ダイバーシティニュース 社会(9/20)杉山文野【10/31までの限定公開】

杉山文野(すぎやま・ふみの):特定非営利活動法人東京レインボープライド共同代表理事/渋谷区男女平等・多様性社会推進会議委員。フェンシング元女子日本代表。トランスジェンダー。早稲田大学大学院教育学研究科修士課程終了。 日本初となる渋谷区・同性パートナーシップ条例制定に関わる。 現在は父として子育てにも奮闘中。公式サイトTwitter

杉山文野さんのニュースピックアップ

1. 数百万のアフガン難民 西側諸国は続々受け入れを発表

たとえばカナダは2万人もの受け入れを発表した。迫害の恐れがある女性指導者や人権活動家、LGBTQ等、弱い立場の人々を優先的に受け入れるという。世界には性的少数派というだけで犯罪者として扱われ、場合によって死刑になる国もある。アフガンでも迫害が強まることを心配している。日本は国際社会の一員として難民受け入れの議論をしっかり進めるべきだと思う。

2. 米ナスダックで上場企業にマイノリティの役員登用義務

「逆差別では?」との意見もあるが、そうは思わない。ポイントは平等と公平の違い。後者は“偏り”をなくした状態と言える。片方に重い人、もう片方に軽い人が乗ったシーソーで、バランスを取るために軽い人がいるほうへ乗った状態ということだ。「真ん中にいたい」より「真ん中にしたい」。弱い立場の人に寄り添う観点が大事になると考えている。

3. 性的指向や性自認に関するSOGI(ソジ)ハラで労災認定

対象となったのは、意に反し上司から男性扱いされ続けたトランス女性。2019年のパワハラ関連法案改正ではSOGIハラも明記されたが、実際に労災認定されたのは珍しく、今後に向け大きな意味を持つと思う。「最近はすぐハラスメント扱いされて生きづらい世の中になった」との声も聞くが、以前から傷ついていたけれども泣き寝入りしていただけ。それに対して抗議の声が挙がるようになったのは前進だと思う。

4. 総裁選出馬の河野太郎氏、夫婦別姓と同性婚に賛成表明

選択的夫婦別姓と同性婚の支持を表明された方は、自民党の大臣クラスでは世耕元経産大臣を除いてほぼ初めてではないか。社会にはさまざまな課題があるので本件だけを基準にすべきとは言わないが、やはり僕らとしては期待してしまう。河野大臣も急に言いはじめたわけでなく、以前から同性婚訴訟のメンバーと意見交換会をしたりしていた。グローバルな感覚をお持ちの方だし、今回の表明が大きな一歩につながるのではないかと感じる。

5. 同性愛公表の米運輸省長官が養子縁組で2人の親に

日本でも、我々が648人のLGBTQ当事者の方にアンケートを行ったところ、「子育てをしている」または「過去にしていた」との回答は147人にのぼった。決して新しい形でなく、可視化されていなかっただけだと思う。日本の伝統的家族観と対立構造になりやすい話だが、その伝統も突き詰めれば本質は「家族を思う気持ちや絆」であり、そこは同性も異性も同じ。多様な家族の形と伝統的家族観は共存できると思う。

【スペシャルトーク】LGBTQ+を公表した36人のパラリンピック・アスリート

スペシャルトークでは、東京オリンピック・パラリンピックをきっかけにしてLGBTQ+の取り組みを更に広げようというプロジェクト「プライドハウス東京」で代表を務める松中権さんに、「LGBTQ+を公表した36人のパラリンピック・アスリート」についてお話しいただいた。

今回のパラリンピックでLGBTQ+であることを公表した選手は、2016年リオ大会のおよそ3倍。スポーツの現場は“ファイナルフロンティア”とも呼ばれ、差別や偏見が最も根強く残る領域と言われていた面がある。そのなかでもカミングアウトする人々が増えているわけで、スポーツ界も少しずつ変わっていると感じられて嬉しい気持ちがある。

プライドハウス東京は「アスリートアライ」という団体と連携し、東京大会、そしてそれ以降に向けていくつかのプログラムを共同で推進した。1つはLGBTQ+であることを公表した選手からメッセージを集め、新宿の「プライドハウス東京レガシー(以下、東京レガシー)」に展示し、彼らの思いを知ってもらう機会をつくったこと。また、事実に基づいた情報を正しい表現で発信していただけるようなメディアガイドラインも、「グラード」という団体を交えて作成・配布している。

東京大会ではプライドハウスの活動を世界で初めて組織委員会公認プログラムにすること、そして常設場所を残すことの2つを目標に掲げていた。それで昨年オープンしたのが東京レガシーだ。常設場所ができたのはまさにレガシーだったと思う。

今大会で多様性と調和がテーマの1つに掲げられ、日本でも多くの人がダイバーシティ&インクルージョンを意識するようになったことは大きな成果だったと思う。ただ、パラリンピックでカミングアウトした方が36人というのはまだまだ少ないと感じるし、東京レガシーには国際パラリンピック委員会(IPC)の方もなかなかお越しいただけなかった。パラリンピックは障害の有無が大きなテーマとなる一方、性的少数派を含む他のマイノリティ性にはまだあまりフォーカスが当たっていないのかなと感じる。

今後に関しては、まずはリアルな場所があり続けることが大事だと考えている。オリパラは一時的イベントだがLGBTQ+は日常の世界。東京レガシーは常設場所として活かしていきたい。また、せっかく杉山さんもJOC理事になられたわけだし、北京やパリ等、今後の大会でもJOCを通して日本からLGBTQ+について発信するような仕組みもつくれたらいいと考えている。

松中権(まつなか・ごん):NPO法人グッド・エイジング・エールズ代表、プライドハウス東京代表
2010年にNPO法人グッド・エイジング・エールズを設立。「LGBTと、いろんな人と、いっしょに」をコンセプトに、インクルーシブな場づくりを行うほか、多数のプロジェクトを手がける。東京2020組織委員会内での、LGBT勉強会や多様性リーフレット作成監修も担当。グッド・エイジング・エールズプライドハウス東京

ダイバーシティニュース視聴方法

1.LuckyFM茨城放送のラジオ FM88.1/94.6MHz
2. Youtubeライブ配信(アーカイブでも視聴可能です)https://www.youtube.com/channel/UCOyTwjQoiUJXxJ8IjKNORmA
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