ダイバーシティニュース 経済(7/14)金泉俊輔【8/31までの限定公開】

 

金泉俊輔(かないずみ・しゅんすけ):株式会社NewsPicks Studios代表取締役CEO

フリーライターとして活動後、女性情報誌、女性ファッション誌の編集を経て、「週刊SPA!」編集長、ウェブ版「日刊SPA!」を創刊。株式会社ニューズピックスへ移籍後はNewsPicks編集長、プレミアム事業執行役員を経て、2020年1月から現職。twitter

金泉俊輔さんのニュースピックアップ

1.緊急事態宣言で東京五輪の経済効果の大打撃

4回目の緊急事態宣言により東京五輪は、ほぼ無観客開催になることが決まった。想定よりも大きな経済損失が推定される。海外は大規模イベントが通常通り行われているが、日本国内でワクチン接種が数カ月早ければ何がどう変わったのか、政策の事後検証が必要だ。米国の消費者物価指数はリバウンド的上昇と言われるものの、日本のワクチン接種の数カ月の遅れがこ米国との差を招いているといえよう。

2.Googleが日本のスマホ決済企業を買収、2022年にサービス開始へ

Googleがpring(プリン)を買収し、2022年をめどにサービスを始めると報じられた。pringのユーザー数は数十万人と多くはないが、決済可能な金融機関数は大手並みだ。サービスを開始するための時間を短縮するのが買収の狙いとみられる。ドコモ口座の不正出金事件以降、新規口座を作りづらい現状も買収を後押しした可能性がある。電子決済サービスがまだまだ浸透していない日本市場で、Suicaとの提携で先行するAppleやユーザー数千万人のPayPayとのシェア争いなど、その動向に注目したい。

3.ヴァージン・ギャラクティック社が商業宇宙旅行の試験飛行を達成

米国のヴァージン・ギャラクティック社が一般客を乗せる商業宇宙旅行の試験飛行に成功した。約14分の宇宙飛行の相場は25万ドル(3,000万円弱)で、300人以上が申し込み済みとのこと。将来的には約500万円に下がる見込みのようだ。商業宇宙旅行の市場自体はそれほど成長する見通しはないが、ニューヨーク・パリ間が30分といった高速二地点間輸送を可能にする技術の需要が期待される。経済のダイナミズムが宇宙にまで広がっていることを感じさせるニュースだ。

4.アマゾンのベゾス氏、CEOを退任して宇宙へ

アマゾンのジェフ・ベゾス氏は7月5日にCEOを退任した。取締役会長として残るが、宇宙ベンチャーのブルー・オリジンなど、アマゾン以外の事業に注力する。7月20日にはベゾス本人が宇宙船「ニュー・シェパード」に搭乗して初の宇宙飛行を予定だ。ビッグテック経営者の飽くなきフロンティア精神の表れだろう。60年前にNASAの有人飛行プログラムを卒業したものの、性別を理由に宇宙へ行けなかった82歳の女性と、30億円でオークション落札した匿名の人物も同乗するという。

5.ライフサイエンス領域が米国で投資規模2位に成長

ヘルスケアやバイオテック、創薬・製薬などライフサイエンス(生命科学)系スタートアップへの投資額は米国で年5兆円を超える(日本は1~2千億円)。これは、市場規模トップのソフトウェア領域に匹敵するほどだ。ビル・ゲイツの出資で知られるモデルナは、2010年に創業、2018年に上場し商品ゼロで時価総額1兆円を記録した。コロナワクチンを初の商品として発表し、今や時価総額10兆円に成長している。ライフサイエンス成長の象徴といえる存在だ。

【スペシャルトーク】ゲスト:曽根秀晶さん(ランサーズ株式会社取締役)

リモートワークが加速する現在、日本最大級のクラウドソーシング、ランサーズ取締役の曽根秀晶さんにオンライン時代の戦略的リモートマネジメントについて聞いた。

ランサーズはオンライン上で仕事を受発注できるプラットフォームを提供している。たとえばある和菓子屋がECサイト構築を希望したら、適切な人材探しから依頼、メッセージのやり取り、ECサイトのデータ納品、支払いまで、全工程を対面せず、オンライン上で完結させる、リモート時代を先取りしたサービスだ。

DX(デジタルトランスフォーメーション)推進で、後回しにしていたオンライン化に着手する一方で、オンラインに慣れないうちは、組織の一体感を損ない、社員のメンタル不調につながる弊害も出ている。

リモート時代のマネジメントでは、ミーティングの準備や進行、終了後の迅速な共有といった基本の欠如が浮き彫りになった。今まで何となく集まり、会議をした気になり、会議の効果は見える化されていなかった。しかしオンライン化で会議の効果や発言者の人数がより明確になっている。

オンライン会議では、雑談など偶発的かつ必須のコミュニケーションや、オフィスの同じ空間で培われる非言語の関係性が削がれやすい。個別か複数かを問わず、冒頭の数分でアイスブレイクをした後、目標となるゴール設定から話し合い、結論まできっちり進めるなど、メリハリをつけた運営が効果的だ。

私見だが、リモートワークのマネジメントの成否は変化への対応力が左右する。GMOインターネットは初回の緊急事態宣言の1カ月前に全社員の8~9割がリモートワークを推進し、スムーズに運用している。変化を恐れずリーダーシップをとれる企業は新たな時代のマネジメントに成功している。

リモートワークが進むか、戻るかという議論があるが、私は進むか、加速のみだと考えている。オフラインでしかできない価値を知った企業がハイブリッドにすることで、いかに強みを出せるか。オンラインとオフラインが融合した世界が働き方にも影響する。オフィスへの出社をエンタメ化し、目的意識をはっきりさせる演出が経営者の役割になるだろう。

曽根秀晶さんご経歴:1981年生まれ。東京大学で建築を選考し、2007年にマッキンゼー・アンド・カンパニーへ入社。2010年から楽天でグループ全体の経営戦略・経営企画などに携わる。2015年2月、ランサーズに入社。同年11月に取締役に就任。経営戦略、M&A、新規事業を担当。NewsPicksでプロピッカーとして、プロピッカー新書「オンライン時代の戦略的リモートマネジメント」も発売中。

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