リアルに「リアルウコン」のマーケティング戦略を聞いてきた 

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ウコン飲料市場は発売以来右肩上がりの成長を続けてきた。消費者の意識としては低アルコール飲料がブーム化するなどの現象に代表されるように、翌日に影響を残すような飲み方を避ける「分別あるアルコール飲用習慣」が昨今の傾向である。そのため、ウコン飲料への支持も高まったのである。

ウコン飲料は売り手にとってはオイシイ商品だ。容量が少ない割には単価が高く設定ができる。単なる清涼飲料と異なり、ウコン飲料の属する健康・栄養ドリンクカテゴリーは消費者が効用を期待するからだ。それはメーカーだけでなく販売チャネルにとっても販売スペースが小さく高単価というありがたい存在である。

カテゴリーのリーダーはハウス食品の「ウコンの力」。2004年の発売以来、売り上げは増加し続け、10年度の売上は約180億円。9割以上の圧倒的なシェアをいかに奪うか。2010年には各メーカーから追随する商品も多数発売された。

「美味しいウコン飲料」というポジショニングを作る

「『ウコンの力』のシェアを奪い取るという発想ではスタートしていないんです」。

ブランドマネージャーの話は意外な言葉から始まった。日本コカ・コーラの調べでは、アルコール飲用者の中でもウコン飲料を用いている人の割合はまだまだ少ないという結果が出たという。

ウコン飲料は筆者の経験からしても効く。分別あるオトナの必需品である。しかし、それに手を出していない人が少なからずいる。それはナゼかという疑問の解消から始まった。

「良薬口に苦し」。ウコンには独特の苦みと臭いがある。筆者もとても味わうという風情では飲んでいない。「ウコンは美味しくない」と思って手を出していない人、一度は飲んだがやめてしまった人が少なからずいる。そこに消費者のニーズギャップがあった。つまり、先行メーカーのシェアを奪う以上に大きなホワイトスペースが存在する。市場を開拓・拡大するということがテーマとなったのだ。

先行する各社の商品がすくい取れていない消費者のニーズが「味」だとしたら、総合飲料メーカーとしての日本コカ・コーラには大きな勝機が見えてくる。試用に踏み切れない、もしくは使用を断念した消費者も含めて、ウコン飲料に期待するものとは何なのか。一義的には「二日酔い防止」であるが、根底には「翌日に残したくない」という欲求があるはずだ。

ウコン飲料は医薬品ではないため効果効能は明示できない。しかし、消費者は効用を解釈して用いている。そのためウコン自体の説明はいらない。「美味しさ」。それに応えることにフォーカスすればいい。

その解は近年ブーム化している「炭酸」と根強いファン層を持つ「自社ならではの味」にあった。美味しく飲めるウコン飲料として、「REAL」ブランドを活用することが決定したのである。

リアルウコンの4P(製品・価格・販売チャネル・プロモーション)

■手に取ってもらうための製品価値
ウコン飲料の中核的価値は前述の通り、「二日酔い防止」であり、「翌日に残さない」である。それを実現する実体価値として新たに「美味しさ」という価値を加えた。

さらに、従来のウコン飲料が持っていなかった消費者にとって、さらにうれしい付随機能としてお酒を分解する成分として知られる「アラニン」を加えた。アラニンはしじみに含まれている健康成分で、専用のサプリメントや健康飲料も多く発売されている。それらの製品1回分の容量と同等の成分を加えたのである。美味しさ+さらなる健康成分がリアルウコンの強力な製品価値なのである。

■手に取りやすい価格
先行商品のコンビニエンスストアでの希望小売価格は1本198円。それをリアルウコンは10円下げた188円というプライシングをした。たかが10円。されど10円である。

リアルウコンが狙うのは、従来のウコン飲料に手を出していない人である。手に取りやすい価格を設定することは極めて重要なのだ。ターゲットとの整合を図った価格設定である。

■自販機チャネルの活用
日本には清涼飲料の自動販売機が約250万台ある。そのうち約100万台がコカ・コーラの自販機である。自販機は日本コカ・コーラの力の源泉であり、その販売チャネルを活用しない手はない。故に、主戦場であるコンビニ以外に自販機でもリアルウコンを販売している。

だからといって、全ての自販機に入れることは効率的ではない。1つの商品を入れるということは、他の商品を外すことを意味しているからだ。そこで、オフィスに設置されている自販機を狙った。商品特性から考えて、街のあちこちにある自販機で偶然見つけて飲むものではない。明らかな目的を持って、飲みに行く前や疲れた時に買われるという消費者行動との整合性を図っているのである。

■「体験」と「場作り」を図るプロモーション
CMのセレブレティーは酒類商品のイメージが強くない、浅野忠信が起用された。そんな彼に、「ウコンは苦手」と明言させ、「美味い」と言わせる。明確にターゲットにパーセプションチェンジさせるメッセージである。

認知を取りつつ、一方で最大の課題を今まで手に取っていなかった多くの消費者に対する「体験」を創出することに置いた。50万本のサンプリングである。美味しいというメッセージが浸透した後に、それを実感させることができればリピートは取れるという狙いからだ。場所は料飲店、カラオケ店、そして新橋SL広場などの街頭である。

もう一つの課題はサンプルをもらったり、自分で買ったりしたユーザーから体験談を引き出す「場作り」である。2011年末にTwitterでリアルウコンアカウントを取得し、1ヶ月で5000人のフォロアーを獲得した。メーカーは薬事法の規制によって効果効能を言えない。しかし、ユーザーからは「美味しかった」という味の感想だけでなく、「次の日、身体が楽だった」などの体験の声も集まった。

■リアルウコンのマーケティングマネジメント

前述の通り、リアルウコンのマーケティングマネジメントは理想的な流れができていることがわかる。競合と取り合うのではなく、独自のターゲットを設定し、そのターゲットに刺さるポジショニングを作り出し、製品・価格・販売チャネル・プロモーションのいわゆる4Pもターゲット、ポジショニングとの整合性を図っているのだ。

その効果があって、現在リアルウコンは販売目標数を超える売れ行きを続けているという。今後の課題としては、さらなるターゲット拡大を目指し女性層の取り組みにも注力するという。

どのようにリアルウコンがマーケティングマネジメントを強化していくのか、今後も注目に値するといえるだろう。

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