ダイバーシティニュース 政治(7/13)河添恵子【8/31までの限定公開】

河添恵子(かわそえ・けいこ):ノンフィクション作家
一般社団法人美し国なでしこオピニオンの会顧問。1963年千葉県松戸市生まれ。名古屋市立女子短期大学卒業後、1986年より北京外国語学院、1987年より遼寧師範大学(大連)へ留学。『中国人の世界乗っ取り計画』(産経新聞出版)、『トランプが中国の夢を終わらせる』(ワニブックス)、『豹変した中国人がアメリカをボロボロにした』(産経新聞出版)、『覇権・監視国家 世界は「習近平中国」の崩壊を望んでいる』(ワック)等、著書多数。報道番組でのコメンテーターとしての出演も多数。Twitter

河添恵子さんのニュースピックアップ

1. 「金融機関に監視させるのか」西村大臣発言に反発続く

コロナ禍がはじまった昨年来、国家権力がどんどん強くなっていくだろうと想像はしていたが、今は我々の自由な行動にまで政府がケチをつけてくるようになった。国民は自分たちの言うことに従うだろうと勘違いしているし、金融機関を使って飲食店の酒類提供を制限させるといった考えも「妙案だ」と思っていたのではないか。猛烈なパワハラだし、誰も幸せにならないやり方だ。

2. 弾圧につながる監視技術持った中国企業に米が禁輸措置

中国はAIを使った「社会信用システム」で共産党に歯向かう人々をマークしている。それでウイグルの人々も監視・収容されている状況ということで、アメリカが人権弾圧に加担する企業等に技術を出さないようにしたという話だが、ここは西側社会も巧妙だ。ウイグルの話を持ち出つつ、その先では「世界中が中国に監視されるのではないか」と考え、そこに備えている。日本のメディアも「同じことは中国外で起こり得る」ということを、もう少し明確に言ったほうが良いのではないか。

3. 五輪で巨額放映権料はIOCに 無観客の損失補填は日本に

2013~2016年のIOC収入57億ドルのうち放送権料は73%を占めるという。だからIOCは今回も「開催して放送さえできればいい」と思っているのではないか。一方で、祭りのあとに残った赤字は東京都が補填するのか。政府は補填に否定的だが、いずれにせよツケは国民に回る。で、その国民はスポーツバーでの観戦ですら「黙食を」と言われ、アルコールも口にできない、と。これで誰が盛りあがるのか。世界からの要求を含め、あらゆるものに日本は翻弄されていると感じる。

4. 欧州「人権状況改善なくば北京五輪への政府招待辞退を」

賛成578vs反対29の圧倒的賛成多数で、政府代表らに対する北京五輪への招待を辞退するよう求める決議が欧州議会で採択された。きっかけはコロナだが、それ以前から、たとえば中国がwin-winと言っていた一帯一路事業についても、実際には利益のほとんどが中国側に入るものだったりしていたわけだ。「中国が言うwin-winとは彼らが2回勝つという意味だ」と言う人もいる。そうした背景も手伝って、今回の決議は欧州が中国に対して不退転の決意で対峙することを表明したという意味もあるのではないか。

5. 中国への情報提供疑いでドイツ人政治学者が訴追

メルケル政権下で長らく親中だったドイツから今回のような話が出たことは大きな意味を持つ。訴追されたのはドイツ連邦の情報局にいた人物。中国側にリクルーティングされたというが、中国はそうした情報提供で協力を求める対象者について、個人事情まで含めて綿密に調べてくる。いずれせよ今回のようなスパイ活動は1人では行われないし、今後の調査でさらに大物が出てくる可能性もある。そう考えると、今回のニュースはドイツと中国による、灰色または黒い関係の“終わりのはじまり”でもあるのかなと感じる。

【スペシャルトーク】テーマ:「中国共産党100周年を迎え、神話作りを始めた習近平」

スペシャルトークでは、引き続き河添恵子さんに、100周年を迎えた中国共産党について、各国メディアの論評紹介も交えてお話いただいた。

各国メディアはときに皮肉も交えつつ、100周年を迎えた中国共産党についてさまざまな評価をしている。歴史に関しては1958~1961年の毛沢東による大躍進政策に触れたメディアが多い。農業等の政策で中国は豊かになったというのが共産党の公式見解だが、「まったくの嘘だった」と。その数年で4,500万人が飢餓により亡くなったとの指摘もある。天安門事件についても、人民解放軍が若い人々に銃口を向け多くの命を奪ったという事実を共産党は認めていない。

では、今後も中国共産党は現在の勢いで進み続けるのか。「2008年の北京五輪がピークで、以降は脆くなってきている」と評するメディアもある。習近平さんが「NO」というものを次々粛清するようになった現体制下では、敵も増えているからだ。

ただ、中国は秦の時代から監視社会だったわけで、今はそれにITがついただけ。やっていることは2000年前と同じで、仮に体制が変わったとしても彼らの根っこは変わらず、民主化も難しいままではないかという見方もある。私も同じことを考えていた。国の看板や名前を変えようとも、あの大地に生きて、そこから支配層となっていく人たちは変わらないDNAを持っているように思う。

一方で、毛沢東と12人の仲間でスタートした共産党が今や9,000万人の組織にまで成長したこと自体は、あらゆる意味ですごいこと。党員に対してアメとムチを使い分けていたのだと思う。たとえば経済的に援助したうえで「留学させてやる。その代わり外国から技術を盗んでこい」と。で、それを裏切ると一族にも害がおよんだりするわけだ。そうした構図を、それを実行するための巨大なお財布を持っていることも含めて西側諸国はよく分かっている。だからこそ禁輸等の措置も交えて彼らの財布を小さくしていけば、アメがもらえず動かなくなる人も出てくる、と。それが習近平氏の影響力低下、ひいては世界が中国に侵食されることを防ぐ結果につながると考えているのだろう。

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