ダイバーシティニュース 社会(8/9)駒崎弘樹【9/30までの限定公開】

駒崎弘樹(こまざき・ひろき):認定NPO法人フローレンス 代表理事
1979年生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業。2004年にNPO法人フローレンスを設立し、日本初となる「共済型・訪問型」の病児保育サービスを開始。2010年より内閣府政策調査員などを歴任。 現在、厚生労働省「イクメンプロジェクト」推進委員会座長、内閣府「子ども・子育て会議」委員。『「社会を変える」を仕事にする 社会起業家という生き方』(英治出版)など、著書多数。公式サイトTwitter

駒崎弘樹さんのニュースピックアップ

1. 保育園送迎バス内で5歳園児が熱中症により死亡

杜撰な管理があり得ない結果を引き起こしてしまったが、「あり得ない保育園だね」で終わってしまうと再発は防げない。厳しい基準がある保育園の「中」と異なり、「外」のバスに関しては基準がないという制度的バグも背景にあるためだ。保育園の送迎バスにもきちんと基準を設けなければいけない。また、炎天下でエンジンの止まった車内に誰かがいたら、アラームを鳴らす技術などが開発できないのかなと思う。法制度と技術の両面でアップデートしていただきたい。

2. 困窮家庭の生活がコロナ禍でさらに悪化

NPO法人キッズドアに登録する子育て世帯を対象とした今回の調査では、47%が「十分な食品が買えなかった」、76%が「子どもに栄養バランスの良い食事を与えられない」など、困窮が一層深まっている現状が明らかになった。保護者もかなり追い詰められている。コロナ禍の経済悪化で特に犠牲となるのは貧困にあえぐ子育て世帯。もちろん現金給付も重要だが、食料支援を含めた多様なケアが必要になる。

3. メルカリ創業者が理系目指す女子学生に奨学金

素晴らしい。日本は科学分野で活躍する女性の比率がOECD最低の25%だ。「女性が理系に行ってどうするの?」などと親世代に言われたりして、社会的にも多くのハードルがある。しかし、今回のような奨学金制度があれば親も説得しやすくなるし、女性の可能性が一層広がるのではないかと思う。山田進太郎さんのような成功した起業家が社会に還元を行い、さらに良いインパクトを生み出すサイクルをぜひ応援したい。

4.電車内で乗客10人刺傷 「幸せそうな女性みると殺したい」

究極の男性優位主義であり性差別だ。ただ生まれついての性差別者はおらず、「女性は劣位だ」というメッセージを暗に発する社会のなかで性差別者になっていくのだと思う。女性の平均賃金は男性の6~7割で、家事育児の負担は男性の6倍。こんな状態で女性は劣位だというメッセージを受け取るなというほうが難しい。犯人はどうしようもないが、社会も変えなければ。

5. 2020年度の男性育休取得率、12.65%と過去最高

改正育児・介護休業法の施行前年に滑り込みで1割を超えた。この調子で施行後はさらに取得率が高まることを期待している。今回の法改正では、育休が取れることを男性社員に通知する義務が企業に課せられる。今までのように社員側から言わせるのでなく企業から促すことで、育休が一層取りやすい社会になると思う。一方で企業側の課題は仕事を属人化させないこと。欠員をカバーし合えるような仕組みづくりなどを行えば他のトラブルにも強くなる。男性が育休を取りやすい企業とは、すなわち強い企業なのだと思う。

【スペシャルトーク】テーマ:「福祉DXの現状と今後の展望」

スペシャルトークでは、行政サービスのデジタル化を目指す株式会社グラファー代表取締役CEOの石井大地さんに、福祉分野におけるDXの現状と今後の展望についてお話を聞いた。

当社は現在、スマホを使って行政手続きが数分で行えるオンライン申請システムや、必要な行政手続きを簡単に調べられるようなサービスを開発・提供している。もともとは行政手続きに関するハウツーサイトのようなものをつくるつもりだったが、行政機関とお話をしてみると煩雑な手続きの課題を認識している方も多かったという経緯がある。それなら、SIerのような受託開発でなく自分たちで良いと思えるサービスをクラウドとサブスクで提供していこうと考えた。

それで今は60数団体に当社の申請システムを採用いただいている。横浜市、神戸市、北九州市、福岡市など、都市部での導入も多い。特に現役世代が多い都市部ではスマホでの手続きに対するニーズが大きいのではないかなと思う。

我々としては「そもそも手続きまで辿り着けない方がいる」との問題意識もあった。何か困っていても、どんな手続きが必要か分らなかったり、制度の存在自体を知らなかったりする。そこでフローレンスと共同開発したのが、悩みから支援制度までを結びつける『KOBE お悩みハンドブック』というサービスだ。スマホで「お金がない」「心身の不調がある」など、困りごとにチェックをすると、それに対応した行政サービスを提示してくれるという仕組みになる。

スマホによる同ハンドブックの開発チームを主導するのは、自身も難病を抱えていながら本来もらえるはずの手当を何年ももらっていなかった経験がある方だ。日本の福祉は「申請主義」。困っている人が自ら役所に足を運んで担当部署を探し、申請しなければいけないというハードルがある。そこをなんとかできないかと、僕自身もメンバーもずっと考えていた。

申請主義のベースとなる法律を変えていく必要もあると思うが、スマホですぐ申請できるようにするなど、今の法律でもできることは多いと我々は考えている。なるべく早く、正確に、本当に困っている人々へ支援が届くようなサービスを提供することで現行制度がより機能する状況をつくる。それが我々の目指す“Digital Government for the People”ということにもつながる。

石井大地(いしい・だいち):株式会社グラファー 代表取締役CEO
東京大学医学部に進学後、文学部に転じ卒業。2011年、『クリスタル・ヴァリーに降りそそぐ灰』(河出書房新社)で第48回文藝賞を受賞し小説家としてデビュー。その後、複数社の起業・経営、スタートアップ企業での事業立ち上げ等に関わったのち、株式会社リクルートホールディングス メディア&ソリューションSBUにて事業戦略の策定、さらには国内外のテクノロジー企業への事業開発投資を手掛ける。2017年に株式会社グラファーを創業。

ダイバーシティニュース視聴方法

1.LuckyFM茨城放送のラジオ FM88.1/94.6MHz
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