パネリスト:
藤原和博氏 杉並区立和田中学校 校長
漆紫穂子氏 品川女子学院 校長
小嶋隆氏 株式会社日能研関東 代表取締役社長
ファシリテーター:
星野優氏 グロービス経営大学院 主任研究員/グロービス講師
藤原和博氏 杉並区立和田中学校 校長
漆紫穂子氏 品川女子学院 校長
小嶋隆氏 株式会社日能研関東 代表取締役社長
ファシリテーター:
星野優氏 グロービス経営大学院 主任研究員/グロービス講師
学校間の格差は拡大し続けている
漆:はい、確かに先日、星野さんのお嬢さんが「土曜日は父を宜しくお願いします」と言いに来られました(笑)。私のいる品川女子学院は、「28才になったときに、社会で活躍している女性を育てる」ことをコンセプトとした、中高一貫校です。大学入学をゴールとするのではなく、その先の進路を具体的にイメージしてもらう意味から、企業との共同プロジェクトなども熱心に行っています。例えば昨年の成果物は「品女キティちゃん」。これを売って、利益をカンボジアの学校建設に寄付しようというプロジェクトです。また、生徒たちは、元気は良いけれどマナーが今ひとつなので(笑)、茶道や華道などを必修で入れており、今年は小笠原流礼法も体験しました。個人としては、今、トライアスロンに挑戦しています。
小嶋:日能研関東の社長をしています。日能研は中学受験を専門とした学習塾で、北は北海道、南は鹿児島まで展開しており、私は、関東を管轄しています。首都圏の電車中吊り広告で、「四角い頭を丸くする」というタイトルのものを、ご覧になったことのある方は多いのではないかと思うのですが、あれを出稿している会社です。中学校の入試問題を、長い間、掲載してきたのですが、最近、「解答はインターネットで」としたところ、クレームが多数、寄せられるようになってしまいました(笑)。
藤原:今日は(私が書いた)『校長先生になろう!』(日経BP社)の出発記念パーティーにようこそ(笑)。顔見ていただいてお分かりのとおり、ある歌手に似ていると専らの評判で、教育界の吟遊詩人と呼ばれています。その、さだ(まさし)さんとは27歳の時からの長いお付き合いです。ここ小淵沢には縁が深く、私の父の出身地。そして、この近くの川上村の天然記念物となっている川上犬も飼っています。現在は、杉並区立の和田中学校の校長をしており、「よのなか科」と呼ぶ、社会の仕組みを身近な事例から体感させるクラスを始動、他校にも展開しています。実務家の話を聞かせたり、ロールプレイで流通や金融のメカニズムを体験させる「よのなか科」に、当初は、「そんなことをやっていないで、教科書に忠実に学力をつけさせろ」というようなクレームが多く寄せられたのですが、今や和田中(学校)の学力は区内1、2を争うレベルまで向上し、底上げに寄与することも証明できました。
ありがとうございます。では早速、本日のテーマ「校長先生になろう」に移っていきますが、現時点で「将来は、校長先生になるぞ」と思っている方は、どのぐらいいらっしゃいますか?3名ぐらいでしょうか?本セッションが終わる頃には聴講されている方の半数の手が挙がることを数値目標に進めたいと思います(笑)。まずは昨今聞かれる学力低下や、これに伴い議論がされている教育改革について、中学校の現状を中心に聞かせてください。
小嶋:首都圏について言えば、私立校と公立校では圧倒的に私立校が多いのですが、ここで私が問題視しているのは「私立VS公立」という対立軸が完全に出来上がってしまっていることです。学力面というよりは学費の格差が大きく、公立の中高一貫校の学費が(6年間で)115万円であるのに対し、私立は600万円。これだけの差を私立校は何らかの価値で埋めなければなりません。自然と自助努力によりレベルも上がってきます。ところが公立校は、そのドライバーとなるものがない。都内の公立校280校のうち100校は定員割れ、1学年7人しか生徒がいない学校ですら国からの助成金があるため廃校には至りません。教師も年功序列・終身雇用により守られていますから、経営の視点から自身のいる学校を評価することができない。悪循環を止められないのです。
もう一つ私が問題と感じるのは、生徒の親の姿勢です。少子化の影響などもあるのでしょうが、例えば20年ほど前と引き比べると、子供に対して過干渉のきらいがある。その一方で、教育の面倒な部分は全て学校に任せきりで、家庭でやるべき教育・学校でやるべき教育のすみ分けができていません。「カネを払っているのだから、学校が子供の面倒を見ろ」というスタンスの親御さんが多いように感じます。私が思うに、やはり最高の学校というのは家庭なんです。親は家庭での教育をきちんと果たしたうえで、学校教育に何を託すべきかを考えるべきではないでしょうか。「親バカ」は許せるけれど、「バカ親」は許しちゃいけない。(支払い能力はあるのに)給食費を払わないという家庭の多いことがニュースに上ったりしていますが、一番、かわいそうなのは子供です。




