常国会で法案提出の考え

前政権は創設すると言っていたのに自民党は衆院選で公約からひっそり外していて、「なぜ」と思っていた。本当につくっていただけるならいいのだが、新しい庁に機能を切り出すだけでは、今残業で死にそうな思いをしている厚労省こども部局の職員の方々が、こども庁の職員に切り替わるというだけ。リソース不足で新しいことが何もできないという話にならないよう、予算も職員数も増やすことを総理にお約束いただきたい。

5. デイサービス送迎車内で障害児へのわいせつ行為が横行

障害のある子は被害を訴えることが困難な場合もあるため、犯行がバレづらいことを知ってデイサービスに従事する小児性愛者がいる。再犯率が非常に高い小児性犯罪に対しては、前科の有無で子どもと関係する職業への就業を制限する「日本版DBS」設立が急務だ。今まで縦割り行政の弊害で進まなかったが、現在は主要政党の公約にも入り、ようやく実現に向かいつつある。こども庁創設後、真っ先に実現すべき課題と言える。

【スペシャルトーク】拡張家族

スペシャルトークでは、社会活動家であり一般社団法人Public Meets Innovationの代表などを務める石山アンジュさんが実践している、“拡張家族”という新しい家族の形についてお話を伺った。

私たちの“拡張家族”は血縁でなく意思でつながる家族のこと。下は0歳から上は60代まで、今は102人が家族をしている。家族というと内側へ深めていくものといったイメージがあると思うけれど、私たちはそれを外側へ拡張している。その先で世界の端から端まで家族になるなら、それは1つの平和活動のあり方ではないかとも考えている。

家族を拡張してきたこの4年間、自分の思う家族の定義が崩される瞬間が何度もあって、「あ、家族というものを定義することはできないんだ」という確信も生まれた。だから、私たちのコミュニティでは皆がそれぞれ家族のイメージを持ち寄りつつ、その定義はしない。「問い」を分かち合い、対話をして、違うと思ったことがあれば各々が変わる意思を持つという点だけ、家族になるときに合意してもらっている。

実際の生活では子育てのシェアも当たり前になっていて、私も自分で産んだ子はまだいないが皆で子どもの面倒を見ている。また、私自身は拡張家族のなかで出会った人と昨年結婚した。法律婚でなく、ある種の口約束だ。結婚前から家族としての生活が日常だったので、「なぜ結婚するのか」を自らに問うた結果、私たち2人にとっては「1対1の性的なパートナーシップを結ぶこと」となった。従って、結婚の先にある日常生活を2人だけでやることはなく、子育ても拡張家族のなかで行う。

その意味では、子育てについて互いに責任を持つということを法律婚にあまり求めていないかもれない。むしろ「生活共同体届け出制度」ともいうべきものがあればいいのではないか、と。3名以上が生計をともにする共同体を国に届け出ると、結婚と同様の財産管理規則が適用され、各種支援制度も受けられるというものだ。

現金給付を含め、家族に関する現行の政策はお金を配る発想ばかりになっている気がする。しかし、本来あった人と人とのつながりを取り戻すことができれば今後の過度な社会保障コストも抑えられるのではないか。何かあったときのリスクを含めてコミュニティがもっと大きな責任を担うという拡張家族のような家族のあり方は、近代化に伴って失ってきた社会の共助を再構築する1つの形ではないかと思っている。

石山アンジュ(いしやま・あんじゅ):一般社団法人Public Meets Innovation代表、内閣官房シェアリングエコノミー伝道師、一般社団法人シェアリングエコノミー協会 常任理事(事務局長兼務)

1989年生まれ。2012年国際基督教大学(ICU)卒業後にリクルート入社。その後クラウドワークス経営企画室を経て現職。シェアリングエコノミーを通じた新しいライフスタイルを提案する活動を行うほか、政府と民間のパイプ役として規制緩和や政策推進にも従事。2018年にミレニアル世代のシンクタンク一般社団法人Public Meets Innovationを設立。 世界経済フォーラム Global Future Council Japan メンバー。新しい家族の形「拡張家族」を掲げるコミュニティ一般社団法人Cift代表理事。著書に『シェアライフ―新しい社会の新しい生き方(クロスメディア・パブリッシング)』。公式HPTwitter

ダイバーシティニュース視聴方法

1.LuckyFM茨城放送のラジオ FM88.1/94.6MHz
2. YouTubeライブ配信(アーカイブでも視聴可能です)https://www.youtube.com/channel/UCOyTwjQoiUJXxJ8IjKNORmA
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