ダイバーシティニュース 政治(8/17)津田大介「メンタリストDaiGo氏による差別扇動動画の問題点」【9/30までの限定公開】

津田大介:ジャーナリスト/メディア・アクティビスト 
メディア、ジャーナリズム、IT・ネットサービス、コンテンツビジネス、著作権問題などを専門分野に執筆活動を行う。ソーシャルメディアを利用した新しいジャーナリズムをさまざまな形で実践。オンラインメディア「ポリタス」編集長を務める。Twitter

津田大介さんのニュースピックアップ

1. タリバンがカブールを制圧。約20年ぶりアフガン支配

トランプ政権が米軍撤退を決めたときからこの結末は予測されていたが、思ったより早い首都制圧になった。米軍が主導していたアフガン政府軍と、「イスラム主義の国家をつくる」という強い意志を持ったタリバンとでは、訓練の質やモチベーションに大きな差があったと思う。ただ、タリバンはイスラム法に基づき女性の権利を徹底的に抑圧することなどでも知られる。各国の承認を得るために今は大人の振る舞いをしている向きもあるが、国際社会は今後を注視したうえで、場合によっては国連制裁等の対応を考える必要があるかもしれない。

2. 7月に五輪関係者でコロナのラムダ株を初確認

選手・関係者の来日に伴って新しいコロナ変異株が日本に入り、国内で株同士が融合してさらに新しい株が生まれる可能性は以前から指摘されていた。「感染拡大と五輪開催に直接の関係はない」とする政府の説明は、現象だけを見ればそうかもしれないが、間接的には無関連ではないのではないか。五輪開催によって水際対策を含めた感染対策が後手後手になった点も踏まえて、後日の検証やさらなる感染対策が求められる。

3. TBS番組の“女性蔑視発言”で張本勲氏が謝罪

女性差別を追認しかねない発言であり、1万歩ぐらい譲って張本氏個人の価値観を変えるのは難しいとしても、番組の対応に疑問を感じる。後日の放送ではご本人でなく他の女性キャスターが滔々と反省の弁を述べた一方、司会の関口宏氏は「こうなる前に止めれば良かった」と、反省でなく後悔という印象のコメントにとどめていた。同番組では数年前、張本氏に異論を述べた方が降板させられたこともある。全体的にはリベラルな番組だが、そうした理念と異なる発言が出たときに適切な対応ができないのは番組の体制に問題あるのではないか。

4. 数ヶ月前から生活保護 小田急線刺傷は自暴自棄の犯行か

女性に対する強い憎悪を募らせたすえの犯行だったという。気になったのは、「女性に対する抑圧には皆が抗議するのに、非正規あるいは女性に阻害される“弱者男性”の苦しみは見向きもされない」という、ある種の擁護とも取れる声がSNS上で散見されたことだ。背景には社会に承認されない孤独があるのだと感じる。女性差別はもちろん、社会が抱える「孤独の問題」にも政治が対処していかないと、根本的解決は難しいように思う。

5. 入管でのスリランカ女性死亡で監視映像の一部が開示

遺族にのみ一部開示された今回の映像もまったく不十分だし、先だって提出された本件の最終報告書も入管庁が身内での調査をもとにつくったもの。客観性に欠けるとの批判は免れない。そもそも報告書では名古屋入管の医療体制等「現場の問題」を挙げているが、それならば体制をつくった入管庁ひいては国の責任ではないか。情報公開請求で出てきた書類も黒塗りだらけ。よほど隠したい闇があるのか。国会議員の国政調査権を行使するなりして、第三者機関による徹底調査や映像の全面開示が求められる。このままの幕引きは許されない。

【スペシャルトーク】テーマ:「メンタリストDaiGo氏による差別扇動動画の問題点」

スペシャルトークでは、メンタリストDaiGo氏が弱者差別を扇動するような動画をYouTubeで配信し大きな批判を呼んだ問題について掘り下げていただいた。

問題となったYouTube配信での発言は「ホームレスや生活保護受給者になるのは怠けているから」という極端な能力主義から生まれている。そうした偏見について、「単なる言論であり、実際に危害を加えたわけではない」との声はあるが、DaiGoさんは240万超のチャンネル登録者を持つトップYouTuber。影響が大き過ぎる。“単なる言論”が一人歩きして偏見が加速し、憎悪犯罪の引き金になるという構図への理解が足りないと感じた。

憎悪犯罪を誘発する話が言論としてどこまで認められるのかというと、これは難しい。「ホームレスは怠けている」までなら、間違った認識だとは思うものの、言論の自由の範囲内と言えるかもしれない。また、今回の話はYouTube視聴者を喜ばせるためのリップサービスでもあったように思う。視聴者からの質問に答える形でコメントしており、「常識からは外れたような、身も蓋もないけれども本質を突いている」かのように聞こえる話を視聴者が好むためだ。

また、今回はYouTubeというプラットフォームの構造的な問題も影響していたと思う。再生数を稼いだら稼いだぶん収益があがるため、「それなら批判を集めたとしても数多くの人に見られるコンテンツを配信したほうがいい」と考えて過激になっていく。DaiGoさんもその罠に嵌まったのだと思う。YouTubeに限らず多くのプラットフォームはヘイトスピーチ等にあたるコンテンツを禁止している。ただ、そうしたガイドラインに抵触する動画も特に日本では一部野放しになっているような実情があり、そのあたりもコンテンツの過激化に拍車をかけていると思う。

さらに言うと、DaiGoさんよりひどいことを言っている動画投稿者もいれば、国会の場で生活保護受給者への憎悪を煽るような発言をしている議員だって数多くいるわけだ。DaiGoさんだけが注目を集めて社会的制裁を受け、同様の発言をした他の人々はまったくお咎め無しというバランスの悪さも、社会全体では問題ではないかと感じるニュースだった。

ダイバーシティニュース視聴方法

1.LuckyFM茨城放送のラジオ FM88.1/94.6MHz
2. Youtubeライブ配信(アーカイブでも視聴可能です)https://www.youtube.com/channel/UCOyTwjQoiUJXxJ8IjKNORmA
3. radikoでも聴取可能です

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