ダイバーシティニュース経済(8/25放送)瀬尾傑【9/30までの限定公開】

瀬尾傑(せお・まさる):スマートニュースメディア研究所 所長。1965年、兵庫県生まれ。同志社大学卒業。日経マグロウヒル社(現日経BP社)に入社。経営企画室、日経ビジネス記者などを経て、講談社に転職。19年2月、調査報道支援のための子会社、スローニュースを設立し、代表に就任。新しい時代のジャーナリズムの育成と支援に取り組んでいる。Twitter

瀬尾傑さんのニュースピックアップ

1.  ホンダ・ジェットで「AIAA航空リード賞」を日本人初受賞 

ホンダ・エアクラフト・カンパニーの藤野道格社長が、米国航空宇宙学会の権威 「AIAA航空リード賞」を日本人初として受賞。小型ビジネスジェット機生産台数トップを誇るホンダ・ジェットだが、自動車と航空機は、似ているようで技術的な共通点はゼロ。いわば新事業参入によって成功できたのは、翼の上にエンジンを配置するなど、ホンダならではの常識を覆すイノベーターとしての特性の表れといえるだろう。

2. みずほ銀行でシステム障害が繰り返される理由とは 

今年6回目となったみずほ銀行のシステム障害。なぜ同じことが繰り返されるのか。その理由はまず、危機管理に対する姿勢が欠けていること。そして3行統合後の行内の意思決定が未だにうまくいっていないのだと思う。経営陣にシステムのしくみを根本から理解している人材がおらず、外部のベンダーに丸投げになっているのも問題だ。再発防止には、システムのことをよく理解している人材を経営者にすることが最優先課題ではないか。

3. 医療従事者と高齢者を対象に、3回目ワクチン接種へ

政府は、医療従事者と高齢者を対象に10月から3回目のワクチン接種が広げると発表した。ワクチンの効果は認められるものの、時間が経つと抗体が弱くなると考えられるためだ。ただし、WHOは3回目の接種を奨励していない。その理由は世界ではワクチンが不足している国もまだまだ多いからだ。先進国だけ優先的に3回目の接種を進めていいのか?という議論が沸き起こって当然だと思う。

4. テスラが人型ロボットを開発。2022年にプロトタイプ 

テスラが電気自動車に続くプロジェクトとして、人型ロボットの開発に乗り出した。単純労働を人型ロボットに任せることができる反面、ロボットの普及が人の職場を奪う懸念について、イーロン・マスクCEOはベーシック・インカムを提唱。仕事をロボットに任せれば、人は働くことに生きがいを見出さなくてもよいという考えだが、果たしてこれは本当に幸せな社会といえるのか。働くことの意義があらためて問われている。

5. デジタル庁人事で伊藤穰一氏就任案を見送り 

マサチューセッツ工科大学メディアラボの所長を長く務めた伊藤穰一氏は、才能と実績のある人だが、デジタル庁の事務方トップである「デジタル監」にふさわしいかどうかは疑問。性的虐待で逮捕されたエプスタイン氏から寄付を受け取っていたからだ。エプスタイン事件は有名で、伊藤氏との関わりも調べればすぐにわかること。オリンピックの開会直前にも、関係者の過去のスキャンダルが明るみに出て問題になったが、日本はこうした認識が甘すぎるといえないだろうか。

【スペシャルトーク】ゲスト:井上久男(経済ジャーナリスト)

『サイバースパイが日本を破壊する』(ビジネス社)の著者で、経済ジャーナリストの井上久男さんに、「経済安全保障」をテーマにお話を伺った。

「経済安全保障」とは、経済活動を武器に使うこと。近年の米中対立をきっかけに、経済的な手段やIT技術を駆使して戦う前に仮想敵国を丸裸にして勝つ、という概念だ。

わかりやすいイメージとしては、たとえば、米国と中国の双方に開発拠点を持っている日本企業ならば、アメリカの補助金をもらって開発した製品については、中国に情報を出してはいけない。実際、大手自動車メーカーでは、米国と中国の開発拠点間で直接メールのやり取りや、出張を禁止するといったルール形成が行われている。

これに違反すると大問題になる。楽天は携帯電話事業に進出する時に、アメリカのアルティオスター社というIT企業を買収した。米国の外為法の審査を通ったものだったが、その後になって、中国のテンセントの出資を受け入れたことが大きな問題となり、国家間の政治イシューにも発展したのだ。こうしたグローバル経営のやり方は、これまでは認められてきたし、中国のテンセントと組むのは楽天にとってメリットがあった。しかし、経済安全保障の視点からはもはや認められない。そうした状況に時代の流れは変わってきている。

このような状況を受け、日本では自民党内で「ルール形成戦略議員連盟」が形成された。この議連では、中国の軍民融合の戦略に国としてどう対応していくか、また、ブラックボックス化への批判の矛先を避けるために、経済安全保障一括法を制定する動きがみられ、そのなかに経済安全保障条項をいれようといった議論がかわされている。

日本企業でも今後、経済安全保障担当部署と担当役員を整備・配置する必要が出てくるだろう。米中で大きなビジネスを展開する企業は、米中両国において、情報管理を厳格化すること、そしてサプライチェーンのデカップリングを意識する必要がある。企業にとってはかなりの負担になるが、リスク回避のために必要不可欠なコストとしてとらえないと、その後払わされるつけのほうが大きくなってしまうだろう。

井上久男氏:1964年生まれ。九州大学卒業後、NECを経て朝日新聞に転職、経済記者として活躍。2004年に朝日新聞を退職した後はフリーの経済ジャーナリストに。現在は主に企業経営や農業経営の取材に力を入れている。最新刊『サイバースパイが日本を破壊する』(ビジネス社)

ダイバーシティニュース視聴方法

1.LuckyFM茨城放送のラジオ FM88.1/94.6MHz
2. Youtubeライブ配信(アーカイブでも視聴可能です)https://www.youtube.com/channel/UCOyTwjQoiUJXxJ8IjKNORmA
3. radikoでも聴取可能です

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