ダイバーシティニュース 社会(9/13)駒崎弘樹【10/31までの限定公開】

駒崎弘樹(こまざき・ひろき):認定NPO法人フローレンス 代表理事
1979年生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業。2004年にNPO法人フローレンスを設立し、日本初となる「共済型・訪問型」の病児保育サービスを開始。2010年より内閣府政策調査員などを歴任。 現在、厚生労働省「イクメンプロジェクト」推進委員会座長、内閣府「子ども・子育て会議」委員。『「社会を変える」を仕事にする 社会起業家という生き方』(英治出版)など、著書多数。公式サイトTwitter

駒崎弘樹さんのニュースピックアップ

1. 医療的ケア児とその家族の支援求める法律が9月に施行

我々フローレンスも、人工呼吸器等による日常的医療が欠かせない「医療的ケア児」専門の保育園をつくる一方、彼らを支援する法律の必要性を発信してきた。今年6月にようやく成立した「医療的ケア児支援法」では全国の自治体に支援の責務が課せられ、支援センターの設置などが求められる。対応は各自治体に任せられるため地方ごとに温度差が出る可能性はあるが、大きな一歩になって欲しい。

2. 壮絶な双子育児経験した母親が「双子用自転車」を開発

双子や三つ子の育児は本当に大変だ。年が離れたきょうだいと違ってミルクをあげる時間も2倍や3倍になるが、人手は増えないわけで休む暇もない。しかも最近までは都バスに乗る際、双子ベビーカーを折りたたまなければいけなかったため実質的に乗車できなかったりしていた。それで外出もできず孤立を深める等、隠れた社会課題だったと言える。多胎児家庭を支援するサービスは今後さらに広げる必要がある。

3. 子宮頸がんを予防するHPVワクチン接種の重要性

3時間に1人が子宮頸がんで命を失っている。ワクチンで防げる数少ない癌だが、日本の摂取率は1%未満。副反応かどうかも定かでない事例をマスコミが過剰に報道したことなどから、「HPVワクチンは怖い」との印象が広がり、それで国も積極勧奨を止めてしまったという経緯がある。心ある医療関係者や産婦人科医は憤っている。小6~高1の女子を対象とした定期予防接種だが、打ち逃した高二以降の女性も公費で打てるようにすべきだ。

4. 子ども虐待死の半数は0歳児 加害者の約半数は実母

0歳児の虐待死は「遺棄」も多い。貧困状態のなか、望まない妊娠をして身内も助けてくれず夫も逃げてしまい、孤立状態で出産して公園に遺棄してしまったりする。実母も被害者の側面が強い。支援があれば育てられるし、特別養子縁組に託すこともできる。やむにやまれぬ状況へ社会が追い込んだ末の虐待死という面も踏まえ、国を挙げて支援していかないといけない。

5. 男性国家公務員の99%が1年以内に育児休暇・休業を取得

知人が務める厚労省は超激務だが、それでも99%が取得できた。「育休を取得できるよ?」と男性社員に伝えることが義務化される来年からは、民間企業でも取得率が高まるのではないか。私は2回育休を取得したが、夜も1時間ごとに起きてミルクをあげたり、本当に大変だった。1人だけではノイローゼにもなる。最初から夫婦がチームで子育てをすることが、育休終了後も続く育児の自信にもつながる。

【スペシャルトーク】テーマ:「医療関係者に聞く、今必要な新型コロナ対策と今後の見通し」

スペシャルトークでは、コロナ感染症やワクチンに関する正確な情報を人々へ届けるプロジェクト「こびナビ」で、副代表を務める医師の木下喬弘さんにお話さんを伺った。

「こびナビ」結成は今年1月。日本にもワクチンが入ってくることになり、その安全性に疑念を持つような報道が出はじめていた時期だ。日本のワクチン政策は「打つか否かは自分で判断してください」とのスタンスだが、それを判断するための正しい情報が十分行き届いていないとの課題感から立ち上げた。メディアもワクチン政策を潰そうと思っているわけでなく理解や知識が足りないだけだと思うので、今はメディア向けの勉強会も開催している。

デルタ株の伝播性は従来株の倍。今後は手洗い、マスク、3密回避に加え、空気感染を予防する換気が重要になる。冬は暖房をつけて窓を閉めないと、特に寒い地域は大変だ。そこで次の波を抑えられるかどうかは感染対策次第だと考えている。

ワクチンは感染対策の1つでもある。摂取率は今後どこかで伸び悩むと思うが、それが人口の7割か8割か9割かによって見える景色はまったく異なってくる。京都大学特定准教授の古瀬(祐気)先生は、「人口の9割なら今までと比べて2割ぐらいの対策で感染を広げず生活できる。逆に7割前後なら緊急事態が日常のような状況になる」との試算を出している。

ワクチン接種の義務化は医療全体への信頼感も損なうので、できれば納得したうえで打って欲しい。日本では風疹やはしかのワクチン摂取率は、95%ぐらいと世界的に見ても高い。おかしいのはHPVワクチンだけだった。「皆が打つワクチンなんだ」とのコンセンサスを社会でつくれば相当高い摂取率を目指せると思う。

打ちたくても打てない人がいる現況が改善すれば、ワクチンパスポートのようなインセンティブも良いと思う。そのうえで、打たない判断をなさった方には、その場で抗原検査、または1~2日内の検査による陰性証明を求める等、少しずつシフトするのがいいのではないか。また、次の波では高齢者のブレークスルー感染(接種後の感染)に備えたほうがいいと思うが、3回目の接種で防御力は相当高まるとされており、それで安全に経済活動を再開できるようになるのではないかと考えている。

木下喬弘(きのした・たかひろ):「こびナビ」 副代表、救急専門医、外傷専門医、公衆衛生修士
日本救急医学会、外傷学会専門医。2010年大阪大学医学部医学科卒。大阪の救命救急センターで9年間勤務した後、2019年にハーバード公衆衛生大学院に入学。日本のHPVワクチンに関する医療政策研究で、2020年ハーバード公衆衛生大学院卒業賞を受賞。こびナビTwitter

ダイバーシティニュース視聴方法

1.LuckyFM茨城放送のラジオ FM88.1/94.6MHz
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