論点を把握する(6)〜広げる(3):合意形成のステップを細分化する(1)〜 

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前回は、「議論すべき論点」を洗い出す二つ目の方法として、「フレームワークを活用する」について考え、フレームワークは便利であるものの、実は落とし穴が多いことを説明しました。今回はより汎用的な「論点を考える型」が持てないか?を考えていきます。

合意形成のステップを細分化する

再度原点に戻って考えてみましょう。ビジネスにおける議論の目的は何だったでしょうか? 第6回で述べたように、「アクションに向けての合意形成」がその目的です。そして、そこに至るためには、「合意形成のステップ」を踏むことが必要でした。「合意形成のステップ」を復習すると、

【合意形成のステップ】
(1)「場の目的共有」すなわち、「何の話をなぜここでやるのか?」
(2)「アクションの理由の共有・合意」すなわち、「なぜそうするのか?」
(3)「アクションの選択と合意」すなわち、「どうするのか?」
(4)「実行プラン・コミットの確認・共有」すなわち、「誰が、いつ、何をするのか?」

です。この各ステップをさらに細分化し、論点とすることで、汎用性の高いチェックリストをつくることができます。たとえば以下のようなものが考えられます。

<場の目的共有>
・話の場の目的自体は何か?
・合意のための手続きは妥当か?
・参加者への期待役割は何か?

<アクションの理由の共有・合意>
・何が問題なのか?(What)
・どこが問題なのか?(Where)
・なぜそうなっているのか?問題が生じる原因は何か?(Why)

<アクションの選択と合意>
・取り得るオプション(選択肢)は何か?
・いくつかのオプションをどのような基準で選択するのか?
・あるアクションをとった際に想定されるリスクは何か?対応策はあるか?

<実行プラン・コミットの確認・共有>
・いつ、誰が、何をするのか?
・そのプランを実行するために必要な資源は何か?それは調達できるか?
・誰が実行を推進・マネージし、責任をとるのか?

最終的には、皆さんが使いやすいようにアレンジしていただいてよいのですが、重要かつ代表的なものを挙げてみました。まず、「場の目的共有」から見ていきましょう。

「場の目的共有」の論点

「場の目的共有」すなわち、議論の中身以前の、「議論が行われる場自体が、合意を形成し行動に繋げる上で妥当なものか?」に関する論点です。これについては、
・話の場の目的自体は何か?
・合意のための手続きは妥当か?
・参加者への期待役割は何か?
の3つを挙げました。最初の「目的自体」は、「この議論は何を決めるために行うのか?」「この議論のゴールは何か?」という論点です。

議論全体の目的は自明なことが多いですが、それぞれの会議は合意形成のステップのどの段階にあるのか?を丁寧に考え、設定することが重要です。最終的には「アクションに向けての合意形成」、つまり「Aという問題について考え、対策を立案する」という大きな目的であっても、そこに至るには、「Aという問題が存在することについて、関係者の合意を得る」「Aという問題が、組織として優先順位高く検討すべきものであるという合意を得る」「Aという問題について分析し、対策を立案する」など、いろいろなステップがあります。

また時には、表面上は「Aという問題について考え、対策を立案する」という議題で議論していても、その裏には、「関係者のモチベーションを高める」といった目的が隠れている場合があります。こうしたところをきめ細やかに考え、「この場の目的は何か?」を具体的に押さえることが重要です(この「場の目的」は論点としてあっても、意図的に参加するメンバー全てには明示的に示さず、結果としてその目的が達成されればよい、といったケースもあります)。

2つ目の「合意のための手続きは妥当か?」の論点は、さらに詳しく見ていくと以下のようなものがあります。
・組織の中で、その議論の場(会議)は、何をどこまで決める権限があるのか?
・その場には、意思決定に加わるべきメンバーが参加しているか?
・その場における、意思決定の方法・ルールは妥当か?
・今回は何をどこまで決めるのか?何は議論するものの決めないのか?
・議論にあたって必要な情報は揃っているか?
・意思決定に必要な時間は確保できているか?
・参加者は適切な議論・判断・決定ができる準備
(会議前の検討時間や、会議参加者以外の関係者との調整など)ができているか?

こうした点を確認し、押さえ、適切に共有しておかないと、「そもそもこの問題はこの会議では決めるべきではない」「我々が議論した結果はどうなるのか?」「いきなりここで結論を出せと言われても準備ができていない」「持ち帰って検討させてもらわないと何とも言えない」「いろいろ意見が出たけど、結局どうやって決めるの?」といったことが議論になり、混乱してしまいます。

とりわけ最後の「参加者への期待役割」を明確にしておくことは、参加者を決め、その参加者に議論に臨むうえで必要な事前準備を適切に行ってもらう上で大事な論点です。「誰に、何のために議論に参加してもらうのか?」「どのような狙いで議論に参加してもらい、どういう役割を果たしてもらいたいか?」を参加者ごとによく考え、適切な形で伝達しておくことで議論の場を実りあるものにできます。そして、実際の議論の場において、最初にこれを確認し、合意を取るようにしておくとよいでしょう。

次回はいよいよ議論の中核部分である、「アクションの理由の共有・合意」について考えていきましょう。

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