荒木博行 選: 『99%の絶望の中に「1%のチャンス」は実る』、ほか2冊 

知見録執筆陣が選ぶ「2014年、この1冊」
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「バリュークリエイターたちの戦略論」を連載中のグロービス経営大学院 教員 荒木博行が、「志」「イノベーション」「仕事のプライド」を問う3冊をおすすめします。

『99%の絶望の中に「1%のチャンス」は実る』 岩佐 大輝 著

この書籍は、グロービス経営大学院の卒業生である岩佐さんが、東日本大震災被災した仙台の山元町をイチゴを通じてどのように復興に導いていったか、という過程をまとめたものです。

疾走感ある言葉づかいで書かれた本なので、一気に読めてしまう。その一方で、岩佐さんの激動の3年の経験が凝縮された内容だけに、腹の奥のところにズシンと響き、いつまでも余韻が残る。そんな読後感を与える本です。

この本には、復興に向けた志を持ち、関係する多くの人の力を借りながら、ビジネスの原則を踏まえてPDCAサイクルを回していく岩佐さんの姿が描かれています。これはまさにグロービスの教育理念である「能力開発」「人的ネットワーク」、「志」の3つをすべて高い次元で体現したロールモデルそのものの姿だと感じ入りました。一人でも多くのビジネスパーソンの方に読んでいただきたい書籍です。(そして、巻末の息子に捧げる言葉は・・・泣けます。)

『99%の絶望の中に「1%のチャンス」は実る』、岩佐 大輝 著、ダイヤモンド社(2014/3/14発売)

 

『イノベーションを実行する』 ビジャイ・ゴビンダラジャン 著、 クリス・トリンブル 著、 吉田 利子 翻訳

この本は社内で新規事業を立ち上げている人に向けた実践的な指南書です。

既存事業である程度成長を遂げた企業にとって、大事なキーワードは「イノベーション」・・・。もはや「イノベーション」という言葉と無縁でいられる企業は多くはないでしょう。しかし、それが実現できている企業がほとんどないのも事実。なぜならば既存事業とイノベーションというのは水と油の関係だからなのです。

既存事業においては、既に確立した業務の時間軸があり、人間関係があり、そして仕事の進め方がある。他方で、イノベーションには混乱と予測不能さというのが付きものです。ではここで生じる既存ビジネスとの矛盾や緊張関係をどうマネージしていくか。

私自身もこの10月からオンラインMBAというグロービスにとっての新規事業の立ち上げを行いましたが、この本から得た知恵に何度となく助けらました。新規事業の立ち上げで苦難に直面する実務家にお薦めできる良書です。

『イノベーションを実行する』、ビジャイ・ゴビンダラジャン 著、 クリス・トリンブル 著、 吉田 利子 翻訳、エヌティティ出版(2012/11/23発売)

『ロスジェネの逆襲』 池井戸 潤 著

毎年1冊は小説を入れるようにしていますが、今年はご存知半沢直樹シリーズ第3弾の「ロスジェネの逆襲」。ストーリーはネタバレになってしまうのでここでは話しませんが、ご紹介したいのは登場人物の一人がストーリーの最後の方で語る一節です。
「どんな小さな会社でも、あるいは自営業みたいな仕事であっても、自分の仕事にプライドを持てるかどうかが、一番重要なことだと思うんだ。結局のところ、好きな仕事に誇りを持ってやっていられれば、オレは幸せだと思う」

非常に深い一言だと思います。

果たして仕事に「プライド」を持ってやっている人はどれくらいいるでしょうか?
そして、もし「プライド」を持てていないとすれば、何が欠けているのでしょうか?
我々は先般「グロービス流ビジネス基礎力10」(http://www.amazon.co.jp/dp/4492045392)という書籍を上梓しましたが、私はビジネスの「基礎力」がない人にとって、仕事に対するプライドを持つことは難しいのではないかと思っています。

外部環境を捉えながら、今やるべきことを自分の頭で考え抜く。そして人を巻き込みながら、PDCAを丁寧に回していく。

こういった「基礎」の積み重ね の先に、ようやくうっすらと「仕事に対するプライド」というものが生まれてくるのではないでしょうか。

もし、今の仕事に対して「プライド」とはほど遠い意識を持っている人がいたら、是非この本を手に取り、そして「仕事へのプライド」という言葉の意味を考えて欲しいと思います。

『ロスジェネの逆襲』、池井戸 潤 著、ダイヤモンド社 (2012/6/28発売)

 

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