ダイバーシティニュース 経済(8/11)野村 高文【9/30までの限定公開】

野村 高文(のむら・たかふみ):NewsPicks編集部 エディター/音声事業 プロデューサー
PHP研究所やボストンコンサルティンググループを経て、2015年にNewsPicksへ。2017~2020年、学びのコミュニティ「NewsPicksアカデミア」の立ち上げからプロジェクトマネージャーを務め、後に編集長・マネージャーに。Twitter

野村 高文さんのニュースピックアップ

1. 米国、排気ガスゼロ車の割合を大幅に引き上げる目標を発表

米国バイデン政権は8月5日、「2030年までに新車はEV、FC、PHVを含むゼロエミッション車の割合を50%にする」との目標を示した。これに先立ち欧州ではハイブリッド車も認めないというさらに厳格な目標を発表しているが、ハイブリッド車が得意な日本メーカー潰しともみられる。米国の決定は欧州ほど厳しくないとはいえ、日本メーカーにとって「負けてはいけない」重要な市場である米国の今後の動向が注視される。

2. 英国で新規感染者が激減、ワクチンの効果に注目

世界ではデルタ株による新規感染者が増えている。英国では7月中旬に規制をほぼ撤廃したが、7/21の感染者4万7千人に対して8/10は2万7千人と40%以上減少。7月末の入院患者数は1月比15%に、1日の死者数は1月の1,200人に対し現在は100人を切っている。減少の原因ははっきりしないが、ワクチン接種と感染による成人の免疫獲得者は推計92%に上り、コロナ禍の出口を示す事例として世界が注目している。当座はワクチンの有効性に期待したい。

3. 良品計画新社長が2030年に売上7倍増を狙う中計を発表

ファーストリテイリングで当時29歳の最年少で取締役に就任し、2019年に良品計画へ入社した堂前宣夫・新社長が2030年までに売上3兆円をめざす中期経営計画を発表。同社の2020年2月期は売上高4,300億円だったので、その7倍という目標がアグレッシブだと話題に。良品計画は17期連続増収の一方で、拡大路線の影響から人件費が増えて減益になっていた。ユニクロ時代にフリースブームの落ち込みから収益を安定させた堂前氏の手腕が期待されている。

4. 世界最大想通貨取引所「バイナンス」に各国政府が規制強化

世界最多取引量を誇る仮想通貨取引所「バイナンス」に対し、日英印など各国政府が規制を強化している。同所は1日の取引量が1兆円超で、日本発の取引所の約100倍。手数料の値下げや知名度の低いコインを扱い、身分証明書なしで口座設置可能など、規制当局を無視した拡大路線が今回の事態につながったのではないか。バイナンス側は規制厳守の方針を発表したものの、情報流出のリスクが高まるのではと懸念されている。

5. 中国国営メディアが大ヒットゲームを批判、教育産業の規制強化も

8月初旬、中国国営新華社通信系メディアの「経済参考報」が、利用者2億人ともいわれる中国最大のオンラインゲーム「王者栄耀」を「精神的なアヘンだ」と批判した。また、中国当局は教育産業への規制も厳しく強化している。非営利団体への転換を迫り、増資や株式公開、海外からの投資を禁じている。ゲーム業界や教育産業への過度なマネー流入による自由競争や思想の乱れを当局が相当警戒していることが読み取れる。

【スペシャルトーク】ゲスト:安居昭博さん(サーキュラー・イニシアティブズ&パートナーズ代表)

欧州で広がる新たな経済政策「サーキュラー・エコノミー」について、全国各地で企業や自治体のプロジェクトをけん引している安居昭博さんに伺った。

2015年からオランダとドイツに拠点を構え、日本企業や自治体を招き、サーキュラー・エコノミー分野での視察イベントを行っていた。2020年に京都へ拠点を移し、講演会開催や、各プロジェクトにアドバイザリーとして関与している。

日本ではまだなじみの薄いサーキュラー・エコノミーだが、廃棄を出さない仕組みづくりで環境負荷を低減するというもの。企業の新たなビジネスモデル創出や政策のリスク管理の一環として、経済効果と両立すると期待され、欧州を中心に世界中に広がっている。

例えば、私が今、履いているのはオランダ企業が開発した世界初のサーキュラー・エコノミージーンズだ。購入せず、月額制でレンタルする。ユーザーは使用後、捨てずに企業へ返却。企業は履かなくなった製品を回収して繊維に戻し、また新たな製品を供給する。廃棄の全くないビジネスモデルになる。

コロナ禍も影響し、サーキュラー・エコノミーが欠かせなくなっている。海外での調達が不安定になる中、自分の地域で廃棄処分していたものでビジネスすることで、将来的なパンデミックへの備えになる。オランダにはミシュランで星をとるような一流シェフが廃棄食材を使い、安価に提供するレストランもある。

今までの大量生産・大量消費は、原材料を集めて使用後に廃棄する一方通行のモデルとして「リニア・エコノミー」と呼ばれ、企業は常に新たな調達に頼る。廃棄していた製品を回収し、廃棄を出さない仕組みを作れば、企業も安定的で長期的なビジネスができる。処分に払う税金や産業廃棄物のコストを削減でき、社会や経済のアップデートとして広がっている。

オランダは小国がゆえに世界の中でもより良い方向を読む先見の明があったといえる。国民の意識が高いというよりも官民一体となった取り組みでサーキュラー・エコノミーが既存ビジネスを凌駕しつつある。全国各地の実践例は拙著をご覧いただけると有難い。

安居 昭博(やすい・あきひろ):1988年東京都出身。ドイツ・キール大学の修士課程を卒業。2015年、ドイツのサステナブルウェブマガジンを制作。2019年から活動拠点をオランダ・アムステルダムに移し、現在はサーキュラー・イニシアティブ&パートナーズ代表を務める。2021年5月に「青年版国民栄誉賞」で「内閣総理大臣奨励賞(グランプリ)」受賞。6月に『サーキュラー・エコノミー実践 ―オランダに探るビジネスモデル』(学芸出版社)を刊行。

ダイバーシティニュース視聴方法

1.LuckyFM茨城放送のラジオ FM88.1/94.6MHz
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