ものぐさニッポン「メンドクサイ」をビジネスに生かせ 

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何もかにもが「メンドクセエ」若者たち

ある精神科医の本に、「呼吸をするのが面倒くさい」と訴える若者が急増しているというエピソードが載っている。メンドクサイもそこまで行けばご立派。「モッタイナイ」以上に世界で流行りそうな気もする。

一つ例をあげる。今年1月に公表され、大きな話題を読んだ別名“セックスレス”調査、厚生労働省の研究班が行なった「男女の生活と意識に関する調査」では、「セックスに関心がない・嫌悪していると回答した人は、男性18%、女性48%で、08年の調査より男性は7ポイント、女性は11ポイント増えた。年代別だと16〜19歳で最も多く、男性36%(前回調査で18%)、女性で59%(同47%)だった」(asahi.com記事より)

理由について、同記事は、「セックスに関心がない一因は、『異性と関わることが面倒だ』と感じることにあるようで、全体の4割の回答者が『面倒だ』と回答した」と分析している。

なぜ面倒が嫌われるようになったのか、そこにどんな時代の構造が隠れているのか、様々な想像が働くが、メンドクサイをビジネスに活かす動きも出始めている。

2月28日日経ビジネス誌の特集「『若者は消費しない』の嘘“従来型商品戦略の否定”がヒットを生む」の中でも、若者市場攻略の鉄則の一つに、「面倒くさいは徹底排除」が挙げられており、ロッテの大ヒットガム「フィッツシリーズ」が事例紹介されている。若年層にガムが嫌いな理由を調査した結果、なんと、「噛むのが面倒くさい」という理由が目立ったという。そのため、柔らかいガムを開発し、包装にも工夫をこらした。昨年からは、味が長続きするという効用も加え、ガムを捨てる手間すら省いた。

こうした視点を考えるときに便利なのが、4Cの視点だ。ロバート・ラウターボーンが提唱した概念で、マーケティングの4Pを顧客視点に置き換えたもの。特に「Price」を「Costofcustomer」に置き換えているところが注目で、顧客は製品の購買、使用、廃棄に至るまでの全体のコスト(時間、手間も含む)に関心を持っていると前提している。

メンドクサイを逆手に取り果物復権のチャンス

10月25日付日本経済新聞の記事によれば、「日本人が1日に食べる果物の量は100グラム強とされ、30年前の6割に減っている」とある。掲載されているグラフを見ると、キレイな右肩下がりを描いている。

私たちはナゼ、果物を食べなくなってしまったのか。

記事にはJA総研の09年の調査結果が掲載されている。「皮をむいたりするのが面倒」54.3%、「手が汚れる・ベトベトする」22.9%など。皮をむくのではなく「種」も問題なようだ。「種があると家族が面倒くさがって食べてくれない。ブドウは買うなら『種なし』」ときっぱり言い切る主婦のコメントもある。やっぱり、メンドクサイのだ。私たちはどれだけモノグサになってしまったのか……。

ただ、果物に若者が手を伸ばし始め、復権の兆しがあるというのだ。

記事のタイトルは「果物離れに歯止め?『皮ごと』『種なし』面倒なし品種改良で種類豊富に手伸ばす若い世代」とある。「皮ごと食べられるブドウ」「種のない柿」など、品種改良で店頭に並ぶようになった果物が人気のようだ。ブドウの王様巨峰も種なし。今の時期だと他には皮ごと食べられるイチジクも人気だという。また、品種改良も進み、甘くて美味しいけれどあまりに大きな種にガッカリする「ビワ」も種なしが徐々に増えているという。

手間なし果物は売れ行きも好調だ。伊勢丹新宿本店では、9月の売上が前年対比2桁増し。首都圏のスーパー、オリンピックでは種なしブドウが種ありの倍の売れ行きだという。

品種改良が美味しさの向上だけでなく、昨今の消費者ニーズに対応するようになった「手間なし果物」には今後、さらなる可能性が考えられる。最も果物から離れていると思われる単身世帯の取り込みもしやすくなるからだ。

記事には、「一人暮らしをしているから、食べるのはぱっと食べられるバナナぐらい」(26歳の会社員女性)とのコメントがある。コンビニにも個包装、少量パックの果物も置かれるようになった。コンビニは多少価格が高くても売れるし、何より「果物離れ」したターゲットの目に触れ、認知〜興味を得ることが可能なチャネルだ。マーケティングミックス(4P)の整合性の観点からも期は熟しているといえるだろう。果物復権のチャンスである。

様々な財・サービスで、「〇〇離れ」が叫ばれる。マーケティングの定石としては、ターゲットを考え、「購買決定要因(KBF=KeyBuyingFactor)」をいかに充足するか検討する。だが、Costofcustomerの視点から、何が顧客の頭のなかでコストになっているのか、想像を巡らせ、ニーズギャップに耳を傾け、ハードルを下げることで、活路が開けるかもしれない。

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