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論点を把握する(11)〜広げる(8):合意形成のステップを細分化する(6)〜

投稿日:2011/03/10更新日:2019/08/15

前回は「合意形成のステップ」の2番目<アクションの理由の共有・合意>における論点の洗い出しの中で、「問題解決のステップ」の「Why(真因の追求)」について見てきました。そしてWhyでは特に様々な専門性や情報を持ったメンバーの「衆知」を集めて考えることが重要であること。そして原因把握のための「広げる→絞り込む→深める」思考のステップと、そこでの汎用的な論点、言いかえれば質問について見てきました。今回は、必ずしも知識や情報を持たないファシリテーターが、いかに「具体的な原因の仮説」を考え、論点の例示をすることができるか?そのための頭の使い方について、さらに一歩踏み込んで考えてみます。

まずは、主に「広げる」(考え得る原因を洗い出す)際に意識するとよい点から見ていきましょう。

イメージを活用する

ビジネスなど複雑な社会現象において因果関係を把握すること、もう少し丁寧に言えば、ある結果に対する原因を掴み、その原因に対するさらなる原因を掴む、そして様々な原因と結果の相互関係を把握することは難易度が高い営みです。そこでは、「全体をMECEに要素分解する」といった論理的なアプローチだけでは歯が立たないことも多いものです。そこで重要なのが、「イメージを活用する」ことです。

「イメージ」を使った因果関係の把握の方法として、極めて単純ですが、でも効果的なものとして、「状況の映像化」があります。ある結果を生じるに至った現場の状況について、そこにあるもの、そこでやっていることなどを映像のように思い浮かべ、言語化していくのです(可能なら、実際に現場に行き、自分の目で確かめられると更によいでしょう)。

たとえば営業や販売の話であれば、実際にお客様が購買する場面や使用する場面を思い浮かべてみる。人に関する話であれば、業務を行う際に見ている情報、使っているもの、話をしている相手や場面などをイメージします。たとえば、ある研修の効果について考えるとしましょう。研修の場をイメージすると、受講者、講師、教材、会場の備品や環境などが思い浮かぶはずです。ここから、研修の効果に影響を与える要素がある程度洗い出せます。

「理想状態をイメージし、どんな条件が揃えばそうなるのかを考える」というやり方も有効です。ある問題が生じている状況に対して、通常は「なぜだろう?」と「上手くいかない原因」を考えがちですが、それではなかなか思考が広がらず、思いついたある原因に飛びついてしまい、そこで思考を止めてしまいがちです。こうしたことを避けるために、あえて逆を考える、つまり「ある結果が問題なく生じるためには、どういった条件が揃えばよいのか?理想的な状態を考える」を一旦、置いたうえで、「上手くいかない原因」を洗い出すのです。

たとえば「マンションのゴミ置き場に、定められた日以外にゴミが放置されている」という問題があるとします。そこで、まず「どのような条件が揃えばゴミが放置されないのか」を考えます。たとえば「ゴミを出すべき日が住民に周知されている」「住民に定められた日を守る意識がある」「住民の生活パターンはルールを守れるものである」等の条件のセットが考えられますので、これらのどれかが不十分なことが原因ではないかと考えるわけです。

あえて「他に」へ思考を振る

ある結果が生じているとき、思いもよらないことが原因となっていることは結構あるものです。このため、ある程度「こうではないか?」と原因を考えたとしても、そこまで考えたことを【あえて一旦白紙にして】「他にまったく違うパターンで問題が生じることは無いか?」を問いかけるとよいでしょう。

先ほどの例で挙げていたのは、「住民によるゴミの放置」でしたが、「ゴミが放置される」結果の原因としては、他にも「定められた日にゴミが回収されていない」「住民以外がゴミを不法投棄している」なども考えられます。

因果関係の把握は難しいからこそ、広く他の可能性を探るという貪欲な思考姿勢が極めて重要です。

「原理原則」を学び、知識を活用する

因果関係はものごとが相互に影響し合うメカニズムです。どのような分野でも、基本的な事象が相互にどのように関係し、作用しあうのかについて基本的な知識体系があります。それを全く知らなければ、いくら考えても歯が立ちません。

そこで重要なのが知識です。知識といっても、たくさんの情報を記憶することではなく、その分野で基本となる事象は何か?それぞれがどのように影響しあうのか?という基本的構造を理解しておくことがポイントです。ビジネスの世界で言えば、いわゆるMBAの基礎知識を理解していることがそれにあたります。

たとえば、「コスト」について考えるのであれば、そもそも「固定費」「変動費」等のコストの動き方に関する基礎知識、またコストがどのようなことによって影響を受けるのかに関する「規模の経済性、範囲の経済性、需給バランス」等の基本原理を理解しているかどうで、考え得る原因の幅と深さが違ってきます。

ここまで「洗い出す」について見てきました。だいぶ長くなりましたので、「絞り込む」については次回に譲ります。

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